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第36話 対帝国戦

 帝国軍の数は桁違いに多かった。


 本気で今回のトレンス王国の反乱に、怒っているという事だろう。


 トレンス王国が動員できる兵力の、十倍は攻めてきた。


 普通は十倍の差というのは覆しきれるような差ではない。


 しかし、魔法を豊富に使える人材が多ければ話は変わってくる。


 ルベルトさんの話では、帝国の総使用可能魔法数は、徐々に少なくなっていっているようだ。


 他国との戦争や、反乱などが起こったとき、魔法兵をつかわなくてもいいような場面でも、積極的に動員しているからである。

 その理由は、はっきりとはわからないけど、ルベルトさんは皇帝が魔法を使える者を恐れており、魔法を使わせて消耗させ、反乱を起こしにくくするためだろうと、予想していた。


 ない話ではない。

 僕というたった一人の魔法使いの存在で、劣勢が一気に覆り、帝国は一気に圧倒的な力を持つ国家になった。


 皇帝はそれをよく知っているだけに、その魔法使いが敵になったらどうなるか、というのもよく理解しているのだろう。


 魔法使いの数が減っても、帝国は兵数で他国を圧倒している。負けることは普通は考えられない。


 実際、総使用可能魔法数が減ったとはいえ、トレンス王国よりは帝国の方が多い。僕が成長魔法で増やしまくった分を入れても、負けているのだ。


 だが、あくまで総使用可能魔法数なので、上級魔法も下級魔法も同じ一回として記録される。

 最上級魔法と上級魔法の使用可能数は、トレンス王国が100倍はあるとルベルトは言った。

 さらに、最上級魔法は帝国はいざという時にしか使ってこない。今回の侵攻では使用はしないだろうとのことだ。

 彼は帝国の魔法使いの情報についてはかなり詳しい。

 帝国からしたら、絶対に逃してはいけない人材をトレンス王国に逃してしまったようだ。


 シンシアは、軍議を行い、亡命したルベルト、アッシュから、情報なども色々と引き出して策を練り、軍を出撃させた。


 帝国は兵をわけて、国境付近に築かれた砦、ローランドー砦、パンド砦、シーカック砦の三カ所を同時侵攻してきている。


 まずは一番重要なローランドー砦を僕達が守り、それからほかの砦に援軍に行く、という戦略をとることになった。


 大将であるシンシアは、防衛では本拠地である王城から動かずに指揮をする。


「それでは皆出陣せよ! この国を悪しき帝国の手から守るのだ!」


 シンシアの号令で、兵たちが砦へと進軍を始めた。


 5日後、ローランドー砦に到着。

 まだ、帝国は来ていない。


 急いで兵を配置した。


 ローランドー砦は非常に堅牢なことで知られている。城壁が非常に高く、高所から魔法攻撃を浴びせることが出来た。


 今回の戦では、本格的に魔法を多く使用していく。もちろん一気に全部使うわけにはいかないが、親帝国派との戦では、ほとんど無使用で切り抜けたのでそれよりは多く使うつもりだ。


 準備を終えて数日後、帝国兵が攻め込んできた。


 敵はこちらの兵が少ないだろうと知っているので、とにかくゴリ押しで突破してくるつもりのようだ。


 好都合である。

 包囲などを最初からしてきて、慎重に攻めてきたら結構面倒だったけど、力押しなら対処法は簡単だ。


 上から魔法を浴びせて、そして的に大損害を与えた後、それから僕が率いる精鋭兵たちが砦から飛び出して敵を撃ちにいく。


 まあ、大まかな戦略は親帝国派戦とは変わらないけど、今回は魔法の援護が多めに入る。それだけは違う。


 魔法使いたちの指揮はルベルトに任せて、僕は門の前に行き、出撃準備をする。


 僕からは細かい戦況は見えないので、出撃のタイミングはファリアナが指示をする。彼女は指揮経験も豊富なので、僕よりもきちんとした判断をしてくれるだろう。


 ルベルトが魔法を放つよう指示を出し、戦場に魔法が放たれた。

 直接その様子は見られないが、最上級の魔法を使用しているので、恐らく敵はかなり混乱している事だろう。

 防御魔法を使える魔法使いも連れてきてはいるだろうが、最上級の攻撃魔法を防ぐには、最上級の防御魔法が必要となってくる。

 最上級の防御魔法を持っているものは、戦場を出ずに帝都の防御を固めているはずだ。

 まあ、仮に使うものが戦場にいたとしても、こちらの使える最上級魔法数はかなり多い。

 全てを防御し切るのは不可能だ。


 しばらく待ち、ファリアナからの指示があった。

 僕は門を開けるように号令を出し、門が開いた。


 僕を先頭に精鋭五百名が、一斉に戦場に出る。


 戦場は地獄絵図と化していた。

 最上級、上級魔法を数十発撃ちまくったらこうなる。


 敵兵は大混乱していたが、それでも敵の指揮官が何とか兵を立て直そうと、号令をかけていた。

 指揮官はこの状況下でも死なずに、その上で兵を立て直そうとしていることから、かなり有能な人物であることが窺える。


 彼を最初に討ち取るべきだ。


 僕は、ほかの兵にはめもくれず、指揮官だけを目掛けて走った。


 全力で走ったら今の僕は、馬よりも早い。

 敵兵は反応できず、追いかけることも出来ない。


 指揮官に接近し、剣で心臓を突き刺した。

 剣を引き抜く。

 その後、襲いかかってくる兵たちを全員斬り捨てる。


 すると、逃げ出す兵がどんどんできて、襲いかかって来なくなった。


 僕は兵たちに追撃指示を出して、追い討ちをかける。


 ある程度、追いかけて兵を大幅に減らした後、待てと指示した。


 帝国軍は壊滅状態になり、敗走していった。



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