貴方は招待されました。
___いつの間にやら白い空、白くて平たい地面、白だけの世界で真っ黒で悪趣味な扉を後ろにして突っ立っていた。
とても大きな扉だ。如何に自分がちっぽけな存在か、いやでもわかってしまう程に。
___後ろから声がする。
『よぉ』
振り向く。
『...誰?』
__ゾッとした。
そこにいたのは、暗い赤色の肌、尖った耳に赤い虹彩の眼。笑って八重歯を見せ、全身に金色の腕時計をしたスーツ姿のゴブリンであった。
『面白い物語が好きな悪魔...だな。』
『...そう』悪魔とはこんな姿だったのか。
『まぁ警戒すんなって、俺はお前に聞きたいことがあって此処に呼んだんだ。』
『....』
『お前、異世界来るか?』
『え?』
『異世界だ異世界。剣と魔法のファンタジーな異世界だよ』
『...どうだろう、魔法は師匠が教えてくれるからなぁー』
『そうか、じゃあ来たくなったら時計に言ってくれよ。時計なら何でもいいぜ。』
『...分かった。』
『オッケー、オッケー。じゃあ、俺はやることやったから帰るわ。』
悪魔はいつの間にか開いていた扉へ消えていった。
地響きを起こしながら扉が閉じていく。なぜか焦りが沸いてきた。そのいやな感情に駆られて、扉へ向かおうと走る。しかし無慈悲にも扉は閉まった。途端に、たった今まで響いていた音がその扉と共にきれいさっぱり消え去ったのだ。足場が海のようになり、僕は意識と共に海底へと、深く、深く、沈んでいくのだった。