ひとりぼっちのおひさまがないたひ
空を見上げると、いつもまぶしく見えるお日様。
お日様がいるから、みんなはあたたかく、楽しくくらせます。
お日様は朝と昼にかけて、みんなと会うことができます。
でも夜は会うことができません。
夜にお日様はしずんでしまうからです。
みんなとおしゃべりすることは、できないけれど。
みんなが楽しそうにしているのを見ることが、だいすきでした。
「お日様。いつもありがとう」
がんばってお日様がおやさいやくだものをてらすと、おれいを言ってくれる人がいました。
それだけでお日様はうれしくなりました。
だからお日様はまいにちがんばります。
みんなのたべものを育てるために。
「お日様はおれのものだ」
「いや、ぼくのものだぞ」
ある日、お日様は自分のものだという人が出てきました。
お日様はだれのものでもありません。
お日様は悲しいですが、なにも言いませんでした。
なかなおりしてくれることを、しんじていたからです。
「お日様はぼくたちのものだ。嘘をつくな」
「それはちがうよ。そんなことを言ったら、ぶってやるぞ」
そうしていると、だんだんケンカははげしくなり、せんそうになりました。
お日様はとても、とっても悲しくなりました
でもお日様はなにもできません。
お日様はみんなをてらすことしか、してはならないからです。
お日様がおこってなにかをしようとしたら、みんなもえてしまいます。
お日様はそれしかできないことが、とても悲しいのです。
「たべものがない」
「でもお日様はわたしたちのものよ」
「そうだ。ぜったいにお日様はぼくたちのものに、しないといけないんだ」
せんそうはつづきました。
だからみんなたべものを作ることができません。
いつも子どもたちは、おなかをすかせています。
お日様は悲しいかおをして、それを見ています。
「おなかすいたな。お日様はおなかすかないの? いつもなにもたべてないのにね」
かわいそうにベッドにねたままの子どもが、ひとりで家にいます。
この子のお父さんとお母さんは、せんそうに行ってしまいました。
お日様は自分たちのものだと思っているからです。
お日様は悲しくなりました。
なんでこの子に、たべものをあげないんだろう。
お日様はふしぎに思いました。
人間はたべものがないと、生きていけないはずなのに。
みんなはひとりぼっちじゃないのに、なんでなかよくしないのかな。
おなかがすいてもケンカをするのかな。
それはなぜか考えると、とても悲しくなりました。
「おなかすいたな。お父さんとお母さんはどうしてるかな」
すっかりやせてしまった子は、家の外に出られなくなってしまいました。
たべものも取りに行くことも、できませんでした。
お日様はなにもできません。
なにかをしようとすると、みんなをもやしてしまうからです。
お日様はとても大きく、大きすぎる火の玉なのです。
「おなかすいたな。なにも見えないな。でもお日様のことはわかるよ。だってこんなにあたたかい」
お日様はうれしいけど、かなしかったです。
そしてお日様はどうすればいいか、わかりませんでした。
自分はもうかくれてしまった方がいいのかな。
でもかくれたら、みんなをあたためられないな。
考えてもなにもわからず、夜になりました。
お月様とお星様はお空に出ることができますが、お日様はだれとも会えません。
あの子はどうしたかな。
はやく会いたいな。
こんなにさむいんだから、はやくあの子をあたためてあげたいな。
「お日様。わたしのことを見ていてくれてありがとう。わたしのことをずっと見ていてくれたけど、でもお日様はひとりぼっちなんだね」
そう言ってこの子はうごかなくなってしまいました。
お日様があたためても、からだはつめたいまま。
そしてそのまま土にうめられてしまいました。
お日様は泣きました。
それが雨になりました。
お日様はなにも見たくなくなると、雲を出すようになりました。
とっても悲しくて、いやなものを見るとお日様は、みんなを見たくなくなってしまうのです。
そんな時、お日様は泣いてしまいます。
だから雨の日はふえるのです。
とてもいやなものを見た時は、お日様はおこります。
だからちきゅうは、あつくなってしまいます。
今日もお日様は自分のものだという人がいます。
それでもお日様はがんばって、みんなのことを見ています。
夜は休めるけれど。
まいにち、はたらきつづけます。
みんなをてらすために。
みんなをあたためてあげるために。
これからも、ずっとひとりぼっちで。
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