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花咲姫のしあわせ〜国から棄てられる?こっちが棄ててやるんだから!〜  作者: 木村 巴


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看病





 なんだか懐かしい夢を見た気がする。



 まだぼんやりして、はっきりは思い出せないけど……誰かに優しくされた夢。


 ゆっくりとまぶたを開ければ、アレックス様が用意してくれた私の部屋でホッとする。





「フローラ! 目が覚めたんだね、よかった」

「アレックス様?」


 アレックス様はベッドに駆け寄って私の手を握りしめる。


「心配したんだよ。疲労からくる風邪だっていうけど……目覚めてよかった。二日も目覚めないから本当に心配したんだ」

「えっ?? 私、二日も寝てたんですか?」

「ああ、調子はどう?」


 そう言われて自分を確認すれば、汗をたくさんかいた気がする。そのおかげか、頭の痛さも喉の痛みも和らいでいるようだ。


「少しはまだ違和感ありますが、大丈夫そうです」

「何か食べられそうか?」


 聞かれて、私が答える前に私のお腹が「グー」と返事した。私は恥ずかしくなって布団で顔をかくして「食べたいです」と答えた。



 アレックス様は微笑みながら、食事の手配だけして、すぐにベッドサイドに戻ってくる。嬉しいけど……



「あの、嬉しいんですけど、その、色々気になるし……」

「ん? 何が気になる?」

「だってずっと寝てたし、汗も……」

「ああ、ちゃんときれいになってるから大丈夫」


 そっか、アレックス様の有り余る魔力だとそんな事も出来るのか。あ、でも!


「風邪がうつるといけないし」


 そう言うと、きょとんとした顔で私を見つめる。グッ……そんな可愛い顔して私を見ないで!


「くっ……あはは、俺は今までに風邪どころか病気した事すらないんだ。だから、そんな体質の俺は看病にはうってつけなんだよ。だから大丈夫、俺に看病されて?」



 ひょえ〜イケメンのおねだりとか! つよ……強いわ!


 イケメンのおねだりに完敗した私は、もう嬉しそうなアレックス様にされるがままだ。



 ベッドにこれでもか、どこからもってきたの!? という程のクッションを背中に敷き詰めて座らされた。そこに温かいスープとパン粥、果物が用意されたベッドテーブルに置かれ……ニコニコのアレックス様によって「あ~ん」されている。


 いや、マジで。恥ずかしくて無理……だけど、戸惑う仕草を見せると、アレックス様がめちゃくちゃ悲しそうな顔をするから、頑張って食べる。


 その繰り返しだった。むしろライフポイントが激減したような、萌ポイントは上がったような……プラマイゼロだ。



 アレックス様の「こんな事、初めてしたけど……いいな」の一言は聞こえなかった事にしたい。そりゃ、王子様はしないでしょう! なんだか気に入っている……聞こえないふりをしてやり過ごした。


 そして、薬を飲んでまたベッドに戻る。




「……?」


 アレックス様はベッドサイドに座ったままこちらを見ている。どうしたのだろうか。



「アレックス様?」

「フローラ。俺はここにいるから、安心して眠って……起きたらまた話そう」




 アレックス様に寝顔見られるのは、もう三回目だから諦めてるけど! それでも恥ずかしくて寝られないよ!



 なんて、思ったのに……この後、あっという間に眠りについた私…………私の乙女心、どこに行ってしまったの!! 帰って来て!





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