◎恩を。
今回は2話分を一気に公開しています。
良ければ続けてご覧にになってくれると幸いです。
「ようやく、この時が来た。」
「…2人とも私の矢筒知らない?」
「僕達の新たな旅路が始まる!」
「…アンバー。なんでそうだらしないんだ。」
「ん…。」
締まらない。
「何で今やるの!?」
コアは2人に嘆いていた。
ルナノクス国で足止めを食らって、6ヶ月。
吹雪で見えなかった目の前のオンクラウド山、通称、天国山が現れた。
その名の通り、雲さえも突き抜ける標高はどれだけ腰を逸らしても見据えることはできない。
更に、天国の名を冠するように、登ったら最後降りては来られない天国への片道切符だと巷では有名である。
そして、この頂上の景色はまたもや"天国"の通り絶景で世界中の人々に憧れと夢を与えている。
だが、サロス達の目的はその絶景ではない。
「折角、雪雲も晴れて、いざ!サピエンス国へ!って感じなのに!」
「お前は何を拘ってるのか…。」
サロスが少々呆れながらコアに言った。
そう、彼らの目的はオンクラウド山に接する雲の上に建てられた国、知識の国、サピエンス国である。
「ごめん。コア君。私が冒険の始まりを邪魔しちゃって…。」
「いや、いいんだよ。もう一回やればいいんだから!」
「そうだね!」
2人は息を大きく吸い込んで、タイミングを合わせ、叫んだ。
「「新たな旅路が始まる!!」」
「…アンバーまで何やってんだか。」
こうして、ルナノクスの関所を通り、オンクラウド山まで車を走らせた。
「サロス。天国山の噂って本当かな。」
「…?噂?」
「知らないの?」
アンバーが聞く。
「天国山を登りに行った人は二度と帰ってこないっていうやつだよ。」
サロスは肩を透かされたかのようにその噂にこう反論した。
「それか…。もう今じゃ、そんなことはないと思うぞ。」
「「え?」」
コアとアンバーの2人が首を傾げて、目を丸くした。
「どういうこと?」
「時代が変わったってことだよ。」
サロスは掴みどころのない返答をした。
そんな回答を貰って納得できない2人はサロスに新たな回答を求めるが、
「まあ、着けば分かるよ。」
焦らされた。
溶け切っていない雪の道を走っていく。
朝日が雪に反射し、サロスが眩しそうにする。
そんな姿を見たアンバーが助手席に座りながら、屋根についた日除けを出す。
「ありがと。」
アンバーはサロスからを目を逸らして、うん、と返した。
しばらく走らせていると、コアがサロスとアンバーの間に割って入って、前を指差した。
「止まって!」
その声に続き、サロスがブレーキを踏み、車を止めた。
「…これって。」
アンバーがフロントガラス越しに見る動物に呆気に取られている。
「ああ。間違いない。こいつらは…」
サロス達の行手を阻むのは、
「…タウルス。」
タウルスとは、外見が白く、大きな角を持つ牛のような魔物である。
彼らは以前のコロヌより繁殖力は低いが更に攻撃的であり、体も大きい。
そして、何よりも音に敏感で、少しの物音で群れが暴れ出し、その近くにいる物や人はタダでは済まない。
「…どうする?」
アンバーが小声でサロスに聞く。
「…どうしたもんか。」
頭を抱える。
「なら、僕に任せてよ。」
コアが胸を叩いて、そう言った。
「お前、何言って…。」
「まあ、見ててよ。」
車の扉を開け、群れの中へ歩いていく。
コアは右手に電気を纏う。
「喰らえ!!」
そしてその電気をタウルスの群れへ放った。
すると当たり前にタウルスは混乱、コアに襲いかかってくる。
「コア!お前、なにやってんだ!」
サロスは車の中から呼びかけ、車を出ようとする。
しかし、アンバーがサロスを止め、こう言った。
「一旦見てあげて。」
納得できないが、サロスは仕方なくコアを待つことに。
