23話 火の精霊
「ふぁぁ」
「あ、刀袮起きるの遅いよ。羽孔はもう起きてるよ」
「あぁ、ごめん」
そう言いながら、刀袮は体を起こしベットに腰掛け、ヤルダバオトに話しかける。
「んで、今日は何をするんだ?だいぶ、武器も使いこなせる様になったし」
「そうだね。そろそろかな」
そう、刀袮とヤルダバオトがこの異世界に、来てから約一週間程たとうとしていた。
「なぁ、今日は付いて行ってもいいか?」
そんな、会話をしていると、羽孔が会話に入ってくる。
「そうだな、お前、ここに来てから一歩も宿出てないしな。それに、知識ばっかで実践経験0だからな」
「そうなんだよ、なんか、刀袮に魔物の革の剥ぎ取りも覚えさせられたのに結局知識だけだし」
「そうだね、よし今日の予定決めた」
そう言うと、ヤルダバオトは、今日はの予定を説明し始める。
「はい、まず今日は、僕達三人で森の中に入っていくよ。で、途中まで行ったら、そこで刀袮を置き去りにする」
そこまで聞いて、刀袮は慌てた様子でヤルダバオトに聞き返す。
「ちょ、ちょっと待てよ。置き去りって?」
「刀袮、人の話は最後まで聞くものだよ」
「わ、わかったよ」
「で、刀袮を置き去りにしたら、僕と羽孔でもう少し森の深いところに行こう。そこで羽孔は、魔物相手に実践をしてもらうよ」
「お、俺は、置き去りにされてどうするんだ?」
「刀袮は、そのまま宿屋に帰ってもらう。けどその時にはこの薬瓶を飲んでもらうよ」
そう言って、ヤルダバオトは一本の黄色い液体が入った瓶を、手渡す。
「これは、、、性フェロモン?」
そう、刀袮が答えると、羽孔が訂正を入れる。
「いや、性フェロモンは確か、もうちょっと赤と言うより、ピンクが強い、だからそれは集合フェロモンじゃないかな?」
「うん、羽孔の正解だね。これは、集合フェロモン、因みに性フェロモンは殆ど媚薬とか性欲剤に使われるから一般人には、出回らないよ。で、これは名前の通り、飲めば魔物が寄ってくるね。でも、まぁ今の刀袮ならあの森を一人で出る事ぐらいできるよ。出れたら〈以心伝心〉で、僕に教えて、そのまま羽孔を連れて帰るから」
「そうゆう事か、やってやろうじゃねえか」
「よし、じゃあ早速行こう」
「あ、羽孔は森に入るまで〈擬人化〉解いといて」
「あ、そうだったな」
そう言うと、羽孔はヤルダバオトに言われたとおり殆どの時間を〈擬人化〉状態で過ごしていたがそれをを解く。すると、小さな蝿になる。
「よし、じゃあ気を取り直し行こう」
そう、腕を上げるような仕草をし、大声で言う羽孔なのであった。
◆◇◆◇
「この辺か?」
「うん、じゃあここでいいよ。はい、これと後これも」
そう言うとヤルダバオトは、先程の黄色い瓶を渡すともう一本オレンジ色の薬瓶を渡す。
「よし、言うなよ、、、えぇーっと、なんだっけ?」
刀袮が、そう言うと、羽孔が答える。
「多分、警報フェロモンじゃないかな?いや、でも警報フェロモンはもう少し赤かったはず」
それを聞くと、ヤルダバオトが微笑を浮かべながら、説明する。
「正解だけど、不正解だね。これは、警報フェロモンを元に、少し加工したものだよ。因みに加工内容は、本来の警報フェロモンは、警報と救命求める物、だけどこれは、警報と逃亡を求めるフェロモン、言うなれば解散フェロモンだね。用途はわかるね?」
そうヤルダバオトは、刀袮に問う。
刀袮は、呆れた様に答える。
「簡単だ、緊急用だろ?」
「うん、正解だね。じゃあ頑張ってね」
そう言って、行こうとするヤルダバオトを、刀袮は止める。
「おい、ちょっと待ってくれる。殺した魔物はどうすればいいんだ?放置でいいのか?」
「あー、考えて無かったな、、、よし、こうしよう」
そう言うと、ヤルダバオトは、あたりを見渡す。その目は、紫に輝いていた。
あれは、、、確か魔眼だったか?精霊とかが見えるやつ。刀袮が、そんな事を考えているとヤルダバオトが話し始めた。
