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第一章:威力は初級、魔力量は無限。最弱設定のはずが世界から頼られています  作者: ぃぃぃぃぃぃ


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第三話:与えられた祝福と、新たな旅立ち

どれくらいの時間が経ったのだろう。

 目を開けた覚えもないのに、目を開けたような感覚がある。気がついたとき、俺はまたあの“白い空間”に立っていた。


 白。

 ただ白いだけのはずなのに、不思議と温かい。

 前回とは違い、その中心には、確かな“意志”のような何かが漂っている。


 曖昧な姿をした神──呼び方が正しいのかも分からないが、その存在が静かに口を開いた。


「君には、新たな世界で生きる道が残されている。選ぶのは、君自身だ。」


 この声を聞いた瞬間、胸の奥が、小さく震えた。

 俺は死んだはずだ。それを受け入れたつもりだった。

 でも……「続き」があると言われて、心が勝手に熱を帯びる。


「……もし、もう一度生きられるなら。誰にも迷惑をかけずに静かに生きていけるなら……その世界に行きたい、です」


 自分で言いながら、少しだけ照れくさい。

 けれど、神は静かに頷いた。


「ならば、君に祝福を授けよう。新たな世界での“可能性”となる力を」


 周囲の光が淡く色づき、七色の帯が揺らめきながら俺へ近づいてくる。

 胸の奥がじんと温かくなる。


「君に与えるのは──『すべての魔法属性』だ」


「……えっ。す、すべて……?」


 神は淡々と告げる。


「この世界では、生まれ持つ魔法属性は一つ。稀に二つ。それが限界だ。八つすべてを扱える者など存在しない」


 八属性……全部。

 それだけで十分すぎる祝福のはずなのに、神はさらに続けた。


「安心するがよい。君に与える魔法は、すべて“初級”の威力に留めてある。強力な力とはならぬ。ただ、“幅”を与えただけだ」


 俺は胸を撫で下ろした。

 正直、強すぎる力なんて怖い。扱いきれなければ他人を傷つけてしまう可能性だってある。


「……それなら、なんとか扱えそうです」


「君ならそう言うと思っていた」


 どこか優しげな気配が、白い空間に広がった。


「それから──魔力量についても調整した」


「調整……?」


「君の魔力量は“測定不能”としてある」


「いやいやいや、測定不能って大丈夫なんですか!? 危険じゃ……」


「何も恐れる必要はない。ただ大きな器になっただけだ。満たすのは君自身だ」


 ……なんだか意味深な気もするけど、危険はないらしい。

 本当に大丈夫なんだよな? と疑問は残るものの、聞かない方がいい気がしたので飲み込んだ。


 神はさらに続ける。


「最後に──君が新たな世界で生きるための肉体を用意した。魂が無理なく馴染むよう調整してある」


「転生……ってことですか?」


「その通りだ。君は今の意識のまま、新しい世界へ向かう。そこでどう歩むかは、君自身が選べばよい」


 胸の奥が熱くなる。

 “選べる”。

 その言葉が、これまでの人生で一度も持てなかった自由のように思えた。


「……行きます。そこでもう一度、自分の生き方を探します」


 神の光がわずかに揺れ、微笑んだように感じた。


「良い覚悟だ。ハヤカワ・アルトよ──新しい世界で自分の道を選ぶのだ。そこは厳しくも美しい場所だ。君が抱いた光を失わぬよう願っている」


 光が強くなり、白が白ではなく“輝き”へ変わっていく。

 視界が溶けていき、身体が浮き上がるような感覚。


 ああ……行くんだ、俺は。


 終わりじゃない。

 これは確かに──始まりだ。


 目を閉じ、身を任せる。

 光がすべてを呑み込み、意識は次の世界へと滑り出していった。

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