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第11話 大博打

もしそうだとしたならば、それは余りに楽観的予測と言わざるを得ない。やがて、エマのカウンター攻撃が始まる。


「秋葉秀樹がお前の親友だと? 全く......おめでたい奴だ。この写真をよく見てみろ。お前の肩に手を掛けてるだろ? これはこいつの癖だ。自分の部下とか格下相手とコミュニケーションを取る時のな......残念ながら、奴は最初からお前なんかを対等と見ていない。この写真はその証拠だ。


秋葉秀樹って奴はな......確かに悪人だったが、日本を守るって事に命を掛けてた。敵ながらあっぱれってとこもあったのさ。それに対しお前はなんだ? だだの国潰し野郎じゃねぇか! 


あたしが何でわざわざ極東ロシアなんかに行ったか分かるか? 秋葉秀樹にお前を殺してくれって頼まれたからだ。つまり秋葉秀樹に取って、お前はもう用済みだったって事なんだよ。全く......親友が聞いて呆れるわ!」


銃口は未だエマの頭に、ロックオンされたまま......もし仮に、ウォールが我を忘れて暴挙にでも出たならば、その時点でバーンッ! 『THE END』だ。


にも関わらず......エマはこの場において大博打に打って出た。エマがこの正真正銘、最後の戦いに選んだ武器は銃に有らず。それは、『言葉』だった。


このエマが挑んだ『論戦』をウォールが受けて立つのかどうか? それこそが最後の運命の分かれ道だったに違いない。そして......結果は直ぐに現れた。


「秋葉秀樹殿が......わしを殺せと言っただと......よくもそんな見え透いた嘘をぬけぬけと......」


ウォールは、身体をブルブルと震わせ始める。また発したその言葉も、見事なまでに震えていた。その反応は、エマが思い描いていた通りと言っても過言では無い。


エマが発したそんな激情なる『言葉』は、目に見えぬ矢と化して、ウォールの心に見事突き刺さってくれたようだ。


ウォールなる人物......それは、富、権力と言う名の煩悩を全て手に入れた独裁者。そんな独裁者に必ず付いて回る『祟り』......それは他でも無い。『孤独』だった。


独裁者が独裁者である限り、必ず『孤独』は纏わり続ける。エマは既に看破していた。ウォールが『孤独』に苦しんでいると言う事を......そして『秋葉秀樹』と言う名の偶像だけが、唯一、その苦しみを和らげていた事を。エマの攻撃はなおも続いていく。


「お前は、秋葉秀樹の遺産が欲しいんだったよな? 『し・ん・ゆ・う』の秋葉秀樹が残した遺産をな!」


「お前に何が分かるんだ?! わしと秋葉秀樹殿は硬い絆で結ばれとるんじゃ! そんな彼がわしの未来の為にわざわざ残してくれたのがその遺産だ。御託を並べんでもよい。早く写真の秘密を解け! さもなければ!」


バンッ!なんと、突然ウォールの銃口火を吹いた! 途端に、キーン......エマの耳に、激しき耳鳴りが。銃弾はエマの頭を僅かにかすめ、舞台セットの床にめり込んでいる。


脅しじゃ無いぞ! きっと、そんな意思表示だったのだろう。


「エマサン?!」


「貴様っ!」


「許さないわ!」


カシャッ!


カシャッ!


カシャッ!


引き金に当てる指に思わず力が入るポール、圭一、美緒の3人。それは正に一触即発。そんな状況であった事は、言うまでも無い。



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