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シスターアタック  作者: MMR
2章 おかいもの
19/42

19.本当は?

 電車が止まり美央が降りると、乗客のほとんどが土砂崩れのように迫ってくる。

 その流れにひとたび押し流されてしまったら、はぐれないと言い切れる自信はない。美央の腕をつかんで端に寄った。

 

「もう、強引なんだからっ」

 

 また美央が上目遣いしながら何か言っている。さっきからどういうキャラの位置づけなんだ。その瞳にキラキラとしたものを浮かべようとしている感じはなんだ。

 

「わたし、無理矢理に引っ張られるとその雰囲気に流されちゃうかも……」

「はいはい、じゃあ雰囲気にまかせてとりあえず改札出ような」

 

 電車を一本待つ時間が惜しいくせに、こういうところで自分からタイムロスしてるじゃないか。

 そのツッコミの息を飲み込んだまま、まだ行列の絶えないエスカレーターにわずかながら時間を取られつつ、改札の方に向かう。

 そういえばなんでエスカレーターって片側をあけるんだろう。急いでいる人のためとか言うけど、そのためにエスカレーターの比重が片側に寄って何か問題でも起こらないのだろうか。

 そんなことを真面目に考えていると、

 

「スカート、のぞかないでよ」

 

 エスカレーターで前を行く美央が、ぶち壊す。

 生意気にもしっかり手のひらでスカートを押さえている。

 

「のぞくわけねーよ」

 

 そもそも、たった一段しか間がないのにのぞけるかよ。相当上の段にいたって、そうはのぞけないのに。いや、これはたまたま上にスカートをはいている人がいたから実証できたのだが。

 そういえば美央が今やっているようにスカートを押さえるところがいいというのもいたりする。世の中いろいろあるもんだね。いや、これもテレビかなんかの特集でやっていたのを見たから知っているのだが。

 ……なんだかさっきから言い訳がましいことばかり言っているな。

 

「そういやさっき触られたとか言っていたよな。大丈夫か」

「え? あ、うん、大丈夫だよえへへ」

 

 一応美央のフォローをしようと思って切り出すと、どこか美央はおかしいリアクションをしてくる。

 どこが、と言われると表現がしにくいのだが、言葉に焦りというか何それ、というような反応を一瞬だけ見せていた感じがした。

 

 ……嘘か。

 

 まあそれはそれで良かったような。きついのをなんとかしてほしいために出た行動としてはズルいとは思うが、別に怒るほどのことでもないと思えた。

 こんなことでいちいちどうこう言っていたら、普段の行動からして時間がいくらあっても足りない。

 

「えへへ、ごめんね」

 

 美央が笑いながらそう言ってきたのには一言言いたいところではあったが、なんとかこらえた。

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