表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】傷だらけのGOD MARAの呪い 氷結のサバイバル!  作者: 吉田真一
第11章 MAD”Диана(マッド″ディアナ)
58/523

第7話 執念

やがてディアナは遂に重い口を開く。


「ミーオさん。どうか......」


「いいよ。でも刺青はやだからね」


ディアナの言葉を途中で遮るミーオ。


「ほっ、ほんとに?!」


余りにあっさりとしたミーオの返答にディアナは面喰らった様子。


「『ヴァローナ』でしょ。前から興味あったから。でも刺青はやだからね」


「わっ、分かった。シールでいい。でもシールってバレないようにな」


「了解よ」


二人は互いに見詰め合い、笑顔を浮かべている。すっかり打ち解けてしまったようだ。


『ヴァローナ』をまんまと騙し心の中では密かにほくそ笑む美緒。しかし美緒は、その時、同時にこんな事も思っていた。


この人が本当に悪人? 素直でいい奴じゃん......


『ヴァローナ』と初めて接し、最初に感じた事は美緒も圭一と同じだったようだ。


美緒にせよ、圭一にせよ、極東ロシアにおける戦いは今、幕を開けたばかり。これからいかに長い戦いが繰り広げられていくのか? それはこの時点で分かる訳も無かった。ただ一つだけ忘れてはならない事がある。それは一度『ヴァローナ』に入隊してしまったら、如何なる理由があろうとも、必ず一生『ヴァローナ』であると言う事だ。『来る者は拒まず、去る者には死の洗礼を』その事だけは、肝に銘じておく必要がある。


何はともあれ、二人は揃って『ヴァローナ』の入隊をここに成し遂げた。


ポタッ、ポタッ......二人は意気揚々と『アナディリ』の街を歩き抜けていく。そして、二人が歩いた後には......点々と血が垂れていた。


「ママ、あのお姉ちゃん......血が出てるよ」


母にそう語りながら屈託の無い少女はその者の背中を指差した。女性の背中から垂れ落ちる血はズボンを伝い、歩道に垂れ落ちている。


その女性とは......ディアナで無く、なんと、ミーオだった。


くっ......


傷が開いちゃったみたい......


痛い......


富士宮で受けた傷はそう簡単に塞がるものでは無かった。そんな傷を背負って屋上から飛び降りたのだ。傷が開いてしまうのも致し方ない。


「ミーオ、一体何でプラスチック爆弾なんて持ち歩いてんだ?」


「そんなの日本じゃ、小学生だって持ってるわよ」


「うそー......」


「冗談よ。ハッ、ハッ、ハッ......」


一切そんな素振りを見せず、高らかに笑い声を上げるミーオ。


エマさんも......


圭一さんも......


ポール君も......


みんな必死に戦ってるんだ。あたしだけ格好悪いとこ見せられない......苦痛すらも笑顔に変えてしまう美緒。それは正に女の執念だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