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魔導書使いの調伏師  作者: 和泉ふみん
第一章 司、調伏師となるまで
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未知の知識と、化け物との遭遇

A県山中_俺達は、道なき道を、ひたすら歩いていた。


「ゼエゼエ…。疲れた…。」


「ファイトですよ、司さん!このままじゃ、日が暮れちゃいますよ!」


紫織は、俺の数メートル先から、元気な声で励ましてくれる。何であんなに元気なんだ…。おんなじ距離を、歩いているはずなのに…。


「どうして、ハァ、紫織は、ハァ、そんなに、ハァ、元気なの?」


「フッフーン、お忘れですか?私は、仮にも付喪神ですよ?本とはいえ、これくらいでへばるほど、ヤワではありません!」


そうだった。これでも昔から、大人の男以上に、体力あるんだった。タンスとか、軽々運んでたし。


「そういや、紫織って、食事してる姿とか、見たことないんだけど。そこらへん、どうなってるの?」


家を出て1週間。紫織は、1度も食事をとっていない。家にいたときも、食事の席に、紫織が同席したことはなかった。


「それはですねぇ。まず付喪神がどうやって、生まれるのか、それから説明しないといけませんね。」


紫織は、どこからか眼鏡を取り出して、女教師風に解説を始めた。


「司さんは、どうやって付喪神が生まれるのか、知ってますか?」


「ええと。まずモノが、100年ぐらい経つと、目に見えない霊子を吸い込んで、付喪神になるんだよな。んで、そいつは、人格を持ってて、人の姿をとることが、多いと。」


「正解です。私たちが、存在するためのリソースは、霊子なんです。付喪神が、どうして人に所有してもらわないと、いけないのか。それは、人との間に、霊子供給ラインを、設けているからなんです。」


「自然とかからは、吸収できないの?」


「確かに、自然にも、大量に霊子は存在します。でも、それらは、吸収するのに、時間がかかるんです。一番手っ取り早いのが、人から霊子を貰うことなんです。」


紫織によると、空気中の霊子は、市販の風邪薬、人から貰う霊子は、オーダーメイドの薬のようなものらしい。空気中の霊子は、誰にでも吸収できるが、性質が自分と合ってない事が、非常に多いんだそう。食べられるけど、不味いから、あんまり食べたくない、とも言える。人からの霊子は、ラインを結んだ人間からしか、霊子は貰えないし、人間一人からしか貰えないが、その代わり、とてもよく体に馴染むのだそう。常にやるなら、断然こっちらしい。


「司さんは、赤ちゃんの頃から、私の霊子をガンガン浴びてますから、霊子保有量は、かなりのモノですよ。赤ちゃんの時は、吸収率も高くて、この時にたくさん吸収すると、最大保有量も増えるんだそうです。」


え!?初耳!そんな実感、全くなかったからなぁ。


「司さんだったら、私の真の力を、使えるかもしれませんね…。」


「ん?何か言ったか?」


「いいえ、何でもありません。これは別に、知る必要がなければ、知らなくていいことですから。」


え、何それ気になる。気にするな気にするなって、誘ってるとしか、思えないんだよね。まあ、紫織の顔が真剣だし…。やめとこ、後が怖そうだ。


「説明は、以上です。質問、クエスチョン、言いたいことは?」


何だそりゃ。独特な言い回しだなぁ。お前は、何人だみたいな感じ。


「特にないな。」


「では、また歩き始めましょう!時間をとってしまいました。」



再び歩き始めた俺達。しかし、やっぱり俺の体力が足りず、山で野宿することになった。


「ごめん、俺のせいで。」


「いいんですよ。私は、水を汲んできますので、司さんは、火起こしをお願いします。」


了解!司二等兵、火起こしに全力を尽くすであります!


パチッ、パチパチッ


「おっそいなー、どこまで行ってんだろ…。」


火を起こして、ずっと待っているが、紫織が帰ってこない。水場が、近くにないのかもしれない。そんなことを考えていると、


「キャーッ!!」


悲鳴が聞こえた。しかも、紫織の声だ。


「紫織!くそッ、どこだ!?」


考えるよりも先に走り出す。記憶をたどり、声が聞こえた方向に向かって、ひたすら走った。



そこには、川があった。俺は、自分の目を疑った。


「紫織!」


「司さん!」


そこにいた、紫織の手をつかんで、距離をとる。


「何だ、コイツは!?」


紫織を襲った犯人は、俺達に、ハサミを振りかざしてくる。

その正体は、この世のものとも思えぬ、

巨大なバケガニだった。

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