第五話:美少女と俺。
「すんまっせん!!! なんかもう本当すんまっせん!!!」
爆風の中、俺はひたっすら土下座していた。
え? 何!? 何なの!? 新手の自爆テロ!? 俺がエロかったから自爆テロ!?
俺、大パニック。
もはや物事の因果関係も正確に把握できません。
ばしばしと飛散する石つぶて。
「いたたたっ! そうだ、女の子……あの女の子は」
最悪の場合、せめて骨だけでも拾ってやらにゃ。
なんとか、爆風に立ち向かう俺。
と、その瞬間!
「そぅ、しょおぉぉぉ〜〜〜〜〜〜っっ!」
どごおおおっ
「げべぶっ」
爆風の中から美少女が、華麗に吹っ飛んできた。みぞおちに。そしてそのまま腕を絡めてのしかかると――
ぎゅむうううううううううううう。
――い、今起こった事を、あ、ありのまま話すぜ……!
『美少女が爆発したかと思ったら、いきなり抱きしめられてぎゅうぎゅうされてた』
い、意味がわからないだろうが、お、俺も、何が起こったのか、わからなかった……!――
「そうしょぉ……やっと……迎えに来てくれたんだぁ……ぐしゅ……、会いたかったよぅぅ……!」
ああもう、ワケが解らない、ワケがわからないが、瞳をうるませ、ハラハラと涙を流すとびっきりの美少女に抱擁されスリスリされ、それを嫌がる男がこの星に居るだろうか。
「なななな、何ですか、そうしょぉって何ですか? 倭国伝ですか。てか、お、おじょうさんっ、ちか、近い、そんなに近づくと目の前がむぎゅうううう。」
あなたの胸元のキャニオンが俺の顔面にこんにちはしていらっしゃるのですが。
ああ〜、視界一杯にメロン畑が大豊作なわけでぇ!! 呼吸が出来ないわけでぇ!
「はぅ、そうしょ、そうしょぉお……。ひっく……ぐしゅ。」
そうこうしている内に新たな異変が。
めぎゃめぎめぎゅめげめぎょぎょぎょ……
全身の骨が不吉な音を立て始める。
少女の細い腕が、もんの凄い力で全身を締め上げているぅぅ! その力、プレス車並み! なにこの怪力!!
「むぎゅあああ!! もめっ! ほえまむうえうー!! むぎゅ、むぐぐ? へは、へはほんえへへむぎゅあぐがめ? あまっ! あまんむぎゅまばっばんぶばぶう〜〜〜〜っ!? (ぎゃあああ! 骨! 骨が潰れるうう! あ、あれ? あの、手、手が、動いてますよね!? な、何まさぐっているんですかぁぁあ〜〜〜っ!?)」
悲鳴を上げる骨、内臓。
だがしかし、それどころではない別の問題が急浮上。
美少女の手が、心無し全身をまさぐっているような。心なしって言うか、思いっきりズボンの中に侵入ってきwせdrftgyふじこlp!!!!!!!!!!!!!!
「ぱめてっっ! ほほはめは、ふゃん、や……っ、んのぉぉっ!!!!(やめて!! そこだけは、ご、勘弁、のぉぉぉぉっ!!!)」
「んー、そうしょぉ……好き。」
このアマ聞いちゃいねぇえー!!!!!!!!
あ、そろそろ、息とか骨とか理性とか色々と限界なんですが。あ、気の早い脳が走馬灯上映会を開始した様なんですが。ああ、生まれて初めて受けた告白が、最後に聞く言葉になるなんて!
「ぶは」
唐突に、ふっ、息が出来るようになる、たわわなメロン畑が遠ざかって……変わりに、そう、うっとりと瞳を閉じた壮絶に美しいお顔が、プルンすぼめた唇が、ズーーームイ……
ちゅッ
「!?!?!?!?」
湿った、やわらかな感触が、伝わってくる。
ああ、とんでもなく可愛い少女のクチビルが! 生まれて初めての感触が、今まさに……
鼻に。
鼻……!?
ちゅうちゅうちゅうちゅうちゅう
ぎゃ。吸わないでください!! 痛いから! 痛いから! 舌を入れないで!!!
「ン―――――――――――――ッッ!?!?」
あ、なんか、感触が、鼻を舐められまくっている感触がするよおおお!
ペロペロしないで!
嬉しいけど人間として大切な何かを失いそうだからしないで! あ、佐藤ん家のチャウチャウに襲われた時の懐かしい思い出が……。
「ん……宗彰ぉ、キス、下手になった……?? それになんか、しょっぱ……」
ゆっくり少女が唇を離す。そしてうっとりと俺を見つめ……
「……んぅ?」
ぐいっ
と俺の胸倉を掴んでまじまじと急接近。
あの、美少女さん、そんなに可愛いお顔を近づけますと、僕の心臓が自爆エロしそうなんですが。
美少女さんのうっとりと夢見る乙女の瞳が、猛スピードでに険悪な物に変わっていく。まるで、ひっくり返ってもがくムカデを見つめる様な眼に……。
あ、なんかヤバい。と、思う間もなく
「嫌ぁァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!! 誰、こいつぅぅ〜〜〜〜っっ!? 宗彰じゃ無いっ! 嫌あああっ!! 超キモイッ! 嫌ァァアアアアッ!!!!」
どごがあぁぁぁぁぁあああんっ!!!!!!
大爆発、再び。