大勢のタウルスがコアに向かっていく。
「…頼む。」
サロスがそう呟くと、コアは目を見開いて、高く跳び、左手に炎を纏う。
「…!?あれって火の魔法!?」
フロントガラスに手を付いて跳び上がったコアを見上げる。
「僕達の旅を邪魔するな!」
そう叫び、コアは群れの中心に左手の炎を放った。
その炎はタウルス達を次々と消滅させていく。
まるで火で炙る氷のように、タウルスが牛から白い煙に変わっていく。
タウルスの白い体はコロヌとは違って純粋に固まった水の魔粒子で形成されてる。
そのため火の魔法が何よりの弱点である。
そうして、ものの1分も経たず20匹は超えていただろうタウルスの群れは消えた。
「コア、お前…」
サロスはこの状況について行けなかった。
なにせ、コアが火の魔法を使えることなど知らなかったからである。
「…驚いた?」
コアが車に乗り込みながらサロスに言った。
「……。」
しかし、反応がない。
「サ、サロス?…もしかして、怒ってる?」
恐る恐る、コアが聞く。
「‥んな訳あるか!!」
「へ?」
「お前!すごいじゃないか!いつの間に覚えたんだ!」
サロスはコアの肩を掴んで揺らし、めちゃくちゃに褒めて褒めて褒めまくった。
「…流石だな。」
「怒らないの?」
「むしろだよ。」
アンバーがコアに小声で良かったね、と言った。
というのも、今までサロスに火の魔法について言わなかったのも怒号を恐れたからであった。
アンバーはコアからその旨を伝えられていたのだ。
「その力があれば俺はいらないかもな。」
サロスが少しの笑みをもって自虐した。
シートベルトをしてエンジンをかけ直し、車をオンクラウド山の麓へ走らせた。
途中途中にタウルスの群れが現れたが、コアの火の魔法で障壁にもなりはしなかった。
そうして、目的地に到着。
早々にコアとアンバーは車から飛び出し、サロスの言っていた意味を知った。
「「ロープウェイ!?」」
「そう。これがつい最近完成したんだ。」
見た目は電車のように直方体で側面に窓が付いているが、車輪は無く、反対に天面にロープに掛けられた車輪が付いている。
「あの車輪を巻いてロープを上がっていくんだ。」
「すっごー!!てか、これに今から乗るの!?」
「ああ。その通り。逆に他の方法は無いからな。」
このロープウェイが出来たことで危険な登山道を登らなくて済むようになったというわけである。
3人は心を踊らせながらロープウェイに乗り込んだ。
スピーカーから快調な曲が流れ始めると同時にガシャンとロープを伝って登っていく。
「どんどん地面から離れていく…。」
コアが頭を窓に押し付けて、下を眺める。
草を超え、木を超え、林を超え、コアは目を丸くして景色に釘付けである。
「こ、これって、あの車輪だけで支えてるんだよね。も、ももし壊れたら…。」
アンバーが体を震わせてサロスに聞いた。
「そうなっても自動でロープに接着するようになってるらしいから、そのまま落下することはないと思うぞ。」
「そ、そうなの?」
「ほら!2人ともあれ見て!」
アンバーの不安を背後にコアは呼びかけた。
「あれってルナノクス国だよね!?」
「おー!そうだろうな。」
「うわー!高いよ!」
その場に蹲るアンバーと景色の違いに興奮するコア、サロスも落ち着いているが目を輝かせている。
「…これって登り切るのに何分掛かるの?」
コアが聞いた。
「そうだな…ロープウェイ乗り場は全部で3箇所ある。それを全てってなると…」
麓、中腹、頂上とそれぞれに乗り場があり、その間は平均して約45分。
そしてオンクラウド山の標高は約8000メートル。
ゴンドラの速度を考えて。
「大体90分くらいかな。」
「90!?」
「そんなに掛かるの。」
