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3.遭遇戦

3話目です。

よろしくお願いします。

 傭兵団コープスの前に立ちはだかった五体の魔動機はあっという間に無力化していたが、その向こうからさらに十体ほど、もうもうと立ち込める土埃に混じって、同型機体が進み出てくるのが見えた。

「ちっ、まだいたか」

 イーヴィルキャリアのバックパックは開いたままだ。

 次のミサイルをどれにするか迷っていると、通信が入った。

『スーム、ミサイルは待て! マッドジャイロが出る!』

 クロックの声が聞こえて、スームは渋々伸ばした手を発射ボタンではなくバックパックの開閉ボタンへとずらした。

「ハニカムの機体はどうした? あれがトレーラーに乗ってたらマッドジャイロも出られないだろ?」

『俺の機体で抱えて運び出した。どうせ戦闘が終わったらお前に見てもらわにゃならん』

「確かに」

 コクピット上部ののぞき穴を見上げると、黒いヘリ型の機体が前方の敵機に向かって飛行していくのが見えた。

 ボルトとナットという兄弟が操る、ヘリに手足が付いたような異形の機体だが、底部以外の装甲を犠牲にした運動性能は驚異の一言だ。

 いくらホバー移動ができるイーヴィルキャリアでも、あれには追いつけない。

 スームはため息をついて、シールドからハンドガンだけを取り出して機体を待機状態へと移行させる。

 激しい振動を響かせてハードパンチャーが走っていくのが見えたが、敵の援軍がさっきの機体と同タイプなら、おそらく決着に間に合わないだろう。

『少しは頭が冷えたか?』

「ああ、見ろよ。絵本に出てくるチーズみたいに穴だらけにしてやったぜ。クロックは動かなくていいのか?」

『ハニカムのホッパー&ビーが動けねぇんだ。トレーラーの護衛に残ったんだよ。ったく、すぐ熱くなりやがって』

 クロックの言葉に、スームは答えなかった。

 自覚はしている。魔動機に関して、戦いで壊されたり、破損したりするのは平気だが、研究成果とも言うべき汗と涙と努力の結晶である設計図や本体を横からかすめ取ろうとしたり、機体そのものを馬鹿にするような相手に対してすぐ頭に血が上る。

 だが、魔動機の存在がスームをスームたらしめる要素である以上、これは自衛だ、というのが彼の考えだった。

『すぐ終わりそうだな』

 イーヴィルキャリアの隣に、下半身が無限軌道、上半身にドーム状のボディとアーム、コクピットがついた機体が進み出た。モスグリーンで塗装されたクロックの専用機、トリガーハッピーだ。

 名前の通り、その車体の後部には大きなラックがあり、ライフルやガトリングガンといった重火器がずらりと積み込まれている。それを掴みあげるためのサブアームも見える。

 移動速度は遅いが、分厚い装甲による防弾性能とイーヴィルキャリアを超える火力を持つ、スームが“とにかくゴリ押しをできる機体”をコンセプトに作成した機体だ。

 我ながら、趣味に走った機体だな、とスームは改めてじろじろとトリガーハッピーの武骨な外観を眺めていた。

『周囲に他の敵はいないようだ……舐められたもんだな』

 どうやら、クロックも結構怒っているらしい。


 ほどなく、マッドジャイロによる上空から攻撃で敵機は散々に撃ち減らされ、何とか少ないダメージで切り抜けた二体も、ハードパンチャーによる直接打撃であっさりと擱座する羽目になった。

