三度目の曲だけ、予定どおりに終わりません
「三回です」
ベアトリス先生は、私とクレマン様の手を重ねた。
「王宮の式典まで、臨時の組として三回。転ばず、踏まず、逃げず。以上」
「最後だけ難易度が高くありませんか」
「あなたは逃げるでしょう」
逃げません。後退を前進のように見せるだけです。
二十歳の伯爵令嬢として、舞踏会から露骨に逃亡するのは減点対象だった。臨時の組なのだから、三曲ぶん立っていれば合格。恋まで採点表へ紛れ込む余白はない。
向かいに立つクレマン様は、いつもの社交用の微笑を浮かべていた。口角よし、背筋よし、手袋の白さよし。欠点は、私を見ている時間が少々長いこと。
きっと、断り方を吟味している。
採点、継続。
「先に申し上げておきます」
彼は重ねた手に力を入れず、けれど離れもしなかった。
「あなたを選ぶつもりはありません」
「ご安心ください。わたくしも、三曲で生涯を決めるほど足し算が苦手ではございません」
「それはよかった」
「本当に安心したお顔をなさらないでください。腹が立ちます」
「困りました。どの顔なら正解でしょう」
「少し後悔なさっている顔です」
「努力します」
曲が始まった。
右、左、寄せる。回る。三歩目で、クレマン様の歩幅が私より半足ぶん短くなる。五歩目でまた半足。私の左足へ体重が落ちないよう、腰の向きを変えている。
拒絶した相手への礼儀としては丁寧すぎる。たぶんこの方は、椅子にも怪我をさせない。
「歩幅を合わせすぎです」
「先生の命令ですから」
「先生は半足まで指定しておりません」
「では、私の趣味です」
趣味が地味。
一曲を終えた私は、控えの長椅子で一度だけ靴を脱いだ。
踵へ食い込んでいた宝石飾りの裏が、赤く濡れていた。
すぐ隣で、クレマン様の微笑だけが消えた。
* * *
「一、二、三、四、五、六、七」
「階段は八段ありますよ」
「存じております。七つずつ数えるほうが落ち着くのです」
「最後の一段は」
「余りです」
「階段に余りを作る令嬢は初めて見ました」
二度目の稽古場へ上がる私たちを、ベアトリス先生が下から眺めていた。
「歩幅は合っている。今日も同じ組」
「数え方まで採用基準なのですか」
「転ぶ者は数えない。踏む者は相手を見ない。この二人は数えて見すぎる。組ませるにはちょうどいい」
見すぎる、のところでクレマン様が私を見た。
一回。
いや、数えるな。そこは採点項目ではない。
二度目の曲は速かった。右、左、回転。四拍で列が交差した瞬間、隣の組の踵が私の左足へ滑り込んできた。
クレマン様の右手が私の腰を引く。私の身体が半回転し、相手の踵は空を踏んだ。
代わりに、彼の右足が不自然な角度で床をこすった。
顔は笑っている。足首は笑っていない。
「今、ひねりましたね」
「あなたこそ、左足をかばっていますね」
「質問に質問で返すのは減点です」
「踊りながら採点するのも減点では?」
次の回転で、彼の重心が浮いた。
私は握られている左手を一段高く押し上げ、彼の肩を支点に変えた。右足へ乗るはずの体重をこちらへ引き取る。私の左踵が痛む。彼の右足首も痛む。素晴らしい。二人合わせて一人前の歩行能力だ。
「交代を申し出ますか」
「そちらこそ」
「わたくしは無傷です」
「私もです」
「嘘がお上手」
「お互いさまで」
口は動く。足も動く。どちらかが痛いと言えば、組はその場で解消される。
だから私たちは、曲が終わるまで毒舌だけを交換した。
最後の礼で顔を上げると、クレマン様は列の向こうではなく、まっすぐ私を見ていた。
二回。
数えていない。断じて。
