おっさんスライム竜に出会う7
そうだ大鹿を狩ろう。
迷宮の入り口付近の山頂近辺に生息する大鹿はスガルガの好物だという。
なので見舞いの品に欲しい。
今居るのは迷宮の深部。ほぼ山の麓らしい。人間の足でモンスター等の障害を考えなければ山頂まで一日二日位の距離。
スライムの移動速度的にちと遠い。
無論人間には不可能な経路も使えたりするから短縮出来る処なんかもあるだろう。
しかしここを長時間離れてスガルガがおっちんだら何の意味もない。
山頂での狩りを実行するのはちょっと考えるな。そもそもどうやって狩るかって話もあるんだよなー。やっぱ保留かな。
ちくしょう何も出来ねぇ。出来る事一つずつ重ねていかないと。
てなわけで竜の目の性能が壊れ過ぎて便利さが息をしてないので、スガルガが寝たのを機に小動物なぞ狩りに来ています。
現場のモモさ~ん。
は~い。なんて寒いネタ寂しさからかましつつ。
待ち、うぇいと、ステイ、オレ。
スライムの狩りは基本待ち。
待ちスライムが基本戦術だってスガルガが言ってた!! そりゃ足遅いし射程狭いし、火力は無いし? 上から落ちる以外割と選択肢ねぇよな。
なんで先人? の知恵に倣う。
スライムボディは振動には敏感だから、意外とじっとしていると付近で動いている物体を感じられる。
程よい小動物を見つけたので襲ってみた。
目標は蝙蝠だ。洞窟の天井にスニーキングミッションし休憩するために天井に近づいた蝙蝠にガバッと拡がり抱き付き落ちる。
オレの酸はまだ、弱くて直ぐに獲物を消化吸収出来ない。なので頭にまとわりついて窒息を狙う。
忍者の投げ技よろしく蝙蝠の方には落下のダメージも入るから割とそれで動けなくなるようだ。スライムの簡単な仕組みの身体は落下ダメージに強い。
そもそも痛みを感じる神経無いしな。
そんな訳で初の蝙蝠げっと~♪。
さっそく消化吸収してスキルの奪取にかかる。弱い視力や味覚、中々鋭い聴覚、嗅覚や羽なんぞ獲てみた。
羽、うぃんぐ、これが有ればオレもあの自由な大空へ!!
スライム。翼を授ける~♪
飛べません。
飛べませんでした。大事な事だから三度言う!! 飛べねぇんだよー!!。
多分蝙蝠の羽で飛ぶにはオレの身体重すぎるんだな。だいたいサッカーボール位の大きさだしなぁ。上手く空洞化したりダイエットしたりフレームの技術革新が必要な模様。
無念。
とりあえず悔しいのでついでにネズミなんかも狙ってみる。こっちは罠の定番ゴキブリホ○ホイ。ネズミ取りの鳥もちもおんなじ仕組み。その鳥もちがオレな訳です。まぁ、駆除するだけなら水源作ってネコイラズで汚染するのが楽だったりするらしいけどね。だけど見えないトコで死なれて虫や悪臭の原因になるって話だから良し悪しかな。
さて、二匹目の蝙蝠が狩れたのでエサはそれ。量より種類が欲しいんだよね。いや、待てよ? おんなじのばっかり狩って捕食したら熟練度的なモノ上がらんかしらん?。
ゲームじゃねぇしねぇか。
そうこうしてたら子ネズミげっと~♪
……可愛い。蝙蝠もそれなりに可愛いんだが、子ネズミは更に可愛い……。
可愛いは正義。
なら見逃すか?。
だが断るッ!!。
オレは悪。モモ覚えた。
キュイキュイと可愛らしく鳴く子ネズミを自分とスガルガの為に容赦なく殺した。
弱肉強食。
いつかオレもこうやって誰かに喰われちゃうんだろうな。
自然の理を強く感じた狩りだった。