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学校へ向かおう

 転寝(うたたね)をしながら馬車に揺られている。

 

「若、申し訳ありませんがこれより出発しませんと入学式に遅れてしまいます。」

「はあ?」


 先日、ルーファスの誕生日が明けた次の日でのことだった。


「準備はできております。しかし今居ります所はこの国の一番外れ。道中なにが起こるかわかりませんゆえに、急ぎ準備を。」


 手持ちの荷物などほとんどなく準備はすぐでき用意されていた馬車に乗り込んで、ルーファスはすぐに眠りこんだ。

 何故この場所、このタイミングかと言うと、ルーファスが学校に行く気がないようなら他国に渡ろうかと考えていたからだ。しかしそれでも各地を転々としているうちにかなり遠くに来てしまった…。


・・・・・

・・・・

・・・


 旅は順調で出発から20日たった。


「若近くに街がありますので少し買い物を済ませたいのですが?」


 ルーファスの了解を得町に向かった。

 ここは地方と首都を結ぶ街道上の街で主要都市の一つで名を出会いと別れの街レラシオン。

 まんまである。


 街に辿り着くと門のところに人だかりがあった。


「おい、あれは何をしている?」


 ルーファスが顎で指すところには、槍を持ち頭から爪先まで鎧で固められた兵士たちが立ち並んでいた。


「王家の残党狩りです……。」

「大丈夫なのか?」


 執事のドルディーは無言で頷いた。

 このように街に入る際はどの街でも身分証明の提示をされるのだが、あれから10年以上経っているいることもあり都心から離れるほどそれは形骸化されていた。しかしここは首都に近いこともあるが、領主が変わったことによることが大きい。つまりはこう言うことである。


 賄賂をわたす。であった……。


 実際ルーファスが見ていると何かを渡し街に入って行った者は確かにいた。

 そんなこんなでルーファス達の番となる。


「何か身分証となるものを出せ。」


 ドルディーがだしたのはルーファスの入学証明書だった。


「生憎これしかありませんが。」


 確認していた兵士はこれじゃあ通せないと下卑た笑みを浮かべた。すかさずドルディーは包みを渡し、兵士はそれをちらっと見ていいぞ。と門への道を開けた。


 ルーファスはこれら一連の動きを見ていたがこんなものなのか、位にしか考えていなかった。本来ならばこの腐ったやり取りになにか含むものを感じるのだが、いくらドルディーが説明してもルーファスには理解させることが出来なかった。これはほぼすべてをドルディーが行ってしまい、ルーファスを甘やかしたドルディー、いや執事として痛恨のミスであった。


 入学証明書は刻印がなされており十分身分証明に本来はなる。

 それよりも問題は残党狩りのほうだ。


 今だ当時の王に忠誠を誓っていたもので捕まっていいないものも存在する。勿論筆頭はルーファスなのだが。でもここ数年捕まるものもいないことから、他国に亡命したとの見方が強いのも事実だ。だがこれをやめる気配はない。そしてそれを隠れ蓑にし、私腹を肥やしている奴らは現国王の側近がほとんどだ。


 これがなによりこの国が腐っていることの証明になるのだが…。


 門の所に行くと発行所がありここで個人の証明となる木簡を受け取り、ルーファス達はやっと街の中に入ることができた。


 この木簡は有効期限付きで、1年間は有効だ。その間に定住する気になったら役所で住民登録しその街印の入った銅簡を発行してもらう。それでその街の正式な住民となる。因みに再発行はなくなくした場合はまたしても役人に袖の下を渡すことになる…。


「今日は宿で一泊したいのですが宜しいでしょうか?」


 基本ルーファスはドルディーの決めたことに従うのだが、彼は必ずルーファスの意見を聞こうとする。正に執事だ。


 この位の都市になるとだいたい街の作りは一緒で、門を潜った所に立ち並んである。

 そちらへ向かいドルディーが受付をしている間ルーファスは馬の頭を撫でたりし時間を潰していた。馬はいやな素振りもせず、寧ろルーファスに頭を擦りつけるなど凄く嬉しそうにしている。


 ルーファスは大の馬好きだった。


 そんな時間を過ごしているとドルディーが帰ってきて忙しそうに出かけてしまった。


「若、少々買うものが多いもので、夕方までには帰ってきます。あ、部屋は202号室がとれましたので。」 


 ルーファスは独り立っていた…。




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