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部活づくりは、そう簡単じゃない説。

 今日の朝は、すっきりと目が覚めた。昨日は早く寝てしまったからだろう。リアルタイムでアニメは見る俺にとって夜更かしはいつものことなのだが、昨日は生徒会の仕事があり忙しくて、そのあとのバイトもいつもより客が多くてそれも忙しくて10時過ぎには寝てしまっていた。

 とりあえず起きて顔を洗って、台所で食パンにバターを塗ってこんがり焼く。その間に、妹を起こす。

「おーい、起きろー朝だぞー」

と中学3年生には少し小柄な妹の体を揺らして、黒のカーテンを開ける。

すると妹は 眠たそうに目をこすりながら

「なん、だ、と...この世は、私が闇の力で朝など永遠に来ない世界にしたというのに。」

「おい、お天道様は最強だから簡単にやられねーよ!それにしても、寝起きのテンションじゃないなぞそんだけ寝起きがいいなら自分で起きろよ」

「うぅー、あにじゃ、わたしの朝は、あにじゃの声じゃないと始まらないのだ」

「キャラブレブレだな。闇の力とか言ってたくせになになに甘えたこと言ってんだよ。」

「うぅー、いじわる。」

 俺の妹神埼さつきは、中学3年生にしては小柄で幼い顔をしている二つ下の妹で、中二病という病気だ。俺のアニメや漫画の好きに影響されてさつきもオタク文化にどっぷりはまって重症の病気にかかった。中二病は中学2年のうちに治ることなく、3年生になって5月も終わりそうというのに治る気配はない。いまのところ現代医学でも太刀打ちできない病気だな。


 チーンと音が聞こえた。パンが焼けたようだ。俺は妹に洗面所に顔を洗うように言ってから、朝食の準備をする。焼けたパンに缶詰のあんこをとりだしてパンにぬり、スクランブルエッグ作って、レタスとミニトマトと一緒にさらに盛り付ける。四人掛けの白い四角のテーブルにセットする。朝食にしては十分だ。

「あにじゃ、今日も小倉トーストとスクランブルエッグ」

と不満そうに頬をふくらませる。

「一応オムレツに挑戦したんだけど、どうしてもエッグがスクランブルしたがってたからな。」

「いや、それはエッグはどうでもいいけど、パンはせめて毎回小倉にしなくてもいいのにーーー」

「じゃあ今度から大倉か丸山にでもしとくよ!」

「いや、しなくていいから!!せめて、ジャムがいいよ!ジャニじゃなくて!」

と朝から意味不明な会話をしながら朝食をすませて学校に行く準備をする。

どこにでもある高校のブレザーの制服に着替える。

「んじゃ、行ってくるからあとのことはまかせたぞー」

「はーい!まかされたぞ、あにじゃ。行ってくるがよい!」

 

 俺の家は、よくある普通の一軒家。しかし、普通の家族と違ってさつきと二人暮らし。家事は2人で行ない、生活費は父が出している。あと、さつきは学校にいかずに二年前から闇の力を扱う自宅警備員である。


玄関を出て一ヶ月ぶんぐらいの大金をはたいて買った愛車のマウンテンバイクにまたがり家をでる。近くに駅があり、そこから3駅で学校には着くのだが、通勤、通学の人が多いのと定期代がもったいないと思った俺は自転車通学を選んだ。

住宅地を抜けて、大通りに出る。大通りには、学生が多いこの街なのでカラオケや遊技場、公園があり、本屋や人気のある飲食店や病院などもある。公園の中を通り近道をする。その公園は大きな池があり、多くのアスレチックがある公園だ。公園を抜けて駅を通り過ぎると学校につく。県立仁比山高校、全校生徒1000人の平凡な高校に着く。

生徒校門に入りすぐにある駐輪場に愛車を止めて二重ロックをする。大金をはたいただけに思い入れが強い。

教室までの間に何人かの友達とあいさつをかわして「今日も学校だるい」とか「昨日のテレビがどうとか」たわいもない会話をしながら2年2組の教室に向かう。教室前で友達と別れて教室に入り、自分の席に向かう。1番後ろの窓側。最高で言うことなしのベストな席だ。席につくと、前には寝息をたてて机に伏せている生徒がいる。俺の仲のいい友達の1人鍋島かおりだ。身長160センチぐらいで細身の体の割には胸がある。髪の毛は茶髪のゆるふわヘアーのいまどき女子高生感があり、可愛い容姿をしている。

