桃色
「愛子って本当きがきくよね」
加藤愛子はそうほめられることがおおかった。少し得意げに
「そんなことないよ」
といつも返事をしていたが彼女にはちょっとした秘密があった。
彼女は大人しい少女だった。高校に入学したときから目立つこともなく、成績も真ん中くらいで先生から目をつけられることもなかった。彼女のちょっとした秘密というのは人の感情が見えるというものであった。はっきりなにを考えているかはわからないが怒っていると赤いろにみえた、悲しんでたりすると青色に、恋しているとピンクいろにみえたりもした。
そんな私は最近恋をした、同じクラスの彼に恋をした。彼はよく本をよんでいた。友達も結構いるのだがむれることなく、ひとりでほんを読んでいることがおおかった。
私はその本を読んでる時の彼のいろに惹かれた。赤くなったり黒くなったりピンク色になったりそれに惹かれて彼を見ているうちに私は彼に恋をしていた。
「ねぇ、なんの本よんでるの?」
私は思いきって休み時間にきいてみた、聞いた声は少しうわずっており多分私が私をみたら桃色に染まって見えただろう。
彼は少し驚いた顔をし、少し目を細めたがタイトルだけぼそっといってまた本を読み始めた。
「面白いの?どんな本なの?」
私が勇気を出してたずねても
「読めばわかる」
としかかえしてくれなかった。
私は放課後本屋に立ち寄り彼の言ってた本をさがした。タイトルだけで探すのは難しかったが人気の本をまとめているところに彼が読んでた本があった。見つけることができたそれだけで私はうれしかった。
その夜あんまり本を読まない私だが、夢中になってその本を読んだ。彼が読んでいたということもあったが単純に面白かった。彼が読んでいる本を面白いとおもえることがうれしかった。