おっさんスライム竜に出会う12
風…… 生まれて初めて頬に風があたっちょる!!
ま、スライムだから頬ないんですけどね!!
って二度ネタ見苦しい……。
誰に聞かせる訳ではないのだが、なんというか自分でやってて死にたい。
くっころ!! いや、いっそころせ!!
いっころ!!
ああ、もう。笑いの道は一日にしてならずぢゃ!!
そんなしょうもない小ネタかましつつ、裂けた蛙さんの腹からコニャニチワして這いずり出る。
うーわー。自分でやっといて何だけど引くわー。牽きまくりやがりますわー。
あーー 百舌鳥のはやにえというモノをご存知だろうか。
百舌鳥が虫や小動物で作る前衛アート。ではなく端的に言うと干物なのだが。木の枝に刺して作り冬の間に食べるらしい。そのまま忘れる事もあるのでそうなった小動物はまさに死に損。どんまいである。
さて蛙さんであるが。そんな感じに腹から複数の宝剣名剣、槍や斧槍なぞ生やしていて実にアート。
という事にしておく。
まぁ、やらなきゃ俺が食い殺されてた訳で?
この世は所詮、焼肉定食。強い物だけが上カルビを食せるのだ。
さて、俺が勝った以上は美味しくいただきましょうかね。
しかし想像以上に上手くいったなー。
この宝剣、名剣はスガルガの巣穴から引っ張ってきたスガルガの戦利品だ。仮にも? スガルガを討ちにこようとしていた勇士達の持ち物だから当然その性能は折り紙付き、本阿弥家だって太鼓判押しちゃう逸品揃いだ。
装備する事が出来ればそこらの有象無象に負ける訳がない!!
まぁ、スライムには腕が無くて装備出来ないんですけどね!!
ちくせう。
コイツらを振る事が出来たらもう少し楽なんだけどな。
とりあえず剣から胃次元収納~~。
大道芸よろしく剣を飲んでいく。
やった事は簡単。先に剣を飲んどいて蛙に食われたらその剣を蛙の腹の中で吐き出すという極めてシンプルなプランだ。
俺の汚い王の◯宝(ゲート オブ バビ◯ン)で花火にしてやったぜ!!。
相手の行動が解ってるから簡単に対応出来た。
異世界でも一寸法師メソッドは有効という事で……。
ふむ。胃次元収納便利だな何でも食べたモノを収納出来る。食べたというより丸呑みしたものをだけど。獲物の蛙より先に得物である武器を飲み込む。貧乏性とかそういう話ではなく次弾装填しとかないとまた蛙が来たら困るからだ。それなりの数はあるけど無限って訳じゃないもんね。
辺りを伺いメインディッシュに取りかかろうと思ったけど適当に丸呑みして持って帰って巣穴でゆっくり食おう。
魔石を取り込んだらどうなるかイマイチ解らんから安全策を取るべき。
そんなわけでもう二匹ほど狩ってから巣穴に帰った。
三匹目は予定外で二匹目から剣を回収中に襲われて、一匹目をその腹に放って倒したのはスガルガには内緒にしとこう。
剣と違って隙間無いから死ぬかと思った。