朝のスキンシップに後頭部におもいっきり強くデコピンをかます。

「あいたー、なにいきなり」

かおりは頭をさすりながら俺を睨んでいる。

「おっす、頭どうかしたのか?」

「あんたがデコピンしたんでしょ、朝からこんなことしてくのはあんたしかいないんだから!」

「べ、べつに愛情の裏返しとかじゃないんだからねっ」

ツンデレ風に言う。自分でも相当だるいと思った。

「朝からテンション高いわね。いいことでもあったの?」

「冷静に返される恥ずかしいだろ。まぁ、昨日はよく寝たからね」

「あっそう。そういえば本持ってきたよ」

そういうとかおりは、バックの中から一冊の文庫カバーがつけられた本を出して、俺に渡す。

「あんがとよ、前の巻でいいとこで終わって、この後ヒロインがどうなるかめっちゃくちゃ気になってて、ネタバレ見るか見ないかでだいぶ葛藤してたんだよ」

この本は、いま大人気のラノベだ。

そして、俺と同じく鍋島かおりもアニメ、漫画、ラノベを好むオタクの同士だ。

「あー、それねヒロイン死んだよ」

「・・・」

はい、同士辞めます。




朝のホームルームが終わって、淡々と午前中の授業が終わり、昼休み。

 

「私思ったんだけど、やっぱり学園もののラノベとか漫画って部活か生徒会に入ることって必須よね?」いつものようにかおりと昼飯を食べていると、唐突にそんなことを言い出した。

「なんなの、急に。」

と冷たく冷ややかな目線を向けながら答える

「私思うの、やっぱり高校生活を潤と駄弁って過ごすだけの高校生活って寂しいと思うの」

「俺も嫌だわ、ネタバラシしてくるうざうざ女となんか」

「えっ?ウサウサ女?なんかかわいいわね!」

「・・・」

俺は、黙々とパンをかじる。

「まだ朝のこと根に持ってんの、あれはごめん。私が悪かったから。」

しょんぼりした顔で言ってきたので、俺は微笑みながら言った。

「冗談だよ!本気で怒ってるわけねーよ!まぁ、神様に天罰が下るように祈ったけど。」

「なんで神に祈っちゃうのよ!まだ、普通に怒ってくれた方がましだわ!」

「で、なんに影響されたのかは知らんがいきなり入部してもついてけないだろ」

実際そうだ、2年の5月後半にいきなり入部しても先輩も後輩も扱いに困ると思うし、もう出来上がってしまった輪の中には入ることが難しいと思う。

「それは、心配ないわ!部活は私が一から作るから!」

「隣人部もsos団も作らないぞ。大体アニメみたいに簡単に部活なんてできねーよ」

「私やろうと思えば出来る女だから」

「なんか厭らしいな」

思わず口に出していまうと、ドン引きして、軽蔑の眼差しで俺を見ていた。

俺はなかったことのように話を戻す。

「で、部活の作り方知ってんの?」

「きもっ、あんた女の子にそんなことよく言えたわね」

「でも、俺らはそんくらいきつい冗談も言い合える仲だろう。」

「はいはい。」

かおりは思いっきり呆れた表情をしていた。

「で、話戻すぞ。知ってんのか?」

「いや、知らなーい。」

「んじゃ俺が教えてあげます。まず、部活同創部書類に最低部員五名と顧問の名前を書いて、その部活の内容、目的、意義をしっかり書いて生徒会に提出。それで生徒会と職員で認めるかどうかの話し合いをして認めたら部活を始めることができる」

「なんかめんどくさいわね。でも、わかった。じゃあまず、部員と顧問ね。顧問はわたしにまかせて!潤は部員集めよろしくね!」

「えっ?とりあえず作ってみるーの部活の部員を俺が集めんのかよっ!!」

「心配ないさぁーーーー」

「心配しかねーよ!」

こうして、俺とかおりの部活動作りが始まった。





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