アンバーが絶望して顔が青くなっていく。
「ま、まあな。」
「終わった…。」
サロスがアンバーに寄り添い、宥める。
景色に見惚れながら、アンバーの背中を摩りながら、ロープウェイは中腹を超え、頂上まであと25分になった。
「ありがとう。だいぶマシになったよ。」
「そうか。なら良かった。」
座席に座り、そこで固まったアンバーをひとまず置いておく。
「サロス。僕達、ここまで来たんだね。」
コアは相変わらず窓に広がる広大な景色を見ていた。
「どうした?そんなにしんみりして。」
サロスがコアの隣に座った。
「だってここで仲間を最低でも1人を見つければ電気の魔導書を取りに行けるんでしょ?」
彼はもちろん、と言うように頷いた。
「その魔導書があれば、魔王を倒せる。そうだよね?」
「ああ。俺もコアをサポートするからな。」
「…何年も続く魔王との戦いに終わりがくる。そう考えたら…」
コアの肩を掴んで少しの笑みを浮かべ、こう言った。
「そういうこと考えるには少し気が早いんじゃないか。」
冗談混じりでコアに言った。
「…そうだよね。」
コアもまた軽く笑って返した。
その時、ゴンドラが大きく揺れた。
風に巻かれるように前後左右に不規則に揺れた。
「うわっー!!」
アンバーは座席を握り、へばりついて叫んだ。
「アンバー、大丈夫だ。ただの風だよ。」
サロスが両手を水平にしながら彼女を落ち着かせようと宥める。
だが、ゴンドラはまたもや揺れ出した。
今度はさっきよりも大きい揺れだ。
「サロス!これどうなってるの!」
「分からない!」
大丈夫と言っていられなくなってきた。
揺れは更に激しく、立つのでやっとだ。
コアとサロスはアンバーに近寄り、一塊になった。
いよいよ、揺れは限界を突破して、立っていられない。
「これ!流石にまずいって!!」
コアがサロスに言う。
しかし、脱出するわけにはいかない。
ここはもはや地上から6000メートル離れている。上空と言ってもいい高さだ。
こんなとこから飛び降りればたちまちあの世行き。
「どうすれば…。」
中々名案が出ずにゴンドラに揺らされているとまた新しく揺れ始めた。
「うわわっーー!!」
「アンバー!落ち着いて!ただの強い風だから!」
コアが代わって宥めようとするが、違う。
これはただの風ではない。
「まずい、まずい、」
サロスがある大きな影に気づいた。
「2人とも!何かに掴まれ!」
目を血走らせ、サロスが言う。
「はわわわ…」
「…?…どういう…。」
その続きを空に響く咆哮が掻き消した。
「今のって…」
「…ああ。"アレ"だ。」
二対の巨大な翼が雲を切り裂き、口から炎を溢れさせながら、3人のもとにやってくる。
「…最恐の魔物、"ドラゴン"。」
飛竜は口に火を溜め、火の柱をゴンドラに向けて放った!
「ヤバイヤバイヤバイ!!!」
コアが迫る火の柱に慌てふためく。
サロスは腰の剣を抜き、空を飛ぶ構えをする。
轟音と共に放たれた火の槍がもうすぐ目の前にある!
「はぁっ!!浮けっ!」
と半分願うように剣を振った。
その願いは…。
ゴンドラごと灰になる寸前で叶った。
サロスの放った旋風がゴンドラを浮かし、火の息を避けたのだ。
その後、ワイヤーを大きくしならせ、ゴンドラが縦に弾んだ。
「た、た、助かった…。」
「もう、私、限界…」
アンバーが完全に気を失ってしまった。
だが、まだ終わっていない。
ドラゴンは近くを飛んでいる。
「…のに、見当たらない。」
ドラゴンが姿を消した。
横全面に付けられた窓を覗いてみるがやはり見えない。
「どこに行った…?」
アンバーもコアも、今は戦える状態じゃない。
俺がこの状況をどうにかしないと。
そう決意した瞬間、ドラゴンがケーブルを翼で切った!
「嘘だろっ!」
ゴンドラが落ちる!
