好きです
「ね、雨音。一緒に帰ろ」
久しぶりに未来に声をかけられた気がした。
でも、一緒に帰りたくなかった。
未来は楓と仲が良くて私が入り込む隙間なんてない。
今は未来と話ができるとは考えられなかった。
「ああ〜。ごめんね。今日はちょっと‥」
「そっかー。急に誘っちゃってごめんね〜」
ごめん。
ごめん。
「そんなそんな。こっちが悪いのに。じゃあまたね〜」
「じゃあまたね〜」
手を振って急いで学校を出る。
本当にぎこちない会話だった。
私のせいだ。
なんでこんなことになっちゃったんだろ。
未来、ほんとにごめんね。
また、傷つけてしまった。
どうしたら私は認めてもらえるんだろう。
嫌われない方法は。
好かれる方法は。
探せ。
考えろ。
脳よ、動け。
さっさと動いて考えろ。
こういう時の対処法はLINEだ。
ある程度の長文であれば、誠実さが見えるはず。
内容は‥
そうだな。
避けてしまったことへの謝罪。で、ここで本当のことを少し述べる。
で、お礼を言ってこれからも仲良くしたいことを伝える。
これでいい。
私はすべて計算する。
自分が嫌われないためなら、好かれるためならなんでもする。
私は最低なやつだ。
最悪なやつだ。
こんな性格って知られたら嫌われるかなぁ。
まあ、いっか。
どーせばれないし?
私は私を使って無双する。
私は最悪だけど最強だ。
なーんてねっ?
いやいや、何言ってんの?は?ばかなの?
え‥
そんなんでみんなに好かれると思ってるわけ?そんなことてたら嫌われるだけだよ?
ごめんなさい。気をつけます。
いや、気をつけるとかじゃなくてさっさと死のうよ。一緒に飛び降りる?
私はどこ?私は誰?あなたは誰?本当の私はどこにいるの?
死にたい。
死にたくない。
死にたい。
いなくなりたい。
好きがわからない。
生きていたくない。
誰か助けて。
「ねえねえ、おすすめの曲教えて?」
どうしても海斗と話がしたくてLINEを送る。
「あー、ごめん。今忙しい。」
LINEはできるのに即レスはできるのに忙しいんだ。
あっそ。
もう意味わかんない。
「ごめん。さっきの間違えて海斗に送ってた!忘れて!」
もういいや。
もう全部なくなってしまえ。
もういいよ。
もう疲れたよ。
もう何もできないよ。
もう涙しか出てこないよ。
もうその涙も枯れ果ててしまったみたいだよ。
ほんとは意味わかる。
ほんとはよくない。
ほんとは全部大切にしたい。
ほんとは何もしたくないだけ。
ほんとは涙が出るのは少しだけ。
ほんとは涙もまだ出てくる。
なんで私は生きているんだろう。