おっさんスライム竜に出会う8
卵。玉子。玉子丼。いや、他人様のべいびぃ見て何、食い物連想してやがりますかねオレ。
『どうじゃ可愛かろ』
疑問系ですらないのな……。
スガルガに卵を見せて貰った。
ドヤ顔で紹介されたが、どらごんのドヤ顔ってレアじゃね?。
実際産まれてきた赤ちゃんなら種族問わずだいたい可愛いモンだけど、流石に卵に愛情感じるほど極まってないわー。
しかもボールみたいなオレよりこの卵二周りほどデカイし。
とはいえ、めっちゃドヤ顔のスガルガに違うと断言するほど命知らずじゃない。
いや、この思慮深く慈悲深い竜が、卵を可愛くないと言われて即殺戮に移行するほどアレな行動を取るとは思えない。だが、一方で愛情深く話好きなこの竜の地雷を踏み抜き三日三晩卵の愛らしさをぶっ続けで炎の講演家されてもそのなんだ、困る。
結論として
『そうね』
と答えるしか無かった訳で。
でもその結果。
三日三晩卵の愛らしさを語られるスイッチを押す事になるとは思わなかった訳で。
結局オチとしては変わらなかった訳で。
ぎゃふん。
貴重な寿命を使ってお互いナニをやってんですかねぇ。
ただ終わった後で考えるとスガルガはオレに卵に興味持って欲しかったんだろうな。とそう思う。
『そういや、この仔の名前何て言うの?』
『決めとらん』
『ん? 早いトコ決めとかなくていいの?』
『いや、出来れば産まれてからそなたに付けて欲しい。名前やったろう?』
返礼寄越せと? まぁ、解る。だけど。
『うげ? いや、そういう大事な事はママンなりパパンが決めなきゃ駄目じゃね?』
そんな責任重大案件持ち込まんで欲しい。いや、卵預かるんだから今更なんだが。
オレに任すと返礼に体色ネタやっちゃうぞ?。
『まぁ、そうなのだがな。我以外に祝福されて産まれてきて欲しいと思うのだ。だからそなたに名付けを頼みたい。駄目か?』
『……解った。でも候補位寄越せ。竜の名付けルールなんて知らねーよ。第一スガルガってどういう意味?』
『産まれたトコの名前じゃな』
『てきとー過ぎんだろ!!』
『竜は傲慢だが、おおらかでもある故な』
したり顔のどらごんっつーのはレアなのかどうなのか。
『まぁ、オレの祝福を貰ってくれるなら嬉しい。かなぁ』
『ああ。そなたのが善い』
卵談義のオチはだいたいそんな感じだった。