まさかの入り口。
初めまして、織壱菜です。
下手っぴな小説ですが、宜しくお願いします。
私は家に引きこもる人間で、テレビや携帯が唯一の楽しみだった。
学校から帰ってきたらケータイの動画を見て、お腹がすけばご飯を食べ、ゆっくり動画を見ながらお風呂に浸かり、夜の9時になればドラマや洋画を見て、それが終われば携帯片手にベッドの中でファンタジーのケータイ小説を寝落ちするまで見る。
朝携帯のアラームが鳴ればスムーズにして、何度かのアラームに漸く起きれた体を覚醒させるためにケータイで漫画の新作を読む。
朝の準備がギリギリ間に合うところで飛び起き、朝ご飯を食べずに髪の毛だけを整えて家を飛び出す。
顔なんて誰も見てないから洗わなくたって大丈夫。
それが私の朝のルーティン。
そんな私が身だしなみを気にして朝から顔を洗い、歯を磨いて誰かのために朝から気合いを入れて準備をすることになるなんて思いもしなかった。
その日はほんとたまたま、たまたま、たまたまにたまたまを重ねて、ほんとのほんとにたまたま勉強机で勉強をしていた。
勉強机に向かい、シャーペンの上部分をこめかみにトントンとあてながら考え込んで30分。
睨みつける先は数字が統一感覚に書かれたプリント。
そのプリントの斜め上にはつい最近行われた定期テストの結果が団子状態で置かれている。
「24、15、12、20、36」
頭は悪いくせに、テストの点数は正確に覚えている。
辛うじて社会だけは赤点を免れた。ほんと奇跡的に。
今睨みつけているプリントは赤点を取った生徒だけに配られる補習プリント。暗号にしか見えない私は、プリントの端に無意識で書いた落書きを乱雑に消していく。
ビリっと音と共にプリントの端は破れ、その瞬間、手に持っていた消しゴムを放り投げた。
「あああああー!もうっ!」
放り投げた消しゴムは放物線を描いてフローリングに着地し、コロコロと転がり木製のベッドの下へと入ってしまった。
予備にと買っておいた消しゴムはベッドの下に入ってしまったやつで最後だったな。と思い出し、新しいのを買いに行くか、ベッド下に潜るかの選択肢は引きこもりの私にとって考える必要もなく、頭からベッド下へと躊躇なく潜り込んだ。
これが最初の異世界への扉が開いた瞬間だ。
小説で読んだようなクローゼットや鏡からではなく、洋画で観たようなドアからでも、死を経験してからの転生でもない。
たまたま、たまたま、ほんとたまたま消しゴムがベッドの下に転がり、たまたま、棒を使うことなく頭から考え無しに潜ったのがキッカケだ。