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アリアスは揺蕩う

 世界樹は種から育つ大樹である。


 種は通常の環境では育たず、周囲に生息する動植物の栄養源となる。


 極めて稀な事例ではあるが、星のマグマをその種が受けると熱をエネルギーに変えて異様な成長を見せる。


 その成長は必ず一本の世界樹でしか行われないため、世界樹は惑星に一つしか存在しない。


 育てば山よりも高く天を貫き、周囲に緑を与え、様々な生態系を育む。


 実は高い栄養価を持つが、天を貫くほどの高い位置に実を作るので希少価値が高く、三つあれば蔵が立つほどだ。


 多くの生物がその実を食べるためにその実が実る枝を見つけることは人にとって困難である。


 とある世界には、その世界樹に君臨する絶大なる力を持つ鳥がいる。


 その鳥は人の言語を話す、いわゆる“魔獣”である。


 世界樹に秩序をもたらし、人間と竜とを共存させ、天使の侵略ひいては悪魔の破壊を退け、人間に平和を与えたのだ。


 竜は世界樹の実を扱う権利を持ち、それを人間に卸し、人間は竜に知識を与えた。


 それも遥か昔、古代のことだ。


 その鳥は今も昔も姿形は変わらず飛べない鳥だが、一つだけ異常だ。


 その鳥は恐ろしく強いのだ。


 傍若無人な振る舞いの中に、どこで学んだのか分からないようなノブレスオブリージュ。


 それは力を持つものはその力を正しく使わなければならないという騎士の信条を持っていた鳥だった。


 人や竜は彼の鳥を“神鳥”と呼ぶが、神ごときではその鳥を打ち破ることが出来ない異様なまでの“強さ”があった。


 その鳥の名は。


 失われて今は最早、何と呼ばれることはない。


 



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