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シスターアタック  作者: MMR
2章 おかいもの
25/42

25.フェアリードレス

「いらっしゃいませ、お二人様でよろしいでしょうか。こちらの窓側の席にどうぞー!」

 

 どこで食おうかと美央に相談したところ、最近話題になっていて一度行ってみたいところがあるということであるファミレスにやってきた。

 看板には「フェアリードレス」と書いてあった。なんでも美央が言うにはウエイトレスさんがかわいいらしい。肝心なのは食事じゃないのかよ。

 ……まあ、かわいいという点において間違いはないみたいだが。確かに学校で昼食時にクラスのむさ苦しい連中と食っている時があることを考えたら、エッセンスの一つにはなるかもしれない。

 

「鼻の下、のびてるー」

「この店じゃそういうのもコンセプトなんじゃないのか?」

「あう……そ、そうかもしれないけどっ……でもダメなのっ!」

 

 自分で勧めた店に連れてきておいてこんなことを言うのは変だと思うが。

 しかし俺もそんなにしまりのない顔をしていたのだろうか。見とれていたのは正直否定はできないが。

 

「それは今後の参考に……な、なんでもない!」

 

 美央が自分で勝手にしどろもどろになっている。それを見ているとむしろこっちが冷静になるというもの。

 さっき入口で出迎えてくれたウエイトレスさんが注文を取りに来て苦笑いしているのをお辞儀で対応できるほどには。

 

 

「えへへ、おいしかったー」

「まったく、食い意地だけは張ってるな。口の周りにソースついてるぞ」

「えっ、取って取ってー! せっかくのデートにカッコ悪いよ……あうあう。舌でなめ取るとかでも、いいよ?」

「これで拭いとけ」

 

 変わらずどこからつっこんでいいかわからない美央に、ナプキンの入っている入れ物ごと手渡す。

 よくもまあ、冗談とはいえ人のいるところでそんなことが言えるものだ。

 平然といられる自分もよっぽどのものだろう。

 

「さっきのウエイトレスさん、一番人気らしいからおにいちゃんが見てしまうのもわかるけど……でも、ほら」

 

 美央がそう言いながら指さした方を見ると、さっきのウエイトレスさんが、客席で一人でいる男と話している。

 自分たちが食事をしている時でも、客……といってもほとんど男性客と親しそうに話してはいたが、今度はどこか雰囲気が違う。

 何が、ってあからさまに距離が近い。ウエイトレスさんはしゃがんでおり、その男の顔と同じ高さになっていて、もはや触れそうな間合いだ。

 まさか、とは思うが。

 

「あっ……」

 

 さすがの美央も、驚いたらしい。

 本当に一瞬、触れていた。

 店内を見渡すと、男たちの視線が一手に集中している。もちろんプラスの意味とは思えない、時空の歪みが発生するかのようなもので。

 というか、なんでこれで騒ぎにならないのか理解できない。

 

「いいなあ……」

 

 美央もまた、違った意味で理解できなかった。

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