が、安全装置が作動し、ゴンドラのケーブルとの接続部分がロックされた。
しかし、そのせいでまるでふりこのようにケーブルに吊るされた。
もちろん中の3人は振り回された。
ゴンドラが縦になり、サロスがゴンドラの後方部分に叩きつけられた。
その上にコアが覆い被さり、ゴンドラの窓にヒビを入れた。
「…コア!大丈夫か!」
「ご、ごめん。」
コアは片目を瞑り苦しそうに言った。
このままだとゴンドラの底が抜ける。
脱出しないと!
「アンバー!俺に掴まれ!」
「で、で、でも!」
「今はこうするしかない!」
アンバーは縦になった座席の上に座っていた。
しかし、こちらも限界で椅子が音を立てて壊れそうになっていた。
「俺とコアがそっちに飛ぶから、その時にどっちかに掴まれ!いいな!」
不安を残しながらもアンバーは頷いた。
この一刻一刻にもゴンドラの接合部分はギシギシと言いながら取れそうだ。
サロスは不安定なこの中で剣を構え、コアは掴まる。
「行くぞっ!」
コアも、アンバーも、その声に合わせて力んだ。
と、その時!
ゴンドラがケーブルから離れた!
ゴンドラが垂直に落ちていく。
点になり、山の尾根を滑っていく。
サロス達は…。
「はぁっ!!飛べっー!!!」
回転切りで空を飛び、ゴンドラから抜け出していた。
コアとアンバーは目を瞑り精一杯サロスに掴まっている。
あ!あそこなら!
サロスは近くの"雲島"を見つけ、力を振り絞り着地、墜落した。
「…ん。」
サロスは目を開け、体を起こそうとする…が、動かない。
「…!どうなってる!」
「魔力切れだ。落ち着け。」
「へ?」
サロスは声のする方を向いた。
そこには、"ハーピー"がいた。
両腕が翼、足は鳥のように長く細い。
そして、彼女に至っては今まで会ってきたハーピーとは違う点がある。
それが白い髪に白い目でまるで無機質な機械のような不気味さを感じる。
「なんだ。君達の命の恩人だぞ?何か言うことは?」
なかなか恩着せがましい性格をしている。
「…恩人って。君がここまで運んできてくれたのか。」
「ああ。その通りだ。」
「っ!コアとアンバーは!?」
「安心しろ。あそこで寝ている。」
あそこと指差されても、サロスは動けないのだが。
「…良かった。いるんだな。」
「それで。言うことは?」
「分かった分かった。言うよ。ありがとう。助かった。」
「は?」
「は?ってなんだよ。」
「助けてやったのに礼の一つもないのか?」
「今、礼しただろ。」
「普通、礼と言ったら言葉じゃないだろ。」
こいつっ!自分が助けたからって上から過ぎだろ!
「お前なぁ!…うぐっ!」
サロスは怒りのままに体を起こそうとするが、動かない、どころではない。
痛みまでする。
「おい!魔力切れで体が痛むことなんてないだろ!…お前!俺達に何をした!」
「私が"手を施した"のはお前さんだけだ。それに用があるのもお前さんだけだ。」
「用…?」
「少し私のお願いを聞いて欲しい。」
サロスは身構えた。
まあ、動かせないのだが。
「まずは自己紹介だな。私はソーフィエ。見ての通り、ハーピーだ。お前さんも聞いたことくらいあるかもだが、ここサピエンス国では数多くの研究者が住んでいる。」
ソーフィエはサピエンス国の現状について語り出した。
まず現状。
サロス達3人が落ちてきたこの場所はサピエンス国郊外。ニージニイ・スロイと呼ばれる下層雲の集合地である。
サピエンス国は上層になればなるほど街が発展している。
最上層にはサピエンス国最大の大図書館と王国の顔でもある城がそびえ立つ。
この国の住民はおよそ7割がハーピー、つまり自国民だが、残り3割はハーピー以外の人種である。
この理由は前々から述べているように研究と探究の国であるため、各地の学者が集まるためである。
そしてそんな叡智の集結国家であるサピエンス国にある問題が起こった。
