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リネアの選択  作者: とたか たか


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23 似た者同士

 アメリア・ロズウェルと話したあと、クロウは歩調を変えずに寮へ向かっていた。

 回廊の角を曲がったところで、行く手に人影が立つ。


「おーい、クロウ」


 軽い呼び声。レオニスだった。片手を上げて、いつもの顔で近づいてくる。


「用か」

「いや?雑談」


 歩きながら、レオニスが気軽な調子で口を開いた。


「最新の北部の治安報告、読んだか?」

「……まだだ」


 クロウは短く答える。


「どうやら小競り合いが増えてる」

「盗賊ってほどじゃないが、補給路が狙われてるらしい」


 どこにでもありそうな話題だった。


「軍の方じゃ、

補給が滞るのは面倒だって話になって」


 肩をすくめる。


「警備の再確認とか」

「一時的な護送要請とか」

「まあ、よくある話だよ」


 クロウは黙って聞いている。


「関係ありそうな領地は限られてるけどな?」

「特定の街道に倉庫があって、軍需に絡んでる領か」


レオニスは、あっさり頷く。

そして、たった今、思い出したような口調で言う。


「そうだな。例えば、ロズウェル領とか」


 あの家の倉庫は、平時は商用だが、有事には軍の補給線に組み込まれる。

 だからこそ、監査も、警備要請も、断れない。


「だからさ、要請の話が行くのも、自然だろ?」


 クロウの頭の中で、地図が組み上がる。


 倉庫。

 人員。

 検査。

 書類。


 ひとつ増えるだけで、領地運営は一気に重くなる。


「……余計なことをしたな」

「ん?」


 レオニスはきょとんとした顔で振り返った。


「何もしてないぞ?

俺は“あり得る話”を知り合いにこぼしただけだ」


 あっけらかんとした否定。


「判断したのは、軍の連中。治安が怪しいなら、動く。それだけだ」


 それ以上でも、それ以下でもない。

 クロウは、小さく息を吐いた。


「向こうは混乱するだろうな。理由も分からず、人と書類が増える」


 レオニスは笑った。


「別に誰も罰なんて与えてないさ」


 ただ、軍が動きやすくなっただけだ。





「ああ、そういえば」


 寮についた去り際に、また思い出したようにレオニスが振り返った。


「夜会でさ――ロズウェル家のご令嬢、お前のことよく見てたよな」

「そうか」


 記憶を探っても、特に思い当たるものはなかった。その視線の意味は、考える必要はない。

 クロウはそう判断した。

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