* * *
「最後の式典ですが、クレマン様の代役を立てられます」
「一、二、三、五」
ベアトリス先生の言葉を聞いた途端、私の足から四が逃亡した。
「四」
「存じております」
「では、もう一度」
「一、二、三、四、六」
「五も逃げたわね」
代役候補は、健康な足を二本持つ侯爵令息だという。立派。左右とも痛くない。それだけで舞踏相手として百点満点である。
百点満点すぎて腹が立つ。
「その方でよろしいのでは」
クレマン様は窓辺に立ち、私ではなく庭を見ていた。横顔の微笑は一度目より上手だった。後悔している顔の練習だけは続けていたらしい。
「あなたの足に合わせられる方なら」
「健康な方は、健康な歩幅で歩きます」
「そのほうがいい」
「何がです」
「私が組を外れれば、あなたは左足を悪化させずに済む」
庭を見たまま、彼の右踵がわずかに浮いている。
「ご自分の足でまともに立ってから、他人の足を心配なさってください」
「立てています」
「右だけ逃げ腰です」
「あなたの左よりは働き者ですよ」
「比べる基準が低すぎます!」
「そこまで」
ベアトリス先生の杖が、私の左靴と彼の右靴を順に指した。
「痛い足で完璧を気取るなら、せめて左右で揃えなさい」
クレマン様の社交用の顔から、綺麗に表情が抜けた。
私もたぶん同じ顔だった。痛みを隠し通していたつもりの二人が、左右不揃いという理由で叱られている。舞踏教師の観察眼は、医師より容赦がない。
「続けるなら、飾りではなく足に合う靴を履くこと。歩幅も同じ。見栄を履いて大広間へ出るな」
「ですが、式典で革靴は」
「転んで寝台へ運ばれるよりは上品よ」
反論の余地がない。寝台は踊らない。
式典当日、私は履き慣れた茶色の革靴を選んだ。クレマン様も艶を抑えた革靴だった。
大広間の扉の前で、彼は私の足元を見て、ようやく息を吐いた。
「お似合いです」
「宝石がなくても?」
「歩いて帰れる靴が、いちばん似合います」
返事を探しているうちに扉が開いた。
また数が飛んだ。
* * *
大広間へ踏み出した途端、視線が革靴へ集まった。
一、二、三十人。そこから先は数えない。社交界の好奇心を正確に集計しても、私の機嫌が悪くなるだけである。
磨いた床に宝石靴が並ぶ中、私たちの足元だけが散歩帰りのようだった。ひそめた声が右から左へ渡っていく。革靴。式典に。まあ。
まあ、何だ。
最後まで言っていただきたい。こちらには採点表がある。
「やめますか」
クレマン様は前を向いたまま、右手を差し出した。
「それは、わたくしが逃げると思ってのご質問?」
「私が逃げたいので、道連れが必要なのです」
「正直で結構です。加点一」
「満点まであといくつですか」
「未定です」
「厳しい」
私はその手を取った。
手袋越しの指が一度だけ強く閉じ、それから正しい位置まで緩む。肩より少し下。私の左足を前へ出さなくて済む角度。初回と同じ、半足ぶん短い歩幅。
曲はゆるやかに始まった。
右足を後ろへ。左は置くだけ。彼の右足へ体重が集まらないよう、私は腰を左へ向ける。彼は私の左踵を守るため、回転の中心を自分側へ寄せる。
互いに互いをかばった結果、円が少しずつ楕円になる。
優雅さ、七十二点。
生存率、満点。
「近すぎませんか」
「離れると、あなたが左へ乗ります」
「クレマン様こそ、右足を引きずっています」
「床の模様を眺めていただけです」
「足裏で?」
「新しい鑑賞法です」
一列目との交差。彼の右手が私の腰を押す。私は左足を滑らせず、踵を浮かせたまま半歩だけ送る。右、寄せる、回る。彼の視線が一度、私の足元へ落ちる。一度、顔へ戻る。もう一度足元。
