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ごめんね

海斗「雨音のことが好きだ。僕と付き合ってほしい。」


学校から帰り、宿題をしているとスマホの通知画面にぽんっと浮きでたそれは、私を安心と不安に運んだ。

私のことを見てくれていると言う安心とどうやって断ろうかと言う不安だ。

どうやって振ったら相手はずっと好きでいてくれるだろうか。

こんなことを考えていることに驚愕するのだろうか。


でも、私のこと何も知らないでしょ。

嫌われたくないって心の中で呟いていることとか。

愛してほしいって思っていることとか。

知らないくせに私のこと好きって言えるの?

逆に怖いよ。

どーせ、私のこと全部知ったら離れていくのに。

そんなしょーもないやつのことこっちが好きになるわけないでしょ。

ばっかじゃないの。


なんで、素直にありがとうって言えないんだろう。

なんで、嬉しいなって思えないんだろう。

なんで、自分に自信が持てないんだろう。

なんで、こんなにねじ曲がった性格なんだろう。

こんな性格やだよ。

純粋で無知で天然なあの子みたいになりたい。


私の全部を知っても、愛してくれる誰か。

その誰か1人さえいれば、私はどんなことでもするのに。

そしたら価値を感じられるのに。

どうせそんな人はいない。


だから今日も、心の底で悪魔の涙を落としながら、天使の笑みを貼り付ける。


そんなこと無駄だと言うのに。



「じゃあ、雨音めっちゃモテてるじゃん!バド部の先輩でしょ。吹奏楽部の先輩も。海斗も。」

当たり前でしょ。言動、見た目、仕草、笑い方、さりげない思いやり。全てを駆使してるんだから。

「そんなことないよ〜。未来こそ、かわいいからめっちゃモテるじゃん!」

未来はかなり顔が整っている。

ただ、気が強いところがあり、男子の恋愛対象には入らない。

「あーあ。ほんと彼氏欲しいよー」

さらに、彼氏が欲しいことを公言してるから尚更だ。

ほんとに勿体無い。

「まぁ、そのうちできるんじゃないかな?」

適当に済ませておくのが1番だ。


でも、本当は私がこんなこと言う資格なんてない。

未来は私なんかよりいいところがたくさんある。

なんで私は人の努力も知らずに簡単にけなすことができてしまうんだろう。

私は私をどれほどのものだと思ってるんだろう。

最悪だな、自分。

きもちわるい。

きもちわるすぎる。

もうやだよ。

なんでこんな風に生まれたんだろう。

そもそも私が生きてる価値って何?

生きてる意味なくない?

私のこと全部愛してくれる人がいたら良かったのに。

そしたら私の価値を感じられたのに。

ああ。

もう死にたい。

生まれ変わりたい。

消えてなくなりたい。

どこか私のことを何も知らない場所に行きたい。

そこで私の人生を変えられたらいいのにな。

ごめんね。

お母さん、お父さん。

こんな風にしか思えなくて。

ネガティブでごめんね。

こんな娘でごめんね。





「ねえねえ、私が死んだらお母さんとお父さんは悲しむのかな?」



「めんどくさい奴がいなくなって助かるんじゃね?www」



「そんなことないよ!いっつもちゃんと愛して‥くれてるはず!」



「くれてるはず?wなわけないだろ。上辺だけじゃんw」



「ねえそんなこと言わないで!私はただ愛してるって言われたいだけなのに‥」



「はっ!笑える。お前みたいなのが愛されるわけねーだろ。現実見ろよ」






ネガティブな自分。目を背けようとする自分。

どれが私?

どの選択が正解?

死ぬ?生きる?

私はどうしたらいいの?

答えを教えて。

正解を教えて。


私はいらない?

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― 新着の感想 ―
最初の文章から、痺れました。うわっ、いい文章だって。本当に久しぶりでした。 心情の移りや、葛藤がすごく引き込まれていきました。 雨音さんが人に好かれようとしているのに、自分の全てを知ってほしい矛盾…
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