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シスターアタック  作者: MMR
3章 妹とでーと?
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29.遊園地に行こう

 今、俺は昨日とは逆方向に向かうホームに立っている。

 今日も祭りがあるため、昨日と同じく……いやそれ以上に混雑してあふれそうになっているのとは逆に、こちら側は人もまばら。

 となりには、もちろん、とは言いたくないところだが、美央も一緒にいる。

 今日の美央の格好はパンツルックで、完全に遊ぶ気充分といったように見えた。

 

 しかしなぜ、美央とまた電車に乗って出かけるなんてことが起こっているのか。それはむしろ俺の方が聞きたい。一つ言えるのは、昨日と同じような展開をなぞるかのように行っていることだ。

 

「ゆうえんちーゆうえんちー」

 

 昨日の買い物に行く道中でも同じメロディーで歌っていなかったか、それ。

 行き先だけは違っているが、同じように連れ出されている点においては、トレース以外の何物でもない。

 

「遊園地って……子供かよ」

 

 おそらくまた美央が母親に言って通したのであろう行き先に、ケチつけてみる。

 

「どうせ子供だもーん。ていうか、遊園地好きな人に失礼だよ? 今なんか大人のデートスポットとしても紹介されてるんだから。ああいうデート、あこがれちゃうなあ……うきうき」

 

 一人で勝手に盛り上がって、「ああいうデート」の中身も聞かせてくれないわけだが、別に聞きたくもないので下手に広げないことにする。

 どうせあれだろう。童心にかえって、一日中手をつないで回って、記念写真を撮ってもらうことを盾にしてくっついてみたり、ナイトパレードを見ていいシチュエーションにした後は、パーク内のホテルに泊まって……とかそういう類のものなのだろう。

 うん、自分でも思う。下手に広げないと言った割に、充分脳内で広げてるだろうと。

 

「そういうデートにしても、わたしはかまわないよ? むしろその方がいいなー。どきどき」

「バカ言うな、金が足りな……ちょっと待て、何も言ってないだろうが!」

「ちぇー、引っかからなかったかっ。でもでも、お金が足りないってなんなのかなー? 教えて欲しいなー?」

 

 だめだ、これはまともに相手していたら美央の術中にはまっていくだけだ。

 

「電車来たから乗るぞ」

「あうあう、教えてよー。おにいちゃんのいじわるー」

 

 そう言ってくる美央の表情は、不満を表している感じはなくむしろ笑顔なもので、その笑顔もまた、小首を傾げて口元に手を当てるというわざとらしい仕草と共に作られている。

 そんな何もかもお見通し、といった表情に腹が立つ。

 何が意地悪だ。よっぽど美央の方が意地悪いじゃないか。

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