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シスターアタック  作者: MMR
2章 おかいもの
24/42

24.お嬢様はご立腹

 どうやらお嬢様は大層不機嫌らしい。デパートを出る時も相変わらず俺の前を行くが、今度は振り返ることもせずに俺のペースをはるかに上回るペースで歩いていく。エスカレーターもかまわず歩行している。本当は歩いてはいけないんだぞ。

 うん、この一連の言葉の一カ所は嘘だ。不機嫌の理由は「どうやら」ではなく、ほぼ確信として思い当たるものがある。

 ずばり、店員さんと話し込んでしまい、美央を放っておいてしまったから……だろ?

 それを美央に伝えたら、「やっぱりわかってない」と更に怒られ今に至っている。

 うん、再び訂正。どうやらお嬢様は非常に不機嫌な様子です。

 

 これだけご立腹させてしまったにもかかわらず、俺の持たされている荷物は袋一つで済んでいる。

 荷物が軽いのはもちろんありがたいが、財布まで軽くならずに済んで良かったというのが本音ではある。

 この袋の中に入っているのはデパートに来るまでに着ていた服だ。かといってさすがに何も身につけずに街を歩くなんて、どう考えても法律的にアウトな話ではなく、今美央が着ているのは、先ほどの店で購入したものになる。

 要するに、ほぼ俺が選んだ服装を纏っているわけだ。

 あくまで客観的に選んだつもりではあるが、自分の趣味嗜好が入ってしまっているようでどこか気恥ずかしい。

 

「マキシくらいの暖色系フリルワンピ、あ、あとタータンチェックのスカートも反応良かったかな……好みもわかったし、これからだもん」

「なに独り言つぶやいてるんだ、なあ、何かしたなら悪かったから機嫌直してくれって」

「ふんだ。フレッシュなイメージでこっちは勝負するんだもん」

 

 なんだか知らないが、美央は何かに対抗意識を燃やしているらしい。競争は大いに結構であるが俺を巻き添えにしないでもらいたい。

 どこに視線を向けていいかもわからず、とりあえずごまかしみたいに腕時計を見ると、十四時を回っていた。もうそんな時間なのか。

 朝から掃除させられたり美央に引きずり回されたりして、それでいてこの時間だ。さすがに腹も減ってきた。

 

「なあ、何か食うか。おごるから」

 

 ついでに美央の機嫌も直せるかもしれないと、この提案をしてみる。

 

「えっ、おごってくれるの? わーい、いこいこ!」

 

 思った以上の効果に笑いそうになり、口から少しふっと息が出てしまう。まったく、現金なやつめ。

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