ありがとうって言いたいよ
「ねえ、雨音っ!私と未来とのバドのダブル優勝したんだよ!」
楓、もうやめてよ。
私に構わないでよ。
未来と仲良くしないでよ。
未来は私と仲がいいのに。
楓と仲良くしないでよ。
楓は私と仲がいいのに。
ねえっ!やめてよっ!
私の心をもう壊さないで。
「ごっごめん!急いでるから先帰るね!」
耳を塞ぎたかった。
「え〜。最近雨音ノリ悪くなーい?」
背筋がヒヤッとした。
話しかけないで欲しいのに仲間外れにされるのが嫌な私は卑怯者だ。
「えっ!そんなことないよ!楓は最近未来と仲良いみたいだね?」
言ってしまった。
言うつもりなんてなかったのに。
「うん!気が合うんだよね〜。未来はズバッと言ってくれるし、優しいし、可愛いし、最高なの!」
あーあ。
せめて否定して欲しかった。
私が1番だって言って欲しかった。
そっかぁ。
私じゃだめか。
ああ、もうやめてくれ。
耳鳴りとめまいがする。
もう死にたい。
目が覚めると、保健室だった。
1番最初にカーテンの向こうから聞こえた楓と未来の声だった。
「なんか、雨音最近おかしくない?」
かえで。ねえ、そんなこと言わないでよ。
「え、わかるかも。ノリ悪いし。話してて疲れる。」
みく。ねぇ‥大好きなのに。
「まあなんか体調悪いんじゃない?」
楓。
「まあそれもあるよね。いっつも顔怖いし。」
未来。
「そんなこと言わないの!」
かえで。
「ごめんって。てか、そろそろ行かなきゃやばいよ」
みく。
「ほんとじゃん。急ご!」
かえで。
ごめんなさい。生きててごめん。ありがとうって言えないよ。