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第1話 それから半年後

ここまでお読み頂き、誠に有り難うございます。残り15話にて完全完結。あと少しだけお付き合い頂けたなら幸せです。

そんな傷ましい事件が起きてから半年後......暦は8月。


小さな平屋造りの小窓からは『緑』なる景色が広がっている。


虫一匹すら殺せない......そんな例えが一番似合いそうな清楚なる年若き女性は、机の引き出しの中に入っていた1枚の写真を取り出した。大層立派な額縁に収められている。持ち主がさぞかし大事にしていたのだろう。


この写真は一体誰? ベーラ(Бе́лла)がどこかで拾って来たみたいなんだけど......所々、額縁に焦げ付いたような跡がある。でも写真は全然綺麗ね。ちょっと不思議。


左の男性はロシア人、結構な年だわ。70才くらいかしら? 


右の男性は中国人? それとも日本人? よくは分からないけど、きっと東洋の人ね。多分50才後半ってとこかな?


気付けば、そんな清楚な女性は2人の男性が笑顔を浮かべるそんな写真を食い入るように見詰めていた。


10センチ程開いた小窓からは、僅かながらの潮風が吹き込み、そんな清楚な女性の長い睫毛を僅かに揺らしていた。


眩しい......見れば広大な北極海がオレンジ色に染まっている。


そうだ......お母さん、手伝わなきゃ。


どこの家でも、そろそろ夕飯の支度を始める時間帯だ。女性が写真を引き出しにしまおうとしたその時だった。


ガタガタガタッ! 突如、何やら得体の知れぬ生き物が、小窓に身体をぶつけながら部屋の中に押し入って来たではないか!


「キャアーッ!」


予期せぬそんな来訪者の到来に、女性は思わず悲鳴を上げると同時に、それまでしっかりと持っていたそんな写真を手放してしまう。カタンッ、カタカタカタ......


よくよく見てみれば、それはなんと小さな猿だった。


なんでこんな所に猿が居るわけ?! まぁ、どうでもいいんだけどね......


「キーッ! キキキッ!」


でも一体何でそんなに怒ってるの? あたし......何かした?


目はつり上がり、頭の毛が逆立っている。猿の生態を知らぬ者でも、それが喜んでいない事くらいは容易に理解出来るリアクションだ。


そしてそんな猿の視線は、ある一点に向けられていた。それは......今床に転がったばかりの写真だった。すると、次の瞬間には、


「キーッ! キキキッ!」


なんと、猿は長い手を伸ばし、写真に飛び付き掛かったではないか!


「あっ、ダメッ!」


女性は反射的に手を伸ばした。そして間一髪、倒れながらもギリギリのところで写真を奪取!ところが、


「キキキッ!」


猿は一向に諦めようとしない。なおも目くじらを立て、必死に女性の手を掻きむしっている。とにかくもの凄い執念だ。



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