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シスターアタック  作者: MMR
2章 おかいもの
13/42

13.休みの朝

 今日は学校が休み。

 この5日、懸命に勉学に励んできた俺たちに対する、ねぎらいの2日間だ。

 ……今の台詞、自分でも似合わないと思える。美央が聞いたら、間違いなく白い目を向けられていただろう。

 

 とにかく、それでも休みは休み。

 特に今日の予定はなく、完全にフリーな一日を過ごすことができる。なんと喜ばしいことなのだろう。

 リビングで、母親から当然のように、美央にするものとはまったく違う、こっちを見もしない朝の挨拶をされつつ、パンをほおばる。

 うん、この味気なさがむしろいい。牛乳で流し込み、とりあえず腹は膨らんだ。

 ここまで美央の干渉なし。なるほど、どうりで平和な朝だなと思ったわけだ。

 しかしそうなると、逆に何をしているのか気になってくる。先ほどから気づいていたが、美央の部屋があるあたりから物音がするのだ。

 

「誰かと会う約束でもあるのか?」

 

 そこには、そうであってほしいという願望も入っていたりする。

 狙いが当たってくれたその時は、本当の意味で自由な一日が過ごせるわけだ。

 

「ちょっと美央がうるさいわね……雄斗、ちょっと見に行ってきなさい」

「なんで俺が」

「あんたしかいないからよ。お母さんが美央にそんなこと言えるわけないじゃない」

 

 なんて親だ。自分の手を汚さず、っていうのはこういうことを言うんだな。

 

「ごちゃごちゃ言わないで、早く行く!」

 

 何にも言ってないのにその言い方はないんじゃないか……それとも、それでも行ってしまう自分が甘いんだろうか。

 

 

 美央の部屋の前までやってきた。

 思えば、俺の部屋に美央が乱入してくることは多かれど、俺が美央の部屋を訪れることなんてほとんどなかったような気がする。

 というか、そんなの自分から網にかかりにいく魚のようなものだ。

 今からまさしくそれを実行しようとしているわけだが……これから出かけてくれるなら平気だろう。そう思いたい。

 とりあえず、ノックはしておこうか。

 普段美央にノックくらいしろと言っている手前、自分がしないわけにはいかない。

 俺は軽く2回、「mio」とローマ字で書かれているハート型のプレートの下辺りを手の甲で叩いた。

 しかし、物音はするが返事はない。

 

「聞こえてないのか?」

 

 物音にかき消されて、通じてないというのは充分ありうる。

 まあ、一応ノックはしたからな。入ってもいいだろう。

 

「美央、入るぞ」

 

 ドアノブをひねり、中に入る。

 と同時に、俺は動きを止めた。

 中にいる美央も、動きが止まっている。

 

 美央は、ワンピースみたいなものをかぶろうとしている最中だった。

 ……つまり、ほとんど素肌が広がっている状態。

 

 しかもなぜか、足下にひらひらのカチューシャ、かぶろうとしていたワンピースも全体的にフリル多めの、黒を基調にしたもの……いわゆるメイド服のようなセットが用意されている状況で。

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