友達と水族館に行った女の話
私は篠宮結衣
今日は友達の浜辺菊乃と水族館に遊びに来ている。
バスの中菊乃は私に何か話しかけているが今回は上手く頭に入ってこない。
場所が場所……だからかな
「〜〜で〜〜なんだけど、ねえしのみ〜聞いてる? おーい」
「……あっ、ごめん菊乃聞いてなかった」
「……しのみ〜がそうなるってことは、もしかして悩みがお有りのご様子……この菊乃がしのみ〜のどんな悩みでも全力で聞くのよ!! 菊乃が聞くの……なんつって」
パチン
「痛いなぁしのみ〜デコピンしないでよ、もう」
「私さ菊乃のそういう明るいところに救われてるんだよ。まあ今のデコピンはツッコミってことで……おりゃおりゃ!!」
「痛い、痛い……お返しだ、オラオラオラオラ」「痛っ、痛い…………ちょっと菊乃流石にもうやめようか、バスの中だし」
「そうしよっか……それで真面目に聞くんだけど、どうしたのしのみ〜水族館楽しみって言ってたのに……『紙がないなんて、この世の終わりだぁ、おぉ神よお助けください!!』みたいな顔してるけど……ごめんふざけた。母ちゃんにも『菊乃、ほんま真面目な場面でふざけすぎたらおえんで!!』って言われてるんだけどね」
「いいよ、癖……なんでしょ、菊乃……聞いてくれる?」
「聞くよ……今度はふざけないから、安心して」
「未練がましいと思うかもしれないけど……会えなくなった初恋の相手を未だに忘れられないんだ。それに今向かってる水族館が最後に会った場所だから……余計に会えるかもって……そう思っちゃうんだ。会えるわけないって頭では理解してるのに、バカだよね私って。それに今の姿すら知らないってのにどうやって見つけるって話なのにね」
「……正直に言うけどいい?」
「どんなことでも……受け入れるよ」
「分かった。じゃあ言うね、小学校の時に会えなくなった初恋の相手を忘れられなくて何がいけないの!! 別にいいじゃん未練がましくたってさ。最後に会えなくなった場所なんでしょ、だったら私だって会えるかもって思うよ。会えるわけないなんてそんなことはないと思うよ……私なんて会えないと思ってた保育園の友達に六年ぶりに偶然会ったんだし……可能性はゼロじゃないんでしょ。だったらさ探してみようよ、私も手伝うからさ」
「…………ありがとう菊乃……でも今日はちゃんと楽しもう」
「うん、そうしようか。探したくなったら言ってね……昔の写真とかあったら私もちっちゃな想像力をフル活用して探すから!!」
「一応持ってるのは持ってるんだけど、これ……なんだけど」
私が写真を見せると菊乃は一瞬驚いた表情を見せたがすぐに何事もなかったからのようにいつも通りの明るい菊乃に戻った。
一時間後
私は菊乃と水族館を楽しんで帰りのバスが来るまでの間にあの表情について聞いた。
「ねえ、菊乃さっきの写真のことで聞いていいのか迷ってたんだけど……嫌だったら答えなくていいんだけど、気になって」
「……あの人がしのみ〜の初恋の人……なんだよね」
「そうだけど、どうしたの」
「あの人……私の姉、なんだ。それだけなら……よかったんだけど、その…………」
「どうしたの、言ってくれていいから」
「一昨年……交通事故で…………」
菊乃の発言と表情が"最悪"を想像させるには十分だった。
「……ごめんしのみ〜私何も知らなくて……私はただしのみ〜に悲しまずに喜んでほしかっただけなのに、ごめんね。しのみ〜の初恋の人には会わせてあげられない」
菊乃は私に泣きながら謝り続けた。
私は菊乃を安心させたくて泣くのを堪えて
「菊乃……教えてくれてありがとう。もう会えないって分かって……よかったよ」
そう言って感謝を伝えた。
結局告白……出来ないままだったな。
ダメダメ……一番泣きたいのは菊乃のはずなのに私が泣いちゃ……ダメなのに
「あのさしのみ〜提案なんだけど」
「何? 菊乃」
「ちょっとだけでいいから一緒に……泣こう」
「うん、良い提案だと思う」
私と菊乃はバスが来るまでの一時間十四分間一緒に泣いた。
プップー
「そこのお二人乗らないのですか? もうそろそろ出発しますけど」
「「乗ります!!」」
「菊乃……いつか、会いに行かせて」
「いつでもお姉に会いに来てあげてしのみ〜お姉も絶対喜ぶから」
「……そう、なんだ」
「それとねしのみ〜家に来たらお姉の部屋に行ってみて、もしかしたらしのみ〜宛の何かあるかもだし、当然その時は一緒に探すからねしのみ〜!!(私もそろそろ前に進まなきゃいけないな)」
「……うん、お願いね菊乃」
そして私と菊乃はその日は解散し後日私は菊乃の家に行く約束をした。
おしまい
見つけて読んでいただきありがとうございます!!
久しぶりに水族館に行った時に思いつきました




