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REMEMBER

そんな訳で来ましたシャバ。

と言ってもやることは無く、ただのんびりと散歩をするくらいだった。

いわゆるリハビリ。

と言っても対して負荷は無く、

寧ろ前より動けるようになっていた。

———そんな訳で今日が何日なのか聞きそびれていた。

・・・暑さからして七月くらいだろうか。

しかしまぁ・・・よく死んでた(寝てた)ものだね。

さんさんと照らされている太陽は肌を焼けさせる。

———いや焼けてるのか?これ。びっくりするくらい白いし・・・。

ヴェルは色々と体について考えながらたんたんと歩いて行った。

そして・・・

あの場所に着いた。

———俺。ネクロの死に場所。

無論そこには何もなく、

ただ日に焼けたアスファルトがあるだけだった。


「そりゃ・・・そうだよな。」


ヴェルは再び歩き出した。

今度は大通りに出よう。

そう思い、裏路地を出た。


———ここは、何も変わらないな。

ヴェルは歩いた。

人ごみの中を。

・・・今は尊い、日常を。


「———何でだろうな。」


ヴェルはスッと裏路地に引き返した。

フェンスにもたれ掛かり、ふぅとため息をついた。

瞬間、色々と力が抜け、そのまま尻をついてしまった。


「———僕はこれから・・・どうなるんだろうか。」


未来への不安。

それはヴェルの精神を驚くほど圧迫した。

するとどこからともなくラジオが聞こえた。


———臨時ニュースです。

先程、財閥グループで知られるシキミグループ会長、樒 楼次郎が先程危篤状態にあるということです。それから———


ここいらでヴェルは立ち上がった。

———気付かれていない・・・のか。

そして・・・淡々と歩き出した。

あんまりだな・・・・。

財閥は死んでもないのにああも騒がれて。

僕は・・・死んでも気付いてもらえないのに・・・。

冴えわたる蝉の声。

温度差を感じる木陰。

そして————。

瞬間、頭に衝撃が走った。


「———ッ!な、何が・・・・!」


体は勝手に動き出した。

何かに呼ばれたかのように。

コンクリートジャングルを駆け巡り、そして———

たどり着いた。

今にも死にそうな、赤い髪の青年がいた。


                  Ⅵ


「————。」


苦しむ青年。

しかし僕には助けられない。

僕は無力だから。

何もできない・・・そんなやつだから。


———へたれだねー。諦めるの早くない?全く・・・君にはそうやって逃げることしかできないのかい?———


・・・あぁそうだ。

それしかできないから。

だから死んだんだ。


———はぁ・・・なら、君はその体に何の期待もしてないのかい?———


・・・あぁそうなる。

信用していない。


———ならイメージくらいしろ。そう・・・パズルをするイメージを———


そんなこと、そんなこと。

やって・・・意味が・・・。


———ならこの人を殺すかい?そっちの方を選ぶならそうしろ。このまま見捨てるなんてこと・・・絶対するなよ?———


・・・

僕は目を瞑る。

パズル・・・形・・・数式。

色々な物を思い浮かべた。


———よし、なら今から何かを唱えて力を目に集中させろ。必ず、何かを唱えろよ?それがみそなんだから———


・・・要は、力を入れる訳・・・か。

ヴェルは・・・息を吸い込み、自分に願掛けをした。


「・・・『方式、分解』。」


そして目を見開く。

すると世界はガラリと変わった。

全てのものが文字となった周り。

・・・あの時と同じだった。

そして、青年を見た。

青年の・・・式は崩壊していた。

力が無理に封じ込められているようだった。

・・・このままだと死ぬ。

そう読めた。


「ほうほう・・・やればできるじゃないか。いいねぇ。」


そう言いながら彼女は現れた。

そして、そっと腕を握り絞めてきた。


「わかってるよね・・・。そう、直すんだよ。この式を。」


「だけど・・・僕は元々の式を知りません。そうなのにどうやって直せば・・・。」


大丈夫。

彼女はそう言い、僕の腕を更に握り締めた。

すると視界が狭まり、彼の式のみが見えていた。


「———そう、そうよ。そして———この式を———。」


僕の指は勝手に動いていた。

そして、次々と構築した。

———一分もかからなかった。

そして僕は、その場から離れた。

———これまで、一人として救えなかったおれは、

ヴェル(ぼく)となったことで初めて、人を救えた。


———ネクロではできなかったことを、ヴェルはやったのけた。


                   Ⅶ


—————あれ、どうかされましたか?

そう言って、ルーは僕を出迎えた。


「あれれ?同化どうかされましたか?」


「・・・突っ込みたいんだけど、そんなことは置いときます。」


ヴェルは地を踏みつけた。


「———僕に・・・力を教えてください。」


ルーは不敵に笑いながら


「ええ。構いませんよ・・・きつーいですよ?」


ルーは悪戯な目でこちらを見つめた。

———きつい・・・か。


「望むところです。」


「———正直、命の安全は保障しませんよ?」


「———それでも・・・構わない。僕は———。」


一度、死んでるから。


こうして、夏は始まった。

暑くも寒い、そんな夏が。


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