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陸奥の与えた影響

陸奥の与えた影響


1943年9月より始まった日本海軍によるソロモン諸島への攻撃により、米海軍は駆逐艦と護衛空母を多数失い、大西洋におけるUボート対策に影響が出るまでになっていた。

また、ソロモン諸島救援のため派遣した米機動部隊が、南太平洋での海戦で壊滅した事により、米海軍は機動部隊を再建し直す必要があった。


南太平洋での海戦における通信の記録から、戦艦陸奥が全ての元凶だと判明した。

日本は戦艦陸奥を超高速戦艦に改修し、実戦投入してきたのである。


しかし、単なる超高速戦艦とはいえない性能を有しており、夜間にもかかわらず異常な命中精度と索敵能力があった。

高性能水上レーダーとレーダー連動射撃を行っている事が推測されたが、戦艦陸奥はレーダー波を出しておらず、レーダーに代わる何らかの装置を用いていると思われた。


そして、日本軍の脅威は戦艦陸奥に止まらなかった。それは日本の潜水艦による、隠密性の高い雷撃だった。

日本の潜水艦は潜望鏡を上げず雷撃し、対潜哨戒にも捉まらず発見報告が極端に低下した。これにより、日本潜水艦による艦船への被害は増加の一途を辿った。


逆に日本の勢力圏内では強固な対潜哨戒が行われ始めたらしく、連合国の潜水艦の未帰還は急激に増加し、通商破壊で日本を干上がらせる事は困難になった。

たとえ偵察目的で日本勢力圏内に潜水艦を潜入させでも、未帰還となるだけであった。



元々日本軍は夜戦を好んで仕掛けてきていたが、その傾向がさらに強まっていった。

1943年12月現在、日本軍の空襲は夜間にのみ行われるようになり、夜間空襲にもかかわらず昼間とほぼ変わらぬ正確な空襲を受けていた。


対抗措置として夜間戦闘機を配備するも、日本軍の夜間戦闘機は性能が高いのか、まるでこちらが見えているかのように機動するため歯が立たなかった。

さらに日本軍の夜間戦闘機は、レーダー波を出していない事も判明し、レーダーに代わる何らかの装置、または暗視装置を実用化させたのではないかと推測された。



中国戦線では、やはり日本軍の夜間攻撃が激化しており、特に歩兵による夜間突撃は手が付けられなくなり、国民党軍は敗走を続けていた。

このままでは、国民政府の臨時首都である重慶も落とされかねず、求心力の低下は免れないと見られた。


国民政府は重慶が落とされても、さらに遷都し徹底抗戦を続けるつもりのようではあったが、日本軍もさらに勢いを増しつつあった。

援蔣ルートもヒマラヤルートで支援は継続しているが、空輸であるため十分な支援とはいえなかった。


ビルマで反抗作戦を開始していたが、やはり日本軍の夜間空襲に手を焼いていた。

インドのレドから昆明へと向かう支援ルートは未だ建設中であり、日本軍の抵抗も強い事から安定した援蔣ルートの早期復活は難しかった。


1943年夏以降、豹変した日本軍に対し、連合国軍は未だ有効な対抗策を講じられていないばかりか押されていた。





1943年12月。日本は戦艦陸奥が異世界より持ち帰った魔法と技能により、戦局を大きく好転させていた。

海軍は第二次南太平洋海戦で大勝利し、陸軍も国民党軍に対し圧勝し続けていた。


異世界に行った陸奥の乗員達が予想したように、探知魔法や暗視の技能は夜戦において無類の強さを見せた。

日本軍の航空機は米航空機の物量に押され始めていたが、夜間空襲に徹すれば物量を覆せた。


魔法と技能持ちが、元陸奥乗員達だけだった時にはできなかった事だが、異力適性がある航空兵が魔法と技能を習得し、探知魔法と暗視・遠見の技能を駆使して、夜間空襲を行い次々と成功させていった。

