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おっさんスライム竜に出会う13

『ふむ。ベタベタだのう……』


『サーセン』


 オレの涎まみれの蛙を見たスガルガの一言。


 つか涎なんかね? 粘液じゃね?。

 美少女+粘液という絵面が浮かぶが思考の片隅に留め置く。


『やっぱり嫌かな?』


 べろりと舐められた。


『ふふふ、嫌なら口に入れようとは思わんわ。これ、アレじゃろう? かんせつチューというヤツじゃな?』


『ばっ、ちげーし』何恥ずかしい事イッテンノ!?


『他者の吐き戻しとか仔竜の時以来千年ぶりじゃからちょっと面白いぞ』


 そういうもんかねー。


 三匹狩った内の二匹を差し出すが一匹で良いと固辞される。


 ギリ食欲はある、と。がたいして食えないと……。


 焦るな、焦れるな、トチるだけだ。


 とりあえず自分も食べる。ネズミ等に変化してかじれば味も楽しめるかもしれんが同化して形質を獲得できるか微妙なのでスライムのままでスタッフが美味しく…… いや二匹いるんだし最初はネズミに変化して食べてみようか、あんま美味しそうじゃないけど出来る事出来ない事の確認は大事だ。


 結論。


 普通に食事になっちゃいました。

 形質は獲得ならず。いや、ちょっとだけやれそうな感じはしたからスライムとしてレベルアップしたらこのやり方で例えば戦闘中相手の部位を噛み千切って即自分のパワーアップに繋げられるんだけど、今はそうは問屋がおろしませんよー。


 ぐぬぬ。


 味は微妙? 唐揚げにしたら美味しいかも。


 というわけで今度は侵食同化を試みる。

 うん、何度やってもホラーだわこれ。

 だって生物の身体がスライムに徐々に置き換わっていくんだぜ?


 軽くドン引きですわー。


 そうして蛙さんのボディを手に入れました。


「ちぇーんじフォーム“ケロケロ”」

 くっ、呪われた血の宿命(ちゅうにびょう)から逃れられない…… いや、ウチ、両親ともオタエリートでオレにオタの英才教育してくれましたからね。

 平成限定なら全仮面ラ○ダーの変身ポーズやれるよ!!。一作品四人位いるから覚えるの苦労したなぁ……。


 てなわけでケロケロチェンジですが質量的に食べた分で足りたのか一応形を保っております。あ、でも大型の魔物なので魔力消費がツラい……。ガリガリ削れてる。早めに戦力分析しないと勿体ないなこれは。


 とりあえず蛙といえばまずは舌!! だと思うのでその辺の小石に向かって舌を発射!!。


 小石不味ッ!!


 それくらいのテンポで味覚に反応。ついでに口の中に小石が含まれる。


 うん、 おそろしく速い舌使い、オレなんかじゃ見逃しちゃうね 。


 直撃だったもんな…… いや、スライムに反応速度と機動力求められてもそのなんだ困る。


 二度三度試してみると性能が解ってきた。結構重い物を引っ張れる模様。五十キロは楽勝八十キロくらいまでいけるんではなかろうか。


 唾液は粘度が可変でねばねばにすると接着剤染みていて、しかし多いより少ない方がよく巻き取れる。蛙の身体って不思議。


 とここでタイムアップ。蛙変身を解いた。グズグズと溶けるようにいや解けてんだけどさ、スライムの身体に戻っていく。こーなんだろね? 全身の筋肉をパンプアップさせていたボディビルダーが力を抜いたような感じ。筋肉ないけどさ。


『ふーん面白いな』


『そお?』別に芸ではないんだけどね。


『ふと思ったんじゃがソレ使えんか?』

 彼女の指し示すモノを見た。


『骨?』

 彼女が指し示すモノ。それは食い残しの蛙の骨だった。

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