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おっさんスライム竜に出会う5

『どぼちてそおいうこというのーー!!』


 どらごんの友達って殺し合いすんのかっ!? どんだけフェータリティなんだよ!!。


『んん? ああ。そうかそなたには見えておらんのだな』


 はい?。


『我が身を貫くこの槍が』


 はいい!?。


 もしオレがスガルガを見る事が出来ていたら、その身を貫く槍の禍々しさに恐れ戦いただろう。


 この世界の世界樹を取り殺した、宿り木の枝でで造られた人の底抜けの悪意の結晶(カタマリ)


 魔槍ミストルティンの威容に。


『ぼうけんしゃというのだろうか。少し前にやって来てな不覚を取った。刺さった場所が悪くてな。牙も足も届かず抜こうにも抜けず血も止まらずほとほと困っておるのよ』


 ため息をついたのだろうか。思念で伝わる辺り芸が細かい。


『その上、妙な呪いまで掛かっとる。恐らくこのまま死ねばアンデッドになるだろう』


『それは避けたいのだよモモ』


『そ れ は……』そうだろう。いや、しかし。


『もしアンデッドにならば我が吾子が孵化する前に卵を瘴気で汚染してしまうだろう。それも避けたい。いやそれこそ避けねばならぬ』


『へぇ、たまご…… たま、吾子。え、

 メスぅぅぅ!?』


『アアン? そなた我をなんだと思っておった? おや、何故か急に腹が減ってきたのう? ンン? まったくこの美しい紅玉のような鱗が目に、目に入らんのぅ……』


 やや困惑気味の彼女にあわわと慌てつつ。


『さーせん』


 めんたま無いです。つかそんな気の毒そうに言わんでも。スライム差別です。


『えーっと、お子さんいるんで?』


『ウム』


 なんか誇らしそう。

 ちょっといいなと思った。


『故に我はアンデッドになる前に死に、吾子が孵化するまで預けられる相手を探さなければならぬのだ』


『スライムにドラゴンが殺せるとは思えませんけど?』


『陛下は誰より強かったがな。御隠れになってしまわれたが』


 すげえなドラゴンより強いとか意味解らん。そいつ絶対スライムじゃねぇ!!。


『旦那様は?』


『竜は個人主義故に何処行ったかワカラン』


 つ、使えねー。


『やんなきゃダメか?』


『やってくれんと我が困る。そなたの義侠心に期待する。報酬は我の全てだ。依頼内容は我に安息を持たらす事、吾子が孵化するまで側にいるか、それを成してくれるそなたが信頼出来る相手に卵を託す事。どうだろう。正直この槍、無茶苦茶痛くてなぁ、もう楽になりたい』


『助からない。のか……』


『最高位の世界樹に連なる神官とかが祈祷してくれれば可能性位はあるかな。だがこの魔槍はそんな甘っちょろいもんでは有るまいよ』


『どうやればいい? スライムにドラゴンをどうこうなんて無理やろ?』


『普通は無理だな。だからスライムの食性と進化の多様性と速度に賭けよう。スライムは食べたモノで成長進化する。我を食べてその大食いの速度で魔槍が我を殺す速度を振り切るしかあるまい。槍を傷ごとほじくり患部を槍ごとまとめて除去するカタチでも良いな。ゆっくり我を貪れるぞ』


『あ、それならその術式なら助けられないかな?』


『無理だろう。試してみてもいいがごっそり肉が無くなる。内臓にもかなり到達しておるからな。そもそも致命傷なのだ。我がドラゴン故にまだ死んどらんだけに過ぎん』


 死体ではないが既に死に体。

 故に死にたい。ってか。


 まさか異世界でドラゴンの安楽死問題にぶつかるとか意味解らんなー。


『解った。やるよ。その代わりスガルガの事を教えてよ。卵が孵ったら親どんな竜? って聞かれたら答えられるようにしたいからさ』


『有り難うモモ。だがまぁ、多分そこを気にする竜はおらんぞ?』


『いいの! オレがスガルガの事知りたいの!!』


『ふむ。転生者は変わっとるな善かろうだが作業と並行しながらだぞ』


『オッケー』


『まずは我が瞳をやろう。目が見えなくては槍にうっかり触れて二次被害を起こすからな』


『ほら、スガルガの話も速くプリーズ!!』


『解った語って聞かせよう。我が武勇を我が生きた千年の歴史を』



 そして竜の終末期が始まった。




『あーー まさか恋の話もせにゃならんのか?』


『そこ!! そこを一番詳しく詳細かつダイレクトにビビッドにプリーズ!!』


『本当に良く解らんスライムだなぁ、そなたという存在は…… まぁ、善い。なら覚悟しておけ長いぞ?』


『よっしゃー!!』


 ついでに恋バナも。

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