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シスターアタック  作者: MMR
1章 俺と妹との日常
5/42

5.去年の影響

「いってきまーす!」

「いってきます」

 

 朝食を済ませ、俺と美央は玄関を出る。

 正直、一緒に行くというのは抵抗がある。なので今まで散々理由をつけて回避しようとはした。

 

「今日は日直だから早く行く」

「わかったー、じゃあわたしも早く用意するね?」

 

 予告するとこうなる。

 

「いってきます」

「あーっ、待って待ってよー! わたしも一緒に行くー!」

「み、美央! 着替えの途中で出てくんな! 出てくるにしてもボタンくらいちゃんと止めろ!」

「一緒にいーくーのー! なんとか歩きながら着替えるからっ!」

「待て待て待て! 無理だから! 分かったから早く着替えてこい!」

 

 予告しないとこうなる。

 

 どっちにしても一緒に行かないという選択肢は俺には用意されていないのだ。

 いや、選ぼうとしても選択肢がループするだけと言ってもいいのかもしれない。もちろん結論は一緒だ。

 

「どうしたの? 早く行こうよ?」

 

 先に門を出た美央が俺に手を振っている。

 その動きに合わせるように、高めに結ってあるポニーテールが揺れていた。

 まあ、母さんの言うとおり確かにこういうところを見るとかわいいとは思うが……

 今のようにもうちょっと、おとなしい感じでいてもらいたいものだ。

 祈っても無駄なんだろうな、と思いながら俺は門を出た。

 

 

「んー、いい天気だね」

「ああ……すみやかな青空だな」

 

 心もここまで澄み切っているかっていうと微妙だけど。

 

「よう、高坂。今日も彼女同伴だな」

「うるせー、彼女じゃないっつーの」

「あう……わたしたち、一つ屋根の下に住んでいるっていうのに……」

「誤解させるようなことをわざと言うな」

 

 もはやテンプレートみたいな同級生との挨拶を済ませる。

 しかしこいつはどうも俺と美央を兄妹と思っていないような気がする。マジで彼女だと思っている節がある。

 いい加減、認識を改めてもらわないと困るのだが……

 

「彼女以外のなんだって言うんだよ。だってよ、去年のこと考えればそうとしか思えないだろ」

「まだそのこと言うか……」

 

 朝に美央のリボンを直していた時に思っていたある意味同じ高校になって良かった『去年のこと』。

 それは、かなりの頻度で高校の校門で美央が待ち伏せをしていた、というものだ。

 部活で遅くなっても、早い時間に帰ってもいることが多かった。おそらくずっと待っていたのだろう。

 そんなところを必ずそこを通る生徒が見たらどう思うだろうか。そりゃ勘違いされてもおかしくない。

 だからある意味、同じ高校であるなら待ち伏せされるなんて恥ずかしいことをされずに済む。そう思ったのだ。

 まあ、結局のところ相変わらず校門で待ち伏せされたり教室に飛び込んできたりするわけだが……

 あれ、むしろ状況悪くなってないか?

 

「愛されるっていいねえ」

 

 とりあえず、その言葉にはボディーブローを入れておいた。

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