第4話 葛藤
更にもう一度、ドンドンドン......さっきよりも強めに叩いてみた。しかし、
「......」
やはり返事は無かった。
どうしよう......開けてみようかな? でもいきなり開けて人が居たら怒られちゃうかも......
心は大きく葛藤する。ところが、ソフィアの手は無意識のうちにドアノブを握っていた。その時、ソフィアは気付く訳も無かった。
ガルルルル......!
扉一枚隔てたすぐその先に、危険な何かが待ち構えているなどと言う事を。そんなソフィアはドアノブを握る手に更なる力を込めた。
そして遂に?!
ピタッ。
............
............
............
やっぱ......止めとこう。勝手に入ったら泥棒だ。ノックしても声を掛けても反応が無かったんだ。誰も居る訳が無い......
ソフィアはギリギリのところで踏みとどまり、危険を回避した。神はまだソフィアを見捨てていなかったようだ。
さぁ、この家は諦めて次の家に行ってみよう......
ソフィアは回れ右し、その邪悪な家から離れようとしたその時だった。
ガサッ。
えっ、なに? 今家の中から音がした。きっと誰か居る! 間違いない!
せっかく危険を回避するしたと言うのに......家の中で立ち上がった物音は再びソフィアを地獄へと呼び戻してしまった。
ソフィアは扉に向き直る。そしてドアノブを握ると、
「すみません。怪しい者ではありません。失礼します」
純真無垢。恐れを知らぬ汚れなき少女は遂に地獄の扉を、ギー......開けてしまったのである! すると、
突然、暗闇の中から何かが!
なんと、その『何か』が自身の左腕に絡みついているではないか!
えっ、なに?!
あまりに突然過ぎて何がなんだか?
そして次の瞬間には、ガガガガガッ! なんと、ソフィアの細い身体が物凄い力で真っ暗な家の中へと引き摺り込まれたではないか!
「いっ、痛い!」
突如、左手首に激痛が。
ちょっと?
えっ、えっ、えっ、
なに?!
なにっ?!
なんなの?!
それはまるで蟻地獄に引き摺り込まれたような感覚だった。一度喰らえ付いたら二度と離さない......そんな野獣の目だけが、暗闇の中で光り輝いていた。
やがて暗闇に目が慣れてくると、今、自分に降り掛かっている惨劇を目の当たりにする事となる。
なんと! 自分の身体よりも大きな猛犬がよだれをダラダラと流しながら左手首に噛み付いているではないか!