三回。
かばわれた回数まで数えるな、私。そこは採点項目ではない。
次の旋回で、若い令嬢が私たちを見て笑った。隣の男性が耳元へ何か囁き、令嬢は自分の宝石靴を見下ろす。
クレマン様の指が固くなる。
「靴の選択を後悔していますか」
「いいえ」
「では、なぜ怒っていらっしゃるの」
「笑われるのが私だけなら、もっと楽でした」
足が止まりかけた。
危ない。心臓が十年先まで走り出したせいだ。十年後、朝食の席でこの人は私の靴を確認するのか。階段を七つ数えるたび、最後の一段で待つのか。いや待て、なぜ十年。三回限り。今日で終わり。明日からは健康な足が二本ある誰かと——
「一、二、三、四、五、八」
「今、六と七を捨てましたね」
「不要でした」
「あなたの数え方で不要になるなら、階段の余りも報われません」
クレマン様が笑いかける。
作った笑顔ではない。けれどすぐ、口元だけの微笑へ戻ってしまった。
減点。今の顔を隠したので減点十。
「代役の方は、踊りがお上手だそうです」
口から出た。
なぜ今。私の口は頭の許可を得ずに嫉妬を提出しないでほしい。
「そうでしょうね」
「健康ですし」
「ええ」
「お若い令嬢からも人気があるとか」
「私より一つ年上ですが」
「年齢の話はしておりません」
「では、何の話を?」
「もう結構です!」
数がまた飛ぶ。右、左、五、腹立たしい男、七。
クレマン様は少し俯いた。肩が揺れている。
「笑っていますね」
「いいえ」
「笑いました」
「光栄です。あなたが私の代役をそこまで詳しく調べてくださったので」
「一般知識です」
「私の縁談相手に関する一般知識もお持ちですか」
「何人かは」
「何人」
「足元を見てください」
「ごまかしましたね」
「次は回転です」
右手が腰へ添えられる。近い。近い近い近い。社交上の適正距離より指一本ぶん近い。いや負傷者二名の安全距離としては正しい。正しいなら仕方ない。仕方ないが、私の数はどこへ行った。
楽団の弦が高く跳ね、曲が速くなる。
私たちは半歩をさらに半分にした。
右足を出す。左は引きつけるだけ。彼が右足を着く前に、私が手を押して重さを受け取る。腰を正面へ。視線は肩越し。次の一拍で位置を交換。私の左踵が床へ触れそうになる前に、彼の腕が身体を浮かせる。
そのたびに、彼の右足へ負担が落ちた。
「クレマン様」
「大丈夫です」
「まだ何も言っておりません」
「顔が言っています」
「わたくしの顔を見ているのですか」
「ずっと」
今度こそ、左足まで止まりかけた。
ずっと。
たった三文字で足運びを破壊するのは、舞踏会の規則に反する。
彼は私を立て直すため、右足を強く踏んだ。
息が詰まる音がした。微笑は残ったまま、眉の内側だけが寄る。手の高さが半寸落ちた。
同時に、楽団の一人が拍を落とした。
弓が空を切り、低音が一つ遅れる。次の奏者が拾おうとして、今度は二つの音が重なった。
大広間を満たしていた三拍子から、一拍がこぼれた。
クレマン様の右足が床につかない。
私の左足は、彼を支えるには弱い。
六で止まれば彼が痛い。
なら、七まで行く。
「わたくしに合わせて」
返事を待たず、私は握った手を上へ押した。
一。右足を斜め前へ置く。
二。彼の右足が下りる前に、腰を近づける。
三。左足は滑らせるだけ。踵を使わない。
四。彼の身体を半回転。右足ではなく左足を軸にする。
五。重心を二人の間へ落とす。
六。止まらない。止まれば、彼が痛い。
七。余った一歩を、彼の右足の外側へ置く。
型から外れた私の革靴が、床を鳴らした。
