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【完結済】傷だらけのGOD MARAの呪い 氷結のサバイバル!  作者: 吉田真一
第15章 тепловоз(機関車/大陸縦断)
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第4話 ハンター

しかし、私は『ヴァローナ』に追われている身......それは、明日をも知れぬ命であると言うこと。今の私にその先を聞く権利など無い。


兄、そして妹......しかし、この時2人に芽生えた感情は、すでに兄と妹の垣根を超えていた。『恋』、巷で言うところのそれだったのであろう。


やがてヴィクトルは再びソフィアの手を握ると、優しい笑顔で語った。


「カムチャッカが君を待っている」


「はい!」


そして二人はそれぞれの想いを胸に走り出す。北行きの列車が待っているその駅へと向かって......



※ ※ ※



ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン......『ニコラエフスク・ナ・アムーレ』を発した夜行列車は、アムール川を左手に見詰めながら、いよいよ北上を開始した。長旅の始まりだ。乗車率は7割程度。幸いにも、ヴィクトルとソフィアのブロックは二人だけ。他に客は居なかった。


窓際に向かい合って座る2人。膝と膝が触れる度にドキリとする。顔は極力窓に向けているように心掛けていた。なぜなら、列車が発車してからまだ5分も経っていないと言うのに、すでに『カラス』が3度も2人の横を通過している。目をギラギラと光らせ必死に誰かを探している様子だった。


この列車は『ヴァローナ』にマークされている......それは最初から分かっていた事。とは言え、いざその鋭い視線を

目の当たりにしてしまうと、蛇に睨まれたカエルのような心境に陥ってしまう。無理もない......二人はまだ10才そこそこなのだから。


「ソフィア......何も怖がる事なんか無いんだよ。君の変装は完璧だ。逆に怯えていると怪しまれちゃうぞ」


作り笑顔で語るヴィクトル。動きはどうもぎこちない。そんな風に語った本人が、一番怯えていたりもする。


「大丈夫でしょうか......」


一方、ソフィアも不安を隠せない様子。しかし実際のところ、二人が『ヴァローナ』に見付かる心配などは無かったのである。現時点での話ではあるが......


『ヴァローナ』は確かにこの列車の中で一人の少女を探していた。その少女とは『マーラ』。現時点で『ヴァローナ』のハンター達に配られていた写真は『マーラ』のみ。ソフィアとは似ても似つかぬ少女であった事は言うまでも無い。勿論、そんな事を怯える2人が知る由も無かった訳ではあるのだが。


すると、ギー、バタン。突如、連結部の扉が開く。再び『ヴァローナ』の登場だ。その者達に気付かれぬよう俯き加減でそこに視線を向けた途端、思わず二人は息を飲み込む。ま、まずい......


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