20話 図書館
「刀袮起きて、もう朝だよ」
「うーん、起きた起きた」
刀袮は、ヤルダバオトの声で起き眠気と戦う。
「あれ、羽孔はどk「ここに居ます」そ、そんなとこにいたのか」
ヤルダバオトは、まず刀袮を起こし羽孔を起こそうとあたりを見渡すよ肩のあたりから声が聞こえる。
「おはよう」
「おはよう」
「あ~、起きたぞ。今日はどこに行くんだ?」
「おはよう、刀袮。そうだね。まずは図書館に行って、それから昨日の森に行こうかな」
「図書館か、本を借りに行くのか?」
「そうだよ。羽孔は外に出れないからね。本を読んでいてもらおうかなと思って。もちろん教本だけどね」
「よし、じゃあ行くか。言ってくるなおっさん」
「おっさんはよしてくれよ。まぁ、行ってらっしゃい。ヤルダバオトも行ってらっしゃい」
「行って来ます。羽孔」
◆◇◆◇
「なぁ、ヤルダバオト図書館までどれくらいあるんだ?」
「そうだね、案外近いよここから十分ぐらいかな」
「でも、なんで異世界転生だとか異世界召喚だとかが起こるんだ?」
「簡単な話だよ。例えば日本で人が死ぬとする。そうすると、その魂を再利用するんだ。でもその過程で何らかの不具合が生じて忘れさせるはずだった記憶を持ったまんま他の世界で生まれるのが異世界転生だね。異世界召喚はほとんどが送られる側の世界で故意的に起こしてるよ」
「ふーん。神って完璧じゃないんだな」
「そうだね。神様は全知でも全能でもないからね」
「そんなものか」
「そんなものだよ。あ、あと刀袮は、羽孔の事を信用してないよね?」
「急だな。ま、まぁまだな」
「刀袮の過去は分かったし信用しろとも言わない、けど、、、信用しなくていいから信頼はしてあげてね」
信用じゃなくて信頼ねぇ。そんな事を思いながら刀袮は歩いていく。
◆◇◆◇
「おぉ、かなりでかいんだな」
「そうだね。王都には図書館がないから必然的にこの国ひいてはこの世界で一番大きな図書館だね」
刀袮の前には、四階建ての図書館があった。
「四階建てとはな」
「うん、僕達が借りれるのは一階スペースだけだけどね。級が上がれば上の階も見れるようになるよ。因みに24級になれば禁書の一部も見せてもらえるらしいよ。まぁここ数百年24級に上がった人はいないけどね」
「そういう仕組みか。因みに禁書ってなんだ?」
「そうだね。例えば昔の秘学や戦争の真実、あとは禁術なんてのだね。基本的には一般人には見せられないような本のことを禁書っていうんだ。24級にもなれば国が支援して国の特殊部隊みたいになる事が多いからね。因みに今生きてる24級は一人だけ居るよ」
刀袮は、それを聞いて少し不思議に思う長生きの人間でもせいぜい100歳程度だろう。それに刀袮のいた世界より医学が発達しているとは思えない。
「え、でもさっき数百年いないって、、、長命の種族か」
「ピンポン。ハイエルフ族だね。蒐集狂しゅうしゅうきょうなんて異名がつくほど物を集めてたらしいけど今はどこに居るかも不明で死亡説が出てるらしいね」
「その、ハイエルフ族って寿命はどのくらいなんだ?」
「そうだね。まぁ結構バラツキがあるけどよく言われるのは人が六十年。エルフが千年。ハイエルフが五千年。だね」
「千年か。今いくつなんだよ?」
「えーと、24級になったのが約六十年前でその時に約六百歳だから多くみつもっても約七百歳ぐらいじゃない。まぁどこかで隠居生活でも送ってるんじゃない。昔、一人で国と戦争したとも言われてるぐらいだからそこらの人にやられるとも思わないし。まぁいいや行こ」
「そうだな。七百歳か」
その長さに、刀袮は一人思案する。時の長さに。
◆◇◆◇
「たくさん、借りれたね」
「そうだな。まさか上限まで借りるとは思ってなかったぞ。重いし」
「まぁ、一人のカードで三冊まで借りれるって聞いたら六冊借りたくなるのが人の性じゃない」
「まぁ、わからなくもないけど。てかあんた人じゃないだろ」
「まぁね」
「じゃあ、宿屋に帰るか」
「いや、その前に僕はお昼ご飯買い行くよ。刀袮は先帰ってていいよ。はいこれ」
そう言ってヤルダバオトは刀袮の持っていた本の上に二冊の本を置く。刀袮は計六冊の本を持たされ文句をこぼす。
「まじかよ、くそ思いじゃないか。いくら体力が上がろうと思い物は重いんですけど」
「うん、じゃあね」
そう言ってヤルダバオトは逃げるように駆け足で進む
「まじかよ」
◆◇◆◇
「ふぅー、到着」
「お疲れ様。ヤルダバオトは?」
「お昼買いに行ったぜ。俺にだけ本を持たせて」
「ふーん、そうか。で、何借りてきたんだ?」
「うーんと、魔法魔術入門書と魔術入門書と薬草系と魔物系の本と、国の成り立ち見たいな本とあとは、、、神の家系だったかなの本らしい」
「じゃあ、まずは国の成り立ちからかな。」
「ふーん」
「どうしたんだよ?」
「いや、魔法とかから手をつけるかと思ってな」
「それも、思ったけどまずは常識を入れないとね」
そんな事を話していると、ヤルダバオトが帰ってくる。
「ただいま。はい、刀袮」
そう言って、ヤルダバオトは肉の付いた串が数本入った瓶を渡す
「サンキュー。腹減ったんだよ。、、、なぁおっさんってさ、今まで何食ってきたんだ?」
「そ、それ聞いちゃいます?まぁ正解は何も食べてないんだけどね。確かに飢餓感はあるんだけど不思議と耐えれるんだよ。前世ではあんなに食べてたのにね」
「そうなんだまぁ辛くなったら言ってね」
「うん、わかってるよ」
「良かったー。腐肉とか糞とか言わなくて。それ聞いたら普通に嫌だったは」
「まぁ、前世の記憶があったからね。その壁は超えられなかったよ」
「まぁ、そうだよな。俺だって無理だわ。じゃあ行ってくるな」
「おう、行ってらっしゃい」
そう言って話を切り上げ宿屋を出る刀袮とヤルダバオトなのであった。
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