それは流行病である。
その種類は様々で多岐にわたる。
国民は突然の病に悩まされている。
それだけではない。
サロス達が遭遇したあのドラゴン。
あれはここ数日に突然現れた魔物で、
あれこそが流行病の原因である。
直ちに討伐しなければならないがサピエンス国の兵士では太刀打ちが出来ない。
そこで王は国民全員に条例を出した。
「病源であるドラゴンを倒せる方法を編み出した者、または打ち倒した者に100万パスと一年間の特別学士という権利を与える。」
というものである。
特別学士とは何かの分野で新たな発見、発見の訂正を唱えることで貰える特殊な学士である。
これはサピエンス国で10年間の特殊実験室の使用や外国への在外研究に対する支援などが受けられる権利を持っている。
「それで、お前、俺を使って何をするんだ。」
「大丈夫。お前さん自体に用はない。」
「なら…なんだ。」
「お前さんの持つ"あの剣"に、だ。」
ソーフィエはサロスの剣、サーケル・グラディウスを手に取った。
「おい!その剣に触るな!」
「おいおい。お前さんが私に命令出来る立場かい。」
「お前っ!」
頭を暴れさせ抵抗するが動かない。
ベッドをガタガタと揺らしているとソーフィエが翼の腕でサロスの頭を押さえ付けた。
そして、耳元で囁いた。
「…いいか。私は知っている。"君の秘密"を。」
「お前…まさか、」
「さぁ。許してくれるかな。このサーケル・グラディウス、私にくれ。」
サロスの口は固く閉ざされた。
こいつはやばいっ…。
そう思ったサロスは何を言うことも叶わない。
「全く、まだ拒否しているのか。お前さんには私に礼をする義務がある。断ることなど出来ないんだ。」
こいつは、本当に知ってるのか。
あのことを。
考えられない。
ヒントも何もない。
それこそ、300年前から生きていた者にしか分かるはずがない。
「お前さん。疑ってるな?」
「…っ。」
サロスは無意識的に反応してしまった。
「そうか。なら、実際に認識の擦り合わせをしよう。」
ソーフィエは椅子に座り、翼を畳んだ。
「お前さんは…」
「っん…。あれ、ここはどこ?」
コアが起きた。
っ!
動く!体が!
サロスはベッドから飛び上がり、ソーフィエの口元を押さえた。
「…?サロス、何やってるの?」
「…え、えっとー。」
ソーフィエがサロスの手を退かし、
話し始めた。
「サロスは…」
待て待て待て!
それ以上は!!
「サロスは私の口元にいた虫を倒してくれたんだ。助かった。ありがとう。」
「え?え、ええ。」
「ふわー。あれ、ここどこ?」
続いてアンバーも起きた。
「ここは…」
「ここは!彼女の家だ。俺達が倒れてるところを救ってくれた。」
「え!そうだったんですか!」
アンバーが驚きをあらわにベッドから出てソーフィエの…
「って!この人!ハーピーですか!?」
翼に更に驚いた。
「ああ。」
「ならここは…」
「その通りだ。ここはサピエンス国。着いたぞ。」
「「やった!!」」
コアとアンバーの2人は大いに喜んだ。
「あ!てか僕達のことを助けてくれたなんて、ありがとう。」
「いや、構わない。」
「何かお礼を…」
サロスはコアの口を押さえた。
「大丈夫。俺が礼はたっぷりとしといたから。」
「そ、そうなの?…なら。」
「ほら、アンバー。外に出るぞ!いつまでもここにいちゃ恩人にも悪いからな。」
「え、でも…」
「でもじゃない。早く!」
「サロス、なんか変だよ。」
「私もそう思う…。」
「良いから。気にするな。じゃあ!ここら辺で。」
サロスは2人をドアに押して押して押し込んで外に出した。
そして、ドアを勢いよく閉めた。
はぁー。
二度と会いたくない。
「またすぐに会えそうだ。」
ソーフィエは剣に付いていた"あの石"を見ていた。
今回は2話分を一気に公開しています。
良ければ続けてご覧にになってくれると幸いです。