『周囲に敵影は見えません。クロックさん、スームさん。捕虜の確保をお願いします』

『捕虜っつーか、強盗っつった方が有ってるんじゃねーか?』

 マッドジャイロを操る兄弟から通信が入り、クロックが短く答えた。

『わかってるな、スーム。まず情報を手に入れる』

「あいよ」

『あたしの機体の修理はぁ!?』

「あとでな」

 ハニカムに短く答えて、スームはイーヴィルキャリアを残骸と化した敵機へと進めた。


☆★☆


「うぇ……」

 スームが機体から降りると、目の前でハードパンチャーのマニピュレータが穴だらけになった敵機のハッチをこじ開けているのが見えた。

 細かい作業が良く見えるようにコクピットのハッチを開けて操作していたリューズが、視界に入った死体を見て舌を出した。

 戦争に参加する傭兵団の一員として、リューズも死体はそれなりに目にしたことはあるが、イーヴィルキャリアが放ったクラスター・ミサイルの雨は、彼女にとっても直視しがたい程、搭乗者をズタズタに引き裂いていたらしい。

 三歩程下がったハードパンチャーから降りてきたリューズは、青い顔をしている。

「恐ろしい武器積んでるのね……」

「なるべく機体の形を保ったまま、中の奴だけ潰すことを狙った兵器だからな。まあ、こうなるだろうな」

 引きはがされた敵機コクピットの中は、全体に血が飛び散って赤黒く染まっていた。

 リューズが視線を逸らしているのを一瞥して、スームは機体によじ登り、コクピット内を確認する。

 頭の上半分を吹き飛ばされ、全身を穴だらけにして叫び声を上げるように大口を開けて絶命しているパイロット。服は町の人々が来ているような、ごわごわとした麻の服のようだが、スームは妙な違和感を感じている。

「……随分と鍛えているな」

 決定的な理由にはならないが、身体つきが一般人のそれではないようにスームは見て取った。スームも日常的に筋力トレーニングなどを行っているが、それだけ体を鍛えていなければ、ショックアブソーパーも何もない魔動機を乗り回すのは難しい。

 死体を蹴り転がしながら全身を検めたが、身分を示すような物は見当たらなかった。ひょっとすると、ミサイルで消し飛んだのかもしれないが。


「スーム」

 ボルトの声が聞こえた。

 コクピットから飛び降りると、ボルトとナットの兄弟がロープで縛り上げた男たちを一人ずつ引き摺って来ていた。良く見ると、男たちには布で目隠しがされ、猿ぐつわを噛まされている。

「生き残りはこの二人だけだぜ。後は任せるが、いいか?」

 尋問とかは苦手だ、とボルトは歯を見せて笑い、掴んでいたロープをスームへと渡す。ロープのもう片方の端は、生き残りの首を軽く縛っている。

 ボルトは飛行型魔動機マッドジャイロに乗る兄弟の兄で、くしゃくしゃの赤い髪が目立つ青年だ。スームと歳が近く、明るい性格で馬鹿な話をして二人笑うことも多い。

 その隣、ボルトより頭二つは背が高い、少しぽっちゃりした体形をしていて、赤い髪を短く刈り込んだ大男が、ボルトの弟ナットだ。

「すみません、スームさん。僕も兄さんもこういうのはちょっと……」

 身体の大きさに反比例して腰の低いナットの話し方は、誰に対しても変わらない。

 ナットからも言われたとおり、ボルトは質問を繰り返したり頭を使って吐かせる工夫をするのが苦手で、弟であるナットの方はは人に対して暴力を振るったり脅したりするのが苦手だ。

「まあ、そうだろうな」

 スームは二本のロープを纏めて掴むと、気持ち乱暴に引き寄せた。苦しそうなうめき声が二つ聞こえて、男たちが倒れる。それを気にするでもなく、引きずりながらスームはボルトたちから離れるように歩いていく。