列席者のざわめきが膨らむ。
クレマン様は一瞬だけ目を見開き、次の一拍で私の動きを理解した。
一で手を引く。二で私の左側へ入る。三で腰を支え、四で自分の右足を浮かせる。五で私を回し、六で呼吸を合わせる。
七で、二人同時に余る。
真正面で顔を見合わせた。
「これは舞踏ですか」
「わたくしに聞かないでください!」
「あなたが始めたのに」
「足は無事でしょう」
「はい」
「では加点です!」
次の七つが来る。
今度はクレマン様が先に動いた。左、寄せる、押す。私の左踵が床へ下りない高さで腰を支え、五つ目で向きを変える。六つ目で彼の右足が震えたから、私は肘を張って彼をこちらへ引いた。
七つ目で、二人とも横へ跳ねた。
革靴が揃って鳴る。
優雅ではない。まったくない。王宮の大広間で披露するものとしては、採点不能。けれど彼は倒れない。息が苦しいのは、痛みではなく速さのせいだ。
してやったり。
私たちの足は、今のところ社交界より賢い。
楽団の低音が、私たちの七つ目を拾った。
一人の奏者が遅れた音を長く伸ばし、別の奏者が短い二音を差し込む。指揮者の手が迷い、ベアトリス先生を見る。
先生は腕を組んだまま、止めない。
ならば続行。
三度目の七つで、クレマン様の額に汗がにじんだ。
「無理をなさらないで」
「あなたに言われたくありません」
「わたくしは上手に無理をしております」
「私もです」
「右足が震えています」
「あなたの手も」
握られた指先が震えている。
違う。痛みだけではない。クレマン様の顔を見上げたせいで、呼吸の数まで分からなくなった。
視線が絡んだまま、彼は左足を出した。私も右足を出す。手の高さが揃う。腰の向きが揃う。傷めた側を互いに外へ逃がして、健康な側だけで一つの軸を作る。
回る。
革靴の底が、七つ目で同時に鳴る。
「三回で終えるつもりでした」
彼の声は、息の合間から落ちた。
次の一。私が右へ。
「あなたの縁談を邪魔しないように」
二。彼が左へ。
「私が隣にいなければ、あなたはもっと条件のいい方を選べる」
三。手を押す。
「健康な足の方?」
「そこを重視していたわけでは」
四。腰を回す。
「では、若さ?」
「私より年上です」
「人気?」
「どうしてそこへ戻るのですか」
五。彼の肩が揺れた。今度は笑いではない。右足へ重さが落ちかけ、私は腕を引いた。
六。
私たちは近づきすぎた。額が触れそうな距離で、息だけがぶつかる。
軽口は、そこで途切れた。
「三回では、足りません」
七つ目を、彼は踏まなかった。
代わりに私の手を胸元へ引き寄せる。速い鼓動が、手袋越しに伝わった。
「式典が終わっても、次の曲でも、その次でも。あなたが数を間違えるたびに、隣で拾いたい」
視界が滲み、彼の輪郭が二人に増えた。困る。クレマン様が二人では、どちらの足をかばえばいい。
「返事は、今でなくて構いません」
「今、踊っております」
「はい」
「右足も痛いでしょう」
「かなり」
「では、余計なことを仰らないで」
「余計ではありません」
彼の手が震えた。
私の頬を拭こうとはせず、踊るための位置に戻る。腰へ添えた手は低すぎず、高すぎず、私の左踵を守れる場所にある。
それが腹立たしいほどクレマン様らしかった。
「それでも」
一。彼が左足を置く。
「私を選んでくださいますか」
二。
私は目元を拭かなかった。そんなことをすれば、握った手を一度離さなくてはならない。
三。
指を絡めるほど強く、彼の手を取り直す。
四、五、六。
「あなたを選ぶつもりはありません」
七つ目を、二人で踏んだ。
* * *
