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5 ヘーゲル戦1

「逃がさんぞぉ!! 召喚士! その首を頂く」


 夜の街でヘーゲルの罵声が木霊する。俺はその声を背中で受け止めつつも走る足は緩めない。

 というかあんな馬鹿でかい大剣を持ちながらよく走れるよ!


「なんでお兄ちゃん逃げてるの? あのおじさんはだぁれ?」

「お前は何を見てたんだ! 普通に考えればわかるだろ」


 ハルは「あっ。わかったぁ!」と顔を明るくして微笑んできた。いや、絶対わかってないだろこいつ。


「あの人はお兄ちゃんのストーカーなんだね。だったら首を欲しがる理由もうなずけるよぉ」


 やっぱりねぇぇ!!

 全然わかってないよこいつ! というか何だ。ストーカーって首欲しがるもんなのか!?


「くそ……ちょこまかと! もういい! じわじわと殺してやろうと思ったが一撃で楽にしてやる」


 後方でヘーゲルがそんな言葉を口にした気がした。

 俺は(恐る恐る)振り返ってみると。


「牙竜、転生!!」


 ヘーゲルはアスカロンを垂直に薙ぐ。地面を叩き壊し剣先からは青白い衝撃波(オーラ)が繰り出されていた。

 その直線上には俺。

 避けるなんていう行為は思考とそこから脳への司令が体の各部に伝達される時間があって初めて果たされる行為だ。竜殺しの繰り出す一撃にそんな暇はない。今度こそ死――ッ


「ストーカーさん。気持ちはわかるけど、お兄ちゃんは私のもの。お引き取りください」


 俺をかばうようにその衝撃波の前にハルが立ちふさがる。

 ハルやめとけ。そのストーカーさんはただのストーカーさんじゃない。さすがにお前でもかなわな。


「ていっ!」


 いッ?

 俺は目の前の光景を信じられなかった。まさかハルが包丁で衝撃波を裂いたかと思うと、一瞬にしてそれは霧散、消え散ったのだから。


「俺の一撃を相殺しただと……? 貴様……その包丁は一体、かなりの業物とみたぞ」

「え、この包丁のこと? あぁこれね。近くのホームセンターで買ったんだぁ♪ 野菜も肉も切りやすくて私のお気に入りなの。それにお兄ちゃんに近づく虫けらもバラバラにできるしね」


 やはり見立通り包丁で間違いはないようだな。そしてそんなものを売っているホームセンターとは一体なんなんだ。もしかしたら神に腕を買われた鍛冶職人たちが集まる国と言われる「デセゼラ」のどこかのことを言っているのか。


「ククク……なるほど。剣の腕前は俺には及ばずともかなりの域にあるようだな。ではこちらの腕はどうかッ!」


 ヘーゲルが人差し指と中指を口先にかざしすばやく言葉を連ねていく。するとその先の空間に赤、黄、緑の円形の魔法陣が重なり合うように展開する。


 魔法だ。しかも陣の形状からしてかなりの上級スペル。それをこの短時間で3つも並行して発動するなんて。

 竜殺しの一族は剣の達人というだけではなく、常人では不可能の魔法の高速詠唱、また別属性の魔法の重複詠唱を可能としているという逸話は事実だったようだ。


「フェイネス! サンドラ! ウィンディナ!! 八つ裂きにしろ!」


 火の魔神、雷の化身、風の使者。神話に登場する幻獣を即席で作り出したのか。単体で下級魔族1万体に匹敵するという化け物を同時に三体も……!!

 こいつはやはりバケモノだ!

 いくらハルの包丁が神器に近い業物だとしてもさすがに分が悪すぎる。


「わぁ綺麗。妖精さんかな」


 こ、こいつはまた悠長なことを。


「きゃ!」


 ほら見ろ言わんこっちゃない。雷の化身が放つ紫電が全身を貫き、動きを止めさせ、火の魔神の業火が全身を覆い焼き尽くす。極めつけに風の使者による風の刃が業火の勢いをさらに加速させつつ切り刻む。

 三体の集中攻撃で服がちょびっと裂けてんじゃねえか。

 ……。

 …………。

 ………………。

 ……………………あれ?


「なっ……! 我がしもべの攻撃さえ……!! 貴様は本当に何なんだっ!!」


 幻獣がまるでじゃれる子猫同然の扱いだ。

 まさかあいつ魔力を無効化してる? いやいやいやそんな芸当ができるのは――――


「三宝剣の使い手……まさかその武器も……!」


 この世界では背に剣の刻印を持つ者が数百年に一度生まれ落ちると言われている。その者はかつてこの世に存在した伝説の剣に選ばれた存在であり、生まれながらにして卓越した剣術と魔法への耐性を持っているらしい。

 そんな伝説上の人物だというのか、あの女が。

 ……いや違うよな。そもそも召喚してここに現れたわけだし。



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