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【完結済】傷だらけのGOD MARAの呪い 氷結のサバイバル!  作者: 吉田真一
第14章 DeathWord(死の合言葉)
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第4話 ブレスレット

エマが自分の世界に入り、マーラの写真とそんな会話を始めた正にその時だった。


「オイ、エマさん。凄いもん発見したゾ」


何やらアレクが目を輝かせながら、床のフローリングを指差している。ゲームでボスキャラを倒した時の少年のような表情だ。


「どうした?」


エマが慌てて駆け寄ってみると、そこはなんと一部分だけフローリングが剥がされているではないか。その下には人一人が通れるだけの丸い穴が顔を出している。どうやらマンホールのようだ。


「これは......」


エマが半信半疑のままマンホールの中を覗き込んでみると、その下には2メートル四方の空間が広がっていた。更に天井からは、裸電球がぶら下がっている。すかさずエマは裸電球を点けてみた。


パチン。するとその空間の角には、ミネラルウォーターと保存食が無造作に転がっている。


「間違い無い......隠し部屋だ」


「誰かがココに隠れてたってことカ......」


「多分な......マンホールの蓋が開けらてたって事は、『ヴァローナ』に見付かったんだろう。ん......待てよ。マンホールの蓋はどこ行っちまったんだ? 小さなもんでもあるまい。どっかそこら辺に落ちてないか?」


「イヤ......見当たらないゾ。どこ行ったんダ?」


アレクは『ヴァローナ』の肉片を掻き分けながら、周囲を探してみるが、どう言う訳か見当たらない。些細な事かも知れないが、有る筈のものが無いとどうも気持ちが悪い。すると、突然エマが、


「あり得ない! そんな事が出来得るものなのか?」


何やら上を見詰めながら、感嘆の声を上げ始めた。つられてアレクも上を見上げてみると、


「マジかよ!」


突然、驚愕の表情に変わる。なんと! 天井には大きな丸い穴が開いていた。しかも......穴のすぐ脇には、男の生首が天井に引っ掛かり、ぶら下がっているではないか!


恐らく、フローリングの下に隠し部屋を見付けた『ヴァローナ』は、マンホールの上に顔を近付けた。すると何かの拍子で、マンホールの蓋が飛び上がり、『ヴァローナ』の頭を巻き込んで天井を突き抜けた......今、ここに残された痕跡は、そんなストーリーを物語っていたのである。

そうでなければこの状況を説明しようが無い。


マンホールの蓋は恐らくコンクリートか鉄製。いずれにしたって、そんなに軽いもんじゃ無い。隠し部屋から天井まで、そんな重い蓋を押し飛ばせる者が居たとしたならば......


やっぱ、あたしの仮説は間違って無いって事なのか?


「おいアレク、多分外にこのマンホールの蓋が落ちてると思う。ちょっと拾って来てくれ」


エマはマンホールの穴からちょこんと顔を出し、アレクに指示を送った。


「リョウカイ」


アレクは言われるがまま外へと飛び出していく。エマはアレクが蓋を探している間、再び隠し部屋の中の詮索を始めた。すると、カララン......足が何かを転がした。


ん、なんだ? すかさず大事に拾ってみると、それはブレスレットだった。色はシルバー、見るからに真新しい。


ん? 何か刻んであるぞ。どれどれ......DARIA......ダリアか! 一体、何でこんな物がここに?


それはちょうど、マンホールの穴の真下辺りに落ちていた。


『オハ』の大邸宅ではミサンガ......そして今度はブレスレット......


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