クレマン様が足をもつれさせた。
「今のは、どちらの意味ですか」
「言葉どおりです」
「手が言葉と合っていません」
「手は舞踏中ですので」
「では、曲が終わったら聞きます」
そのとき、ベアトリス先生の指が上がった。
楽団へ向けて、一度、二度、最後に七つ目を鋭く振る。
低音が跳ねた。弦が追う。管が一拍余らせる。
七拍子が大広間いっぱいに広がった。
「一、二、三、四、五、六——どこ?」
近くの若い二人が、七つ目の足を同じ場所へ置いて膝をぶつけた。顔をしかめたあと、先に令嬢が吹き出す。
年配の夫婦は六つ目まで完璧だった。七つ目で夫が妻の裾を踏み、妻は彼の肩を杖のようにつかんで立ち直る。
「あなた、昔から余った足の置き場所が下手ね」
「余ったことがなかったんだ」
二人揃って笑いだした。
三組目は、左右どちらも七つ目を譲ろうとした。譲り合った結果、そろって後ろへ下がり、背中から別の組へぶつかる。四人の足が絡まり、誰かが「八!」と叫んだ。
「七です!」
反射的に訂正した私の声を、大広間のあちこちが拾った。
「七!」
「今のは六だ!」
「一つ余った!」
「そちらへ置かないで!」
宝石靴が鳴り、革靴が鳴り、裾が回る。七つ目の足をどこへ置けばいいのか、誰にも分からない。分からないまま隣とぶつかり、ぶつかった相手と笑い、また最初から数え始める。
楽団も無事ではなかった。
一人が落とした拍を別の奏者が拾い、拾った者が次を落とす。指揮者の肩が震えている。管楽器の奏者は唇を引き結び、弦の奏者は俯いたまま笑いをこらえて弓を動かす。
完璧な舞踏は、もう大広間のどこにもなかった。
クレマン様の顔から、社交用の微笑が剥がれ落ちた。
口が開き、目尻が下がり、肩まで大きく揺れる。こんなふうに笑う方だったのか。二十二歳にもなって、七つ目の足を私の革靴へ軽くぶつけ、ますます笑っている。
「笑わないでください」
「あなたも笑っています」
「笑っておりません」
「では、その声は?」
「呼吸です!」
「ずいぶん楽しそうな呼吸ですね」
否定しようとして、腹が痛くなった。踊りながら笑いすぎて、腰が折れる。クレマン様の肩につかまると、彼も支えきれずに傾いた。
二人で七つ目を踏み損ねた。
今度は私たちが隣の組へぶつかり、六人まとめて笑った。
目元から落ちた雫は拭かなかった。手はクレマン様の手を握ったまま。革靴の中で爪先を動かす。痛みはある。けれど新しく濡れる感触はない。彼も右足を床につけ、顔をしかめず立っている。
これなら帰れる。
この人と、歩いて帰れる。
曲が終わった。
最後の音が天井へ消えても、私たちは手を離さなかった。
「終わりました」
クレマン様が言う。
「ええ」
「お返事を」
「わたくしは——」
近くでまた誰かが七つ目を踏み外し、「八!」と叫んだ。
大広間がどっと揺れる。
クレマン様まで笑うものだから、私も続きが言えなくなった。返事を待つ顔で笑わないでほしい。こちらも笑ってしまって、今度こそ曲が終わらない。
ベアトリス先生が指揮者へ顎をしゃくった。
楽団が、三度目の曲を最初から弾き直す。
これは予定にない。臨時の組に命じられた三回は、今ので終わった。もう並ぶ義務も、手を取る理由もない。
クレマン様の指が、ほんの少し緩んだ。
私は離れる前のその手をつかみ直し、自分から一歩目を踏み出した。
「次も七つでよろしい?」
彼は答えず、ひどく崩れた顔で笑った。
一、二、三。
三度目の曲だけ、予定どおりに終わらない。
四、五、六。
七つ目は二人同時に余らせて、手を離さないまま、また最初から踏み出した。




