34話 異世界訪問
「ただいま」
「おう、おかえり。刀袮はもう寝てるよ」
ヤルダバオトが、遅くに帰ると、羽孔は読書をしていた。
「ごめんね、遅くなっちゃって。ラットさんと少し話しこんじゃった」
「あぁいいよ。ヤルダバオトも、たまには息抜きしないとな。そろそろだろ?」
羽孔は、最後少しトーンを落とし、そう聞く。
「うん、もうすぐ戦争が起きる。最初は、ラスオイキ王国、約十一万VS近隣諸国連合軍、十一万&ラスオイキ王国反乱軍十万、計、約二十一万だね。まぁ、ラスオイキ王国の軍は、しっかり訓練されてるけど、連合軍は、訓練できてても、他国の騎士とは出来てないだろうし、反乱軍に至っては、冒険者と一般市民だから、個人プレーだし数は余り参考にならないかな」
「そうだなぁ、振り分けは?」
「ラスオイキ王国は、〈属性〉魔法士団約一万、〈攻撃〉魔術士団約五千、騎士団約二万、兵士七万、後は、影軍っていう〈空想魔法〉の使い手が五千」
そこまで聞いて、羽孔は、気になった事を聞く。
「影軍って具体的に、どんな何だ?」
「少し、特別だね。影軍は、相手を密かに殺す、暗殺部隊だね。こいつらは、名の通り、人の影に潜むことができる、まぁ、具体的に言ってけば、少し違ったりするんだけど、そこは置いといて。普通は、味方軍の物や影に潜んでいるんだよ、そこから急に飛び出して、相手を殺す。それが、影軍だね」
「暗殺部隊か、、、気をつけなきゃな。で、連合反乱軍は?」
「連合軍は、〈攻撃〉魔術士団約二万、〈属性〉魔法士団約一万、〈空想魔法〉使いが三十、騎士団四万、兵士四万、計十一万反乱軍は、冒険者三万、一般市民七万だね。正直勝ち目は無いと思うよ、数だけだね。でも、戦うわけじゃないし、僕達には関係ないよ。それよりも僕達が危険視しなくちゃなのは、バルクニア・ファル・アーレスト公爵の”私兵団”数七千、全員が、魔法騎士だね」
「魔法騎士七千か、、、強いのか?」
「強いと言えば強いけど、僕達は少人数でさくっと殺ってさくっと帰ってくるだけだからね。下手したら戦わないかもしれないけど一様頭には入れといて」
「ふーん」
「まぁ、この続きは刀袮が起きてる時にしよう」
「そうだな、おやすみ」
「おやすみ、羽孔」
羽孔は蝿の姿になり、ヤルダバオトはベットで寝るのだった。
◆◇◆◇
「ん?つまり、数ヶ月以内に戦争が起きるからそのゴタゴタ中に攻めるのか?」
「そうだよ」
ヤルダバオトは、屋敷に攻める全員を集めて、作戦会議をしていた。
「ふーん、そういう事ね。てか、バルクニア・ファル・アーレストって強いのか?」
「あ奴は、かなり強いぞ。腐っても戦争で勝ち残ってきた人間だからな」
「まぁ、当たって砕けるか。最悪〈転移〉で、逃げればいいし」
「砕けちゃ駄目でしょ。まぁ、刀袮はそう言うだろうし、今は、武器とか魔法とかのが楽しいだろうから、戦闘訓練だけしてれば良いよ」
「お、そうか。じゃあ、お言葉に甘えさせて貰うかな。エラ、行くぞ」
「うん」
「行ってらっしゃい」
「おう、言ってくるぜ」
「なぁ、ヤルダバオト、バルクニア・ファル・アーレスト公爵の情報はないのか?」
「僕もわからない。姫様わかります?」
ヤルダバオトは羽孔に、聞かれたことをそのまま姫金神に問う。
「そうだな、私もあ奴の事を詳しくは知らんが、異名は、千槍刃。あ奴の武器は一本の鉄の棒らしいんだが、その棒から、刃を、出す事ができるらしいのだが、その棒から変幻自在に刃をだし、槍の様に使って戦う、あ奴は個人プレー向きなんだよ」
それを聞いて、羽孔は姫金神に、質問する。
「なぁ、姫金神様、それの種は何なのですか?」
「うむ、そうだな。きっと、〈空想魔法〉だろうな」
「〈空想魔法〉じゃあ、魔力を枯渇させれれば、ただの棒だけになるか」
「だが、魔力も膨大だぞ」
「はい、それはそうでしょう。ですが、私兵団に気付かれずに、僕達が戦い続ける事ができれば、そのうち魔力は無くなるはずです」
「確かにそうだな、、、なぁ、ヤル〈隠密〉と」
そこまで言うと、ヤルダバオトは少し強引に答える
「そうか、〈隠密〉と〈幻覚〉〈転移〉で行けるかもしれない。羽孔、ナイスアイデアだよ。でも時間がかかりすぎる。あくまで、サポートのアイデアとしておいておこう」
◆◇◆◇
「ほんとこの森は、レッド・ボアしか出ないよな」
「うん、この森は国が管理して、初心者に優しいようにしてる。でも、最近は管理しきれてないから、サーカス・ライオンがでた」
「そういう事か、でも、レッド・ボアぐらいなら、もう余裕だぞ」
刀袮と、エラが会話をしていると、ヤルダバオトの声が後ろからする。
「刀袮、慢心は良くないよ。と言いたい所だけど、確かに、刀袮にはここは会わないね」
「じゃあ、どっか他の所に行くのか?」
「うん、その件も含めて、色々話したいから、一回戻るよ。〈転移〉」
ヤルダバオトが、そう唱えると視界は変わり、宿屋の部屋に着く。
武器、装備等をしまって、全員が席に座ると、ヤルダバオトが話し始める。
「僕は、他の〈世界〉に行こうと思ってる」
「俺はいいけど、姫金神は良いのかよ?それに、正宗は?」
「うん、姫様を助けない訳じゃない。でも、僕達がこの〈世界〉に居続ける必要は、無いんだよ。極端な話、戦争の時だけ戻ってこればいい。だから、今から新しい〈世界〉に行こうと思う。そこは、この前言った、転職が貰える所、さくっと転職だけ貰おうって言うのが僕の考えだよ」
「うん、俺は良いと思うけど、まぁ、僕は貰えないけど」
羽孔が、そう自分を、皮肉ると、ヤルダバオトは、朗報だとばかりに伝える。
「あ、その事なんだけどね、事前に、姫様に聞いたんだよ。そしたら、その〈世界〉に限った話で、外の住人、〈異分子〉って言うんだけど、その人達は、特に関係無いらしく、羽孔も貰えるよ」
「おぉ、そうかそうか、ちょっとテンション上がってきた」
「あぁ、俺も賛成だせ。エラは?」
「エラは、刀袮と一緒」
「そう、じゃあ満場一致で可決と言うことで、今から行くよ」
さっそく、行こうとするヤルダバオトを、羽孔は、止める。
「え、ちょちょっと待って、準備とかは?」
「まぁ、行っても三泊四日位だから、向こうで揃えればいいんじゃない?」
「ま、まぁヤルダバオトが、大丈夫って言うなら大丈夫なのかな?」
「良し、じゃあ異世界へと訪問しに行きますか」
そう元気に声を上げる刀袮なのだった。
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