「ちょっと、どうするつもり?」

「来るな」

 リューズが追いかけてくるが、スームは一言だけ告げると、立ち止まった彼女をおいて背を向けた。近くに大きな岩を見つけていたので、その陰に向かう。

「やめとけよ、リューズ。お前が見ても気分が良いもんじゃないぞ」

「兄さん……」

「ナットもわかるだろ? スームが何をするつもりか」

「う、うん……だからスームさんに任せたんだし」

 リューズはスームを追うのを諦め、ボルトへ睨みつけるような視線を向けた。

「おいおい、俺はお前のために言ったんだぜ? アイツが今からやる事を、手伝うどころか隣に立って直視できるか?」

「そ、そこまでの事するわけ……」

「する。だからスームは離れた場所に行ったんだ。まあ、ナットの為でもあるけど、お前の為でもあると思うぜ、リューズ。あれでも仲間は大切にしているし、特にリューズには気を遣ってるしな」

「な、なんで、スームが……」

 ボルトの言葉にリューズは顔を真っ赤にしてうつむいた。想定外の事だったらしい。

「もう小さな子供じゃないんだ。こんな仕事をしてるんだから、後悔しないように楽しんで……」

「もうっ! 変な事言うな!」

「ぐえっ!?」

 熱く火照った顔を覚ますように顔を横に振ったリューズの拳が、ボルトの脇腹にめり込む。

「やだ、もう!」

 膝から崩れてげえげえ唾を吐いているボルトを一瞥もせずに、リューズは顔を押えてハードパンチャーのコクピットへと駆け上がって行く。そのまま起動させた機体で、リューズは騒音と振動を響かせてトレーラーへと駆けていく。

「……余計な事言うからだよ、兄さん」

「うぅ……だってよぉ、いい加減くっ付いて良いと思うぜ?」

 ボルトから見て、リューズとスームは悪くないカップルだと思っていた。リューズは豊満な身体つきをした見た目だが男女の事に対して無知で臆病で、スームは魔動機にのめり込んで他にあまり興味は無さそうだ。だが、どこかお互いを意識しているように見える。

「兄さんこそ、リューズさんの事……」

「勘弁してくれ。俺はハニカムみたいな大人の女性が好みなんだ」

「兄さんの趣味にとやかく言うつもりは無いけど、さ」

 ナットがトレーラーの方へ視線を向けると、ハードパンチャーが走る向こう側、トレーラーの横に下ろされた細身で緑色の機体“ホッパー&ビー”の上に立ち、腕組みの姿勢でこちらを見ているハニカムの姿が見えた。

 ハードパンチャーが巻き上げる砂埃もあり、その表情まではわからない。

「あの人は……なんとなく、良くないと思うよ」

「またお前の“なんとなく”か。やれやれ」

 ジャージのような上着を捲りあげ、すっかり青あざになっている腹部をさすりながら、ボルトが立ち上がる。

「分かったよ。お前の勘は良く当たる。惜しい気もするが、手は出さないさ」


☆★☆


「スーム。どうだ?」

「……クロックか」

 顔や身体のあちこちに切り傷を付けられ、血を流している二人の捕虜は、岩を背にするように座らされている。楽をさせるためではない。殴りつけた時に、後頭部を岩にぶつけるためだ。

「普通の盗賊じゃないな。最も、賊が十体以上も魔動機を持ってるわけないけどな」

「確かに」

 ナイフを弄びながら語るスームに、クロックは短い言葉で同意した。

 コープスは人数の割に保有する魔動機がかなり多い。魔力の補給コストや開発コストを考えても、十人の傭兵に五体という比率は異常と言っていい。これにはスームの技術や能力が理由としてあげられるのだが。

 傭兵団は人数の十パーセント程度が保有機体数としては平均だろう。多少規模が大きければ別だが。例えば総勢五百名のソーマートースは八十体を保有しており、複数の部隊に分けて各地で運用している。それでも、戦闘用ではない魔動機を含む数字だ。