「お、見つかった。刀袮、まぁ見えないとは思うけど、ここら辺に火の精霊がいるよ。今から、この精霊一時的な契約をして、刀袮について行かせるから。倒したらこの精霊に頼んで燃やしてもらってね」
その言葉を聞き、刀袮の胸は踊った。そして暫し思考しヤルダバオトに質問をする。
「なぁ、契約って、他にどんなのがあるんだ?」
「ん、他に、、、そうだねじゃあここで精霊との契約の説明をしようか」
「まず、精霊との契約には大きく分けて二つ、精霊から契約してもらうか、自分たちから契約して貰うか、そのどっちかに、半永久的な物と一時的な物があるね。まぁ、全部で四個だね。今から僕達がするのは、自分たちから行く一時的な物だね。この、契約には精霊が、契約してくれるか、わからないんだよ。まぁ、僕の魔力を見せれば契約はしてくれると思うよ」
ヤルダバオトは、一通りの説明をする.そこまで聞くと刀袮は、ヤルダバオトに代案を、出す。
「なぁ、俺と契約させてもらえないから?」
そう言うと、ヤルダバオトは少し考えてから答える。
「うーん、まぁ、刀袮の魔力を見せて、精霊がついてくるなら良いけど、精霊が断ったら駄目だからね。一様、強制契約は使えるけど、僕が嫌だから」
「あぁ、わかってる。俺もそこまで非情じゃないからな」
「よし、なら良いよ。僕が仲介して上げる」
そう言うと、ヤルダバオトは精霊に話しかける。
「精霊さん、この少年と契約する気はありませか?取り敢えず、姿だけでも」
ヤルダバオトが、何も無い空中に話しかけると、そこに元からいたとでも言いたげに、炎が姿を現す。
「ふむふむ、魔力は感じられなかったが、魔眼か?」
「はい、魔眼です。それで、契約の」
ヤルダバオトが、話し始めると、精霊は、話を止め質問する。
「おい、魔眼小僧、貴様からは魔力を一切感じない。何者だ?」
そう言うと、炎が少し揺らめく。
「はぁ、魔力感知してしまいましたか、では少し僕の魔力を見せましょう」
そう言うと、ヤルダバオトは、手から紫色の光少しを出す。
「天使か、、、嫌、神か」
「良くお分かりで、しかし驚かないのですね」
嫌、多分凄い驚いてると思うぞ、炎がゆらゆら動きまくってる。
「嫌、めっちゃ驚いてます。しかし、一体なぜこんな何もない森などへ?」
「神々のゲーム、、、と、言えばお分かりですか?」
ヤルダバオトがそう言うと、炎の揺らめきが少し止まり、その後声が聞こえる。
「全て理解しました。確か精霊王が観戦に行っていたはず。では、私は、貴方の味方をしましょう」
そう言われると、今度は、刀袮が質問する。
「なぁ、精霊さんよぉ。「いえ、気軽に精霊と」じゃあ、精霊、なぜ味方を?正直に話してくれ」
そう言うと、刀袮はロッコバー・アックスの武器をちらつかせる。
「私は、、、いえ、正直に話しましょう。単純に自分の利益になる、と考えたからです。確かに、貴方達の現状は理解しています。しかし、他の神に協力を頼まれる可能性は限りなく低い。それが理由です」
「確かに、ウィンウィンだな。よし、信頼しよう」
「ありがとう御座います。では、手をお貸しもらえますか?」
「なぁ、ヤルダバオト半永久的契約でもいいか?」
「うん、良いよ。僕も戦力アップは、歓迎だしね」
「では、改めて手をお貸しください」
そう言われると、刀袮は、炎に向けて手を伸ばす。
すると手の甲に、熱が走り、思わず声を漏らす。
「あ、熱」
「刀袮、我慢して、今精霊が、紋章を刻んでるから」
「も、紋章?」
「はい、刻み終わると、私との契約が成立します」
「そ、そうか」
そして、数秒後。
「終わりましたよ、ご主人」
そう言った瞬間、炎は燃焼を強め大きくなって行くのだった。
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