序幕閉幕I
なんてめんどくさい一日なのだろう。
何て言う反省論はどうでもいい。
今日はとことんついてなかった。
正確には昨日から。
——————世界の裏側を見てから世界の味方は変わった。
正直、ちゃんとした裏側何て見たわけでもない。
だけど。
その入ってはいけない沼に、底なし沼に入った気分だ。
・・・入ったものは戻れない。
なら、他の人達に迷惑をかけないようにしなければ・・・。
そんなことを考えながら・・・いや、どっちかというとずっと一のことばかりを考えていた。
・・・・全く、厄介な病気だ。
II
遠い昔話。
世界はある樹の下、九つに分けられていた。
こんなおとぎ話。
よくあるようなフレーズだ。
だけど、おとぎ話はそこが奥の深いところなのだ。
必ずしも、人間が頂点にいるわけじゃない。
そんなおとぎ話が、とても好きだった。
誰かに聞いたわけでもない。
ただただ
知っていた。
経緯は不明。
だが知っていた。
いやそもそもこの世界がおとぎ話の世界かもしれない。
神はいない。
人が頂点。
傲慢に満ち溢れた世界。
だけど、そんな世界すぐに崩れる。
平和なプロローグ。
だけど、不幸な過去。
二者択二
そんな単なるプロローグの世界が今なのだと
彼は信じた。
いや、彼らは信じた。
大きな樹に隠れて、そう願った。
I
終着点は歩いた。
どこにいるかわからない。
そんな幽霊のような亡者の匂いを探し歩いた。
手掛かり無し。
わかるのは匂いだけ。
何て言う見つかりっこないような探し物を
彼は続けた。
・・・が、彼は物移りが激しい。
気分屋というべきか。
なので彼は多くの寄り道をする。
誰かにちょっかいを出したり、
物を壊したり、
人を殴ったり、
ひこずったり、
・・・なんてことをしながら彼は匂いを・・・辿っていた。
無論、もうそんな匂いは全くしない。
つまりそんな感じの匂いがしている気がする状態なのだ。
殆どただのお散歩。
小さい子が初めておつかいに行くのを大の大人が追いかけながらその愛らしい様子をテレビで流すみたいなのではなく
17歳の少年が目的もなくぶらぶらとあるもの破壊しながら、大の大人をぼこぼこにしながらその残虐さを誰かに見てもらうわけでもなく、ただ孤独に歩いて行った。
いわゆるボッチ。
彼は無敵だ。
何せ敵になるような人がいないから。
別名、最強ボッチ。
だから彼は探した。
自分の敵になりそうな奴・・・友達になってくれそうな奴を。
「あらら・・・これはこれは。えーと・・・名前なんというのですか?」
突然目の前に目に活力のない。
男か女かわからないような奴が現れた。
「・・・誰だ?お前。」
「え?あぁ、失礼しました。私、喰喘・・・えーと・・・黒と申します。お見知りおきを。では貴方のお名前をどぞ。」
「・・・名は・・・ない。自分の事は終着点と呼んでいる。」
するとこいつは何か苦虫を潰したけど我慢した奴の顔をした。
「いや、その名前はないですよ・・・まだ私の人の名前を勝手に使う方がまだましですね。・・・あ。言っちゃった。」
これはこれは・・・というような顔で口を手で覆い隠した。
が、終着点はそんなことどうでもよかった。
「・・・いきなり現れて、なんだ?お前・・・舐めてるのか?」
「おお・・・これは失礼失礼・・・あぁ確かに。これは無礼が過ぎましたね。いやー申し訳ない。」
それではと言いながら立ち去ろうとするこいつ。
無論それでは虫の居所がとてもとは言えないが悪い。
しかし・・・何なのだろうか。
憎もうとしてもこれ以上憎めない。
こんなことが・・・
そう考えこむとふっと風が通り過ぎた。
「まぁまぁ・・・若いんですから迷いに迷ってください。私はいつでも・・・あなたのそばにはいませんので安心して迷ってください。」
顔を上げるとそこにはあいつがいなかった。
ただ地面に、『魔法少女』と書かれたメモ用紙が落ちていた。
そこには、電話番号も書いていた。
「・・・なんだったんだ・・・あいつ。」
風のように現れ、消える。
まるで嵐のような奴だった。