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シスターアタック  作者: MMR
1章 俺と妹との日常
3/42

3.スキンシップチャンス

「ホントは見たかったくせにー、我慢してるとよくないよ?」

「誰が妹の着替え見て喜ぶかよ」

「あう……他の人だったら見てもいいって思ってるんだ……」

「それも違う!」

 

 同じ高校の制服に身を包み、俺、高坂雄斗こうさかゆうとは美央と言い合いをしながら2階にある俺たちの部屋から1階のリビングに下りはじめる。

 あ、もちろん学校が同じだけで制服が一緒ってわけじゃないぞ。しかも俺が美央に合わせたりしたら変態にもほどがある。

 結局なんとか美央を追い出すことができ、一人で着替えることに成功したものの、俺が着替え終わって部屋を出ると、美央が待ち伏せしていたのだった。

 なんだ、この監視されている気分は。というかなんで男の俺より着替えが早くできるんだ。

 

「あー、今下着替えたのかって思ったでしょ? ちゃんと替えてるよ? 朝からそんなこと考えるなんてえっち。別にイヤじゃないけどねー?」

「そんなこと考えてねえよ……」

 

 思考としては似たようなものだから、当たらずとも遠からずとは言えるが。しかしよくもまあ、エスパーみたいなことをできるものだ。

 

「リボン曲がってるぞ、美央」

「あ、ホントだ。直して」

「自分でやれよ」

「えー、せっかくのスキンシップチャンスを見逃すなんてもったいなーい」

 

 なんなんだ、その深夜のテレビ企画のような響きは。

 しかし美央はまったく気にすることなく無い胸を突き出している。

 

「わかったよ、とりあえずじっとしておけ」

「わーい」

 

 美央が小刻みにジャンプして喜びを表現している。

 じっとしろと言ったばかりなのに。

 

 俺は美央の茶色いブレザーに手をかけ、曲がった赤いリボンの位置を直す。

 下は明るい赤と黒のチェックスカート。

 美央はこの制服が気に入ったらしく、受験する前からこの高校に入ることを目標にしていた。俺が美央より1年早く受験する時もこんなことを言い出している。

「というわけでおにいちゃんもこの高校を受験してねー」

 何が『というわけ』なのかもこの際どうでもよく、全力で無視しようと思っていたのだが、進路指導でここの高校を受けるのがベストと言われ、結果この高校になってしまった。

 なんだか美央の思うつぼになってしまい不本意ではあるのだが、ある意味それでも良かったのかもしれないと思うこともある。

 なにせ、去年のことを思うと……

 

「はーい、スキンシップタイムはもう終わりでーす! なーんだ、やっぱりちょっと触りたかったんだー」

「勝手に言ってろ」

「あっ、待ってよー」

 

 俺は美央から逃げるように階段を下りる。余計なことを言うとますます調子に乗るのは目に見えているから。

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