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9.ナトゥスの不文律3

シロイ魔道具店の利用者でもある、冒険者というのはどんな人たちなのか。

冒険者が多く集まる場所、『ナトゥス』の様子を見ています。


『剛腕のマンボ』がからんだ新人。その冒険者は、なにをするのでしょう。

 


 冒険者というのは結局のところ、荒くれ者である。性別や見た目などにかかわらず、多少の暴力には慣れたものだ。



 しかしそんな彼らでも、思わず身が引き締まるような暴力が存在する。



 しゃがみこんでニヤニヤと笑いかけるマンボの背後。気配もなく立っていたのは、赤髪の少年と同年代の黒髪の少年だった。

 簡素な普段着の腰元に、光る皮袋を下げている。手にしているのは手製の武器。手から肘までの長さに合わせた木の枝の先に紐が結わえてあり、石に紐を何重にも巻いた球体をぶら下げている。若干変則的な形状ではあるが、脱穀用の農機具に見る構造だ。


 マンボを見る彼の目は淀み、すわっていた。



 客席に打ち付けられた少女を助け起こし、酌をさせようと座らせた冒険者は、のちにこう語っている。



「あいつは処女じゃなかった」



 言葉通りの意味ではなく、強盗や殺人などの経験がある、という意味である。

 それを裏付けるように、彼は手にした武器を構えた。やや猫背になり、球体が真っ直ぐにぶら下がるように棒の先端を両手で持つ。

 右肩の上へと振りあげるのを見て、冒険者たちの多くが息を飲んだ。それがどういう武器で、何をしようとしているのかを察したためだ。

 男たちの多くが思わず同じ箇所が縮こまるのを感じたと同時。少年の身体の左手側へと、弧を描くように予想通りに振られる。



 響き渡ったのは鈍い打壊音だった。



 球体がわずかに掠めたらしい床は表面が削れ、綺麗な木目が露わにされている。

 直撃したのはマンボの股間。あと指先一つ奥にずれていたら柔らかな何かが潰れていただろう場所に、球体は冗談のようにめり込んでいた。


 その時のマンボは脳天まで突き抜ける激しい痛みの中で、そこに備わっている器物が爆破されたと思い、冒険者になって初めて死を実感したという。





からまれた赤髪の少年が何かをする前に、同じパーティの黒髪の少年が一撃いれました。


管理も統制もされておらず、犯罪者も混ざっているのが『冒険者』です。

対話の前に手が出るのは、よくあることですね。

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