 まともに稼いでいる傭兵団でそれなのだから、戦闘用魔動機を盗賊がこれだけの数を持っているとは考えにくい。

「身に着けた物からは何も出てこない。多少の金を持っていたくらいだ」

 スームが投げて寄越した袋には、たっぷりと金貨が入っている。

「随分金持ちだな……共通貨幣か。これじゃ特定もできねぇ」

「だが、もうわかった。こいつらはケヴトロ帝国の連中だな」

「? なぜわかる。こいつらが乗っていたのはノーティア軍が使う一般兵用機体の色違いだったろう」

「機体は、な」

 血が多く流れたせいか、意識がもうろうとしているらしい兵士。そのうち一人のロープで縛りつけ垂れた腕を踏みつけ、スームは地面の上で力をいれて無理やり掌を上に向けた。

 痛みに呻く男の声が響く。

「ケヴトロの機体は、機体操作用のメインレバー上部にすっぽ抜け防止のでっぱりがある。……こいつの人差し指、見てみ?」

 クロックが顔を近づけてじっと見ると、明らかに人差し指の第一関節と第二関節の間が、マメが潰れて皮が厚くなっている。

「ノーティアの機体は、メインレバーの表面に滑り止めをしているからな。こんな手にはならない。……どうだ、正解だろ?」

 腰を落とし、顔を寄せる。

「ぐ……」

 猿ぐつわを噛んだままで声を出せず、男はスームから目を逸らした。

「とりあえず、お前らの身柄をケヴトロに送れば確認が取れるか?」

「無駄だろうな。知らん奴だ、で終わりだろう」

 クロックの言葉に、スームも同意した。

 軍属だと確定情報が掴めるとは最初から考えていない。ただ、自分の中で確信が持てればそれで良かった。

「……で、どうするつもりだ、スーム」

「決まってるだろ」

 言いながら、スームは一人の胸に躊躇なくナイフを突き刺した。

 突然の事で抵抗する間もなく、目を見開いて男は絶命した。隣で突然仲間が殺され、残った男は身体を捻って懸命に逃げようとする。

 その背中を踏みつけたスームは、容赦なく首を切り裂いた。溢れる血がブーツに触れないようにして、興味を無くしたおもちゃを捨てるように蹴り飛ばす。

「報復はしっかりとやらないとな」


☆★☆


 結局、適当なパーツを拝借する際に敵機も調査したものの、敵の所属を示すこれと言った確証は得られなかった。

 起動しなかったハニカムの機体には細工された跡があり、襲撃がある程度計画的に行われたのだろう、ということでコープスのメンバーの中で意見は一致した。

 念のため、他の機体も点検することになり、完全に足止めされたコープスの面々は、疲れた顔をして予定の二日遅れで目的の国、アナトニエ王国へと入った。

 国境を越えて、目的の町までは後二日ほど車を走らせる必要がある。


「襲われたってのに、のんきに休暇を取るのね」

 中間地点の町で宿をとり、食堂でもしゃもしゃとサラダを食べながらリューズが不満を漏らした。

「休みと決めたら休む。気分的にもうんざりするしな。雇い主である団長としても、休暇はしっかり作っておきたい。ただ、悪いが解散予定の王都ルフシには居てもらう。基地にはわしが残っているから、何かあればそこへ集合だ」

「それで良いのかな」

「俺は良いと思うぜ。少しちょっかい出された程度で、大人しく穴に籠ってるなんて、傭兵としてどうかって話だ」

 クロックの言葉に、疑問を呈したリューズだったが、ボルトはそれを笑い飛ばした。

「私やアールも含めて、か弱い非戦闘員もいるんだから、少しは気を遣っていただきたいものですけれど?」

 テンプが冗談交じりに言う。実際、ある程度身体ができている戦闘員はさておき、事務員のテンプや、整備担当のアールなどは戦う方法を持たない。

「んな事言ったら、ドライバーもだぜ」

 珍しくメンバーと一緒に夕食を採っていたラチェットがテンプの意見に賛同し、その隣で同じくドライバーのギアが頷いた。彼はハニカムやボルト、クロックの機体を乗せた大型トレーラーのドライバーで、普段は寡黙でほとんど口を開くことが無い。