具体的には、後部座席を改修し夜戦用にした二式複座戦闘機屠龍や、夜間戦闘機月光などが直掩を行い、爆撃機や攻撃機は先に探知魔法と技能で目標を選定し爆撃を行い、その爆炎めがけて他の機体が爆撃を行った。


夜戦型複座戦闘機には、後部座席に技能を使える者が乗り、多人数乗り込む爆撃機や攻撃機にも技能を使える者が一人は乗り込んだ。爆撃隊の誘導を行う者達は魔法と技能が使え、爆撃位置を魔法と技能で選定し、目印となる焼夷弾などを投下した。

航空兵とはいえ、全員が操縦できるわけではないため、操縦は魔法や技能を持たない航空兵が行う場合が多かった。また、暗視や遠見の技能が使える兵を、応急処置として航空兵に仕立て目の代わりとする事も多かった。


航空機の操縦を行う者が魔法や技能を持っていた場合、航空機は昼間と同じ性能を引き出せた。

特に単発戦闘機に搭乗した場合、米夜間戦闘機は物の数ではなかった。


中には艦上爆撃機で米夜間戦闘機に挑む者もおり、それだけ暗視技能を持った日本軍は夜間空襲を優勢に行えていた。

日本軍の夜間空襲の威力は、魔法と技能を持った兵士が増える程に高まっていった。


夜間空襲の成果により、日本の航空機は夜戦を想定した改修が施されていった。

操縦する者が魔法や技能を使えない場合など、他の乗員が暗視の技能で操縦を補い易いよう工夫されていった。


航空機の性能も、無理に高性能を目指さず、安定した性能の物が重宝された。

昼間に活躍する迎撃戦闘機に関しては、高性能な戦闘機が求められ、航続距離よりも高速で上昇力が高く、高火力な機体が採用されていった。


爆撃機や攻撃機は夜間の使用が増えたため、防護機銃など不要ではないかという意見も出てきたが、それは極端だとして却下された。

いくら夜間空襲しか行っていないとはいえ、敵も夜間戦闘機を投入してきており、全く不要とはいえなかったからだ。


技能しか使えなかった間に合わせの航空兵も、よほどの数学嫌いでなければ勉強し、魔法が使えるようになっていった。

とはいえ、そんな者も航空機の操縦ができるわけではないため、低性能の魔法杖を与えられ、探知魔法でも貢献していくのであった。



陸軍における国民党軍との戦いも、夜戦を中心に戦いを進めていた。

探知魔法で国民党軍の位置を特定し、夜間に正確な砲爆撃を行い、突撃技能特化の異能兵を集中的に投入していった。


異能兵は、身体強化・暗視・遠見・鉄壁・思考加速を最低限習得しており、敵の銃弾や砲弾の弾道を捉えかわす事ができ、砲弾の爆風を受けてもよほど至近でなければ致命傷とならなかった。

その他の技能を習得している者はさらに強く、それらが集団で突撃していくのである。


異能兵の戦死者は少なく、致命傷を受けた者も衛生兵による回復魔法で応急処置され、軍医の回復魔法で戦線復帰していくのだった。

さすがに腕や足などを欠損した場合は、戦線離脱となり、内地で回復魔法による欠損回復を研究している所へ送られた。


日本の医療技術は回復魔法も加わり、より高度な物へとなりつつあった。

元陸奥乗員の軍医は、指の欠損や耳などの欠損は回復に成功し、まもなく四肢や悪性腫瘍摘出後の欠損回復などを行えるようになると考えられていた。



ここまで戦局が好転した日本にも問題はあった。輸送船と油槽船が足りないのであった。

日本だけでも不足気味なのに、大東亜共栄圏の経済を支えるには、船舶が不足しているのであった。


そして戦艦陸奥は、船舶の不足を解決する作戦に参加するのであった。

お読みいただきありがとうございます。

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