第38話 帝国崩壊
帝国への侵攻は、結果的に大きなメリットをもたらした。
相手はまだトレンス王国の侵攻に完全に備えきれておらず、簡単に国境付近にある帝国の城を陥落させることが出来た。
当然帝国も黙ってはおらず、取り返しにはきたが、それを撃退。
帝国は、トレンス王国以外にも戦線を抱えており、トレンス王国との戦いに力を注ぐことで、ほかの戦線に動員する兵力がどんどん減少していき、遂にトレンス王国以外との国の戦争にも敗北をし始める。
こうして徐々に帝国を追い込んでいくことに成功し、遂に皇帝の住む、ルドヴィア城以外の城を陥落させ、帝国を完全に追い詰めることに成功した。
○
「残りはルドヴィア城だけだ!!」
最後の戦い前日。
シンシアは兵たちを奮い立たせるように叫んだ。
事前に帝国に対しては降伏を促す勧告を行なっていた。しかし、結局皇帝は降伏するという選択はしなかったようだ。
もはやこうなってしまっては、勝ち目はない。
明日までに僕のように魔法を大量に持つ者も見つけでもしない限り、覆し用のない状況になっている。
それでも降伏しないのは、皇帝としての意地か、もしくは現実が見えてないかのどちらかだろう。
ルドヴィア城は固い城だ。
力攻めでは自軍に無駄な被害が出る可能性が高いと、シンシアは思い、まずはルドヴィア城内にいる兵士たちに投降を促した。
皇帝はまだ抵抗する気だろうが、家臣たちがどうするかは分からない。
投降すると命は助けると言えば、この絶望的な状況を考えると降る兵も多くいそうだ。
予想通り大勢の兵が投降してきた。
敵軍の中でも重要な役に付いている者たちも、大勢投降してきたので、もはやルドヴィア城は丸裸にされたのも同然だった。
その後、皇帝がルドヴィア城から逃げ出したという情報が入ってきた。
皇帝を逃がすのは、かなりまずい。別の場所に逃げられて再起をはかられ、戦が長引く可能性が高い。
シンシアは大勢の兵に命令をさせ、皇帝の逃亡を探させた。
大勢の兵を味方につけていたため、皇帝を捕らえることに成功した。
皇帝は処刑まではされないまでも、元々僕が流される予定だった島に、流されることになった。
「貴様らぁ! わしを誰だと思っておる!」
流刑される直前、皇帝は激しく抵抗した。
元々身に付けていた豪華な服は、粗悪な服になっており、顔は痩せていて、髪も乱れている。以前の面影がまるでない。
島流しをする前に、会って一言くらい文句を言ってやるために見にきたけど、その皇帝の姿を見て言う気が失せてきた。
わざわざ言ってやる必要もないかと思い、その場を後にした。
○
戦後。
大活躍したので領地を大きくしてくれるとシンシアが提案してくれたけど、僕は今のハクシュトア領主のままでいいと、断った。
大きな領地を治めるのは、あまり向いてなさそうだし、それに僕はハクシュトアが好きだ。
ここをもっともっと発展させるのが、僕のこれからの使命だと思う。
成長魔法の残り数はほとんどないけど、僕の周りには優秀な仲間が大勢いる。
皆の力を借りながら、これからもハクシュトアの領地として精一杯生きていこうと、心に誓った。
【完結しました】
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