おっさんスライム竜に出会う15
魔石。
魔物達の核になり魔力を蓄え放出する石。
水にも油にも溶け、生体濃縮で凝りその純度を上げる。その正体は異世界ならぬ異星からの来訪者。ケイ素系の生物であり生物の身体に潜り込みミトコンドリアがエネルギーを作るように魔素を吸い魔力を生成する。
あれ、魔素と魔力って違うモノ?
言葉のアヤかな?
よくわからん。
『つまり、A◯MS……』
『モモよ、それはイカン。世界には使ってはいけない言葉があるんじゃぞ』
『滅びの言葉か……』
『その通りじゃ』
『モモ覚えた』
『うむ。モモは賢いのう』
それはともかく。
魔石だ。
スライムに目はない。というか触覚以外の感覚はない。なのに魔石は“そこ”にあるとわかる。不思議な感覚だ。
魔石とは呼び合い一つなろうとする“モノ”なのかも。
『つまり、リユ◯オン……』
『モモ、それ以上はいけない……』
おっといけないいけない。よくわからないがいけない。
そこにあるのは解っていたけど、ネズミの目を体表に作り魔石を見た。
魔石は鈍い耀きを放っている。
この暗い穴蔵の中でもハッキリ見えるな。
……いくか。よし女は度胸、男は愛嬌。
カエルなんぞにビビってられっか!!。
『モモいきまーす!!』
魔石を取り込み自身の核である魔石とカエルの魔石をくっつけ一つにする。カエル魔石を侵食する。
しかし浸食されたのはコチラの方だった。
ビキキっ!!
あ、いっったぁ!? なにこれ! スライムには痛覚ないっつのに!!
全部の歯が取り返しつかないクラスの虫歯になって、かき氷頬張ってついでに一枚一枚ゆっくり手足の生爪剥がしてタンスの角に足の小指ぶつけたみたいな、神経そのものに直接刺激するみたいな、
げ、き、つ、う!! アイター!!
終わらない、途切れない。それは魂そのものに響き、訴えかけられるかのよう。
そしてオレは見た。
走馬灯のようにカエルの一生のようなモノを追体験した。
卵から産まれ兄弟と育ち、餌さとなる自分より弱い肉を食べて、おたまじゃくしからカエルになり、そして死んだ。
オレに腹を突き破られて。
その衝撃をまともに受けてオレは……
意識を喪った。




