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Re start

————そう、あの日もこんな空だった。

鉛雲が空を覆い、目を眩ませる。

日は塞がれ、明かりは造られる。

この世界は絶望に溢れている・・・なんて、性にもない事を口遊んでた。

僕の耳は血だらけだった。

そりゃそうだ。

切られたんだから。

力も無く、売られた僕は抵抗できなかった。

でもその日々はもう終わる。

———そう、これで僕は・・・・。


「おい!起きろ!見回り終わったぞ!」


彼はそう言い、俺はデスクから引きずり降ろされた。


「痛いなぁ・・・。もっと優しい起こし方はないのかい?」


「人が見回りに行ってるときに気持ちよさそうに寝てた奴が何を・・・。」


「あーあ、はいはいわかりましたよ。お疲れさま。これでいい?」


「言い訳ないだろ!大体お前は・・・。」


パンパンと、手の叩く音がした。

音の源を見るとそこには足に毛布を掛け、車椅子でカラカラという音を出しながら彼女は近付いてきた。


「はい、喧嘩はそこまで。ほら、白幸シラユキ君。学校遅ちゃうよ?煉さんも仕事しなきゃ。」


そう言って彼女は割って入って行った。


「あぁ、はい。それでは・・・イロハさんも行きますよ。・・・ちゃんと働けよ?」


「はいはいわかってますよーだ。」


白幸はそう言いながら初の車椅子を押しながら部屋を出た。

こうして、この町の一日は始まる。

あの夏、

ネクロが失踪した日から、この町は異様な物になってしまった。

バラバラ殺人、数多き失踪。

これらは普通の町では起こりえないことだった。


「まるで、何かを探しているかのように・・・か。」


煉は知っていた。

本当は、全ての原因もわかっていた。

誰が企て、誰が起こしたか。

そして・・・・誰を探しているのか。


「———カルラ。」


煉はそうつぶやき、コンピュータを起動させた。


————執行者作成計画。


煉は目を瞑った。

それは鎮魂に為に、

そして、

忌まわしき過去への、今できる最大の復讐だった————。


寒さ飢え腐敗


乗り越えてきた過去。

強いられた研究。

引きちぎれる体。

彼は全てを思い返す。

煉はさっと腕を掴む。

その腕は小刻みに動いていた。

服を捲る。

そこには、紅い痣が付いていた。


「———俺は、もう迷わない。そして・・・誰も死なせない。」


体は酷く揺れていた。

だが、目は揺るがなかった。


II


守る。

その言葉は俺とは関係のない言葉だった。

背後には誰もいない。それが当たり前。

そんな日常を繰り返していた。

ただ、破壊が本性だと勝手に思い込んでいた。

そして———。俺は無関係な奴を犠牲にして、生きる為の守るべきものが生まれた。


白幸シラユキ君。ここでいいよ。」


そう言ってイロハはにこやかに笑った。


「あ・・・はい。じゃあここで———。」


イロハはまたにこやかに笑い、車椅子を回して、学園に入って行った。

白幸は後ろを見送り、振り返った。


この世界は理不尽と狂気に溢れている。

初めからわかっていた。

だから諦める。

だけど、ホントに諦められたら、七欲は生まれない。

人は嚙み切れないものだ。

———人は脆く、儚く、美しい。

俺は———人に。


「憧れる・・・のかな。」


ただ、心残りはある。

簡単な話。自分の事だ。

俺は、記憶が殆どない。


・・・本当の名前も、知らない。


「———全く、真昼間から騒がしいな。」


後ろを振り返ると、そこにはあの、獣がいた。

雄叫びを上げながら、腕を振りかぶっていた。


「———静かにしないか、騒がしい。自分で黙れないなら口を塞いでやるよ。」


白幸は右手で槍を氷造形し、獣の顎の下から脳天にかけて突き刺した。

獣は、喉から出る音のみを鳴らし、痛みを絶句した。


「———わかってる。お前も、こんな事したくてやってるんじゃないってことくらい。本能に抗えない・・・そうなんだろ?」


白幸はそう言って獣の顔に手を当てた。


「けどな。」


白幸の手は、冷たくなっていった。

血液は、どくどくと流れているのに、彼の手は、冷ややかだった。


「それでなんでもやっていいかって言われたら、違うだろ?」


白幸は手を放した。

獣に刺さっていた槍は抜け、倒れこんだ。

しかし、またすぐに立ち上がり、爪を地面に食い込ませ、地を蹴った。


「もう眠れ、疲れただろ?もう十分・・・楽しんだろ?」


獣は止まり、頭を下げるかのように蹲っていった。

体は震え、共鳴するかのように周りも鳴り始めた。

そして・・・氷始めた。

瞬く間に体は凍結し、震えは更に大きくなった。

———瞬間、体は四散した。

噴き出した血は、凍結され、吹きこぼれることはなかった。

凍った血は、まるで何かを伝えるかのように・・・。

華の形だった。

真っ赤な、華。

その花に元は無く、彼の頭の記憶ですらない。

これは戒め。

見つければ殺すという意味。

そして・・・

殺してでも、黒(奴)を見つけるという証だった。

造られた華の匂い。

何の因果があるのかわからない。

が、今は意味がない事はない。

イロハとの約束、喰喘クウゼン家への恩返し。

———自らの、記憶の断片。

今は色々な思いが交錯している。


・・・そう思っていたのは、その時だけだった。

実は、本当はそこまで自分たちとはかかわりがなく、『災害』ではないが、その存在が災害を越すもので、そして自分の過去も、ネクロも関係なかった何てこと、脳裏にはなかった。

———それより先に、白幸は知ってしまった。

自分のルーツ、そして・・・

忘れてしまった、それのことも












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