「その辺は、二、三人で行動するようにしてくれ。必要なら身を守る武器を王都に着いた時点で、基地に置いている分を貸し出す」

「撃ったところで、当たるのかしら?」

「そうじゃな。おれの腕じゃ無理じゃろ」

 ハニカムが口を挟んだが、アールの答えに黙ってしまった。彼女の狙いは射撃が苦手なリューズや、非戦闘員のテンプに向けた言葉だったが、伯父であるアールが先に反応してしまい、口を曲げて拗ねている。

「別に銃の形をしてなくても、身を守る武器はあるぞ」

「剣とか槍とか?」

「そんなの持ち歩いてたら、女の子に声かけられないよ」

 スームの提案にリューズやラチェットが口々に反対したが、彼は聞き流しながら熱々のステーキが冷める前に、と固い筋にゴリゴリとナイフを当てている。

「違う。もっと扱いやすくて威力もある奴だ。ポケットに入るから、安心しろ……それよりも、クロック」

「なんだ?」

「せっかく地元に帰れるんだ。家族も居るし、家に帰れよ。俺の方は、どうせ整備やら開発やらで基地に籠りっぱなしになる。留守は俺がやる」

 クロックに向けていたステーキの切れ端を口に放り込み、木の杯に注がれたぶどう酒を飲むと、スームは大皿にこれでもかと盛られたパンを掴んだ。

「帰る家があるなら、帰れよ。奥さんも子供も待ってる」

「でもな……」

「俺は俺の家である基地に帰る。それだけだろう? 心配するなよ」

 パンをちぎって口へ放り込み、再びステーキと格闘し始めたスームに、クロックは小さく礼を言った。

「というわけだ。いざという時はスームに連絡を取ってくれ」

 クロックの言葉に、メンバー全員から了承の声が上がり、食事会は飲めない者を別にして飲み会へと移っていく。

 クロックやボルト、ラチェットなどの男性陣と、飲もうと思えば底無しに飲めるテンプが参加する。


 スームだけは、食事中にぶどう酒を一杯だけ飲み終えると、席を立った。

「先に休むわ」

「ちょっと待って」

 宿の部屋へと向かうスームを、一滴も飲めないリューズが追ってくる。

 ボルトやラチェットが冷やかすような声を上げ、テンプに殴られていた。

「どうした?」

「あ、あのさ。私も実家とか無いから、基地の部屋に泊まる。それに、ハードパンチャーの整備も手伝うよ」

「ああ、そうだったな。頼むわ」

 そう言って背を向けたスームの腕を、リューズが咄嗟に掴んだ。

「なんだよ」

「えっと、あのね……」

 どうやらリューズも深く考えずに身体が動いたらしい。さっと手を後ろに隠して、俯いてしまった。

「言いたくないなら、それで良いんだけど……あんたの出身とか家族とか、どうしてるの?」

 スームは答えず、じっとリューズの顔を見ていた。可愛らしい顔をより印象付けるような大きな目は、所在無さ気にキョロキョロと左右に揺れている。

 スーム……日本にいた頃の名前はすすむ。彼がこの世界の人間ではない事を知っているのは、今のところクロックだけだ。五年前に出会い、それからずっと戦場を生き抜いてきた親友だけが知っている事。それは彼の出自と能力。知られれば、今よりももっと多くの勢力がスームを狙ってくるのは間違いない。

 スーム自身にとっては、特別秘密にしておきたい事では無いが……それを知った時、リューズはどう反応するだろう。最初は信じてもらえないかも知れないが、能力を見れば信用するかも知れない。

 今までと同じように、仲間として気楽に付き合う事が出来なくなるかも知れない。

「……悪いが、ちょっと疲れて眠いんだ。また今度な」

「あ、ごめん……」

「気にするなよ、おやすみ」

「うん。おやすみ」

 再び背を向けて、スームは部屋へと向かった。

 信じていないわけでないが、今じゃなくても良いはずだ、と自分に言い訳をしながら。

お読みいただきましてありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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