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シスターアタック  作者: MMR
2章 おかいもの
16/42

16.掃除の時こそメイドさん?

 誤解に誤解を重ねられて、とばっちりの形で母親に怒られる。

 もはや、その理由をわざわざ振り返りたくもない。

 振り返りたくないのだが。

 

「ごしゅじんさま、早く終わらせちゃお!」

「もういい加減ごしゅじんさまは勘弁してくれ……」

 

 こんなのがいたら、振り返りたくなくても強制的に意識させられてしまう。

 母親から下された判決は、自分の部屋の掃除だ。

 たぶん、何も思い浮かばなかったんだな。そうじゃなきゃ、そもそも面倒とはいえ最終的に俺にしかメリットのないことを言うわけがない。

 まあ、そんなこと口に出しては言わないけど。もし言ったらろくなことが起こらないのは目に見えている。これは母親のひとかけらの優しさだと受け取っておく。

 

「まあ、グチってても仕方ないか……」

 

 言われたからには、やったように見せかけることくらいはしないと火に油を注ぐことになる。チェックしに来るとは限らないが、そもそもそろそろ掃除しようかと思ってはいたし、ちょうどいい機会なのだ。

 

「うん、早くやろやろ」

 

 邪魔なのが一人いるけど。

 

 

「思った以上に大変だったな……」

 

 しばらく掃除機をかけることさえサボっていたせいか。ほこりが角にたまって取りにくいわ、本棚もちゃんと毎回片づけなかったツケで整理に時間がかかった。机周りも物を置きすぎて一旦移動することすらままならなかったし、蛍光灯もちらついていたので変えようとしたらグローランプも真っ黒で、在庫がなかったのでわざわざ買いに出かけたりもした。

 美央がそのままの格好で出ようとするのだけは止めた。母親だけでなく隣近所の方々にまであらぬ誤解を植え付けるようなマゾさは、あいにく俺には持ち合わせていない。そもそもついてこなくたっていいって話だ。

 わざわざまたメイド服に着替えていた美央は、よっぽど一息つきたいくらいには疲れていたのだろう、俺の目の前でしゃがみこんでいた。

 

「美央……いくらドロワーズだからといっても見えてるぞ」

「なんでおにいちゃんがドロワーズを知ってるのかなー?」

 

 注意したのになぜか責めるように返してくる体力は少なくとも残っているらしい。


「いや、なんで知っているかと言われても。そんなのわざわざ覚えてるわけ……」

「もしかして、こういう本とかでお勉強?」

「なっ……!」

 

 美央のやつ、いつの間に見つけてたんだ。何をというのは……想像にお任せしたい。ほら、高校生にもなれば言いたくないような本の一冊や二冊、あるだろう?

 

「お決まりのベッドの下とかじゃなかったから難しかったけどねー、こんな本見なくたって、私が同じことしてあげるのに」

「バカじゃないのか」

「ごしゅじんさまのためなら昼のお世話だけじゃなくて夜も」

「それ以上言うな」

 

 もはや本が見つかったという恥ずかしさはどこにもない。ただ美央の発言に惑わされっぱなしだ。

 ドキドキするなんてとんでもない。次に何を言い出すかわかったものじゃないヒヤヒヤ感